第4話皆様...ちょっとよろしいでしょうか

 おはようございますぅ、いや……ウソですログアウトしたけどまだ寝てますよ~~、すやぁ……。


 あんまりいい寝覚めではなかった、二度寝は正義だ。


◆ サクヤ&ツカサさん突撃(佐久夜さくや視点)


早乙女さおとめ!!お父様を捕まえて!」


 お父様が私の初めてのお友達にイタズラしたのは間違いない。


|お父様……つまりゲームマスターでもやっていいことと悪いことがあります。


ぷっつんいたしました、家のメイド長である早乙女さおとめは、私の命であれば、お父様にも怯まず特攻してくれるのだ。


 すぐに被疑者を捕獲し、お仕置きを執行した。


 数分後、ボロボロになった(私の爪で)お父様が苦しい言い訳をすることになった。


「お父様、どういうことなのか説明してください」


錦財閥という日本最大財閥の党首も、愛娘が相手では分が悪いのかしぶしぶ話し始める。


冒険譚ララバイのメインストーリー、つまりエピックのラスボスは『刹那』――つまりセツナにする予定だ」


佐久夜サクヤは青筋を立てている、口元も笑っているようで笑っていない。


「はぁ?御冗談はお顔だけでよろしいのですが?」


「いや……プレイヤーの行動によって物語の方向性を変えるのは、事前に決定されていたのだが。条件を満たしたのがまさか……あのゲームをゲームと思ってないような行動をし続けていたプレイヤーがおもしろくなり、ステータス上限解禁を手助けまではしたのだが……まさかお前の友達だったとは気が付いたら『魔王の資格」を満たしてしまっておったのだ』


十文字じゅうもんじが家まで連れて来たと聞いた時には驚いたぞ、準備が整うまでは『刹那』の告知は待つつもりじゃったんじゃが……想像をはるかに超えるペースでいろんなフラグをクリアしていってしまったのじゃもん」


 いや……じゃもん、とか言っても全く可愛くないのだけれど、悩む……刹那お友達が迷惑を被るのはいやなのだが……一緒に困難を乗り越えていくことで仲良くなれる(一緒に遊ぶことができる)チャンスなのも捨てがたい――。


「むぐぐぅ……」


「わかったわ、今回は仕方がないけれど、今後私のお友達に負担をかけるようなことは絶対にやめてよね」


 ……と盛大なフラグをおっ立てるが――これは遠い未来来年のフラグなのであったということは、当然だれも知る由もないことだったのです


 …… 学校にて


刹那せつなさん、おはようございます」


 寝ぼけてなんとか返事をする、目の前には金髪の美少女がいるのだ、きっとまだ夢の中なのだろう。


「おあようさくやぁ」


「一晩で砕けすぎです、刹那せつな、目を覚ましてください……いまは現実ですよ?」


「あ~ごめんごめん、友達だと思ったら気が抜けちゃってさぁ――って朝ぁ?!?!」


 私の叫びによって、とても使用人を召し抱えているような家とは思えないような騒がしい朝を迎えた……。


なんだなんだ?っと他の使用人の人たちも集まって来たが、にしきさんのフォローによって無理やり何事もなかったかのように治められた。


「刹那はお友達だからこれでいいのです!」

「「「「――はい、かしこまりました」」」」


 あ……それで良いんだ?


榊原さかきばらさん、オムライスをお願いします」


 ――あぁ、それを食べたいからフォローしたのか。


最速でオムライスを作った。


そして気になることを質問することにする。


「ところで……そこのボロボロのおじさんはどちら様ですか?」


「ワシは、冒険譚ララバイのゲームマスター兼運営責任者兼開発責任者兼、開発会社会長のにしき弦十郎げんじゅうろうじゃ」


「はた迷惑な老害おっさんでは?」


 辛辣な言葉を佐久夜さくやに投げかけられる。


……て、へぁ!?


にしき財閥の一番偉い人?


……佐久夜さくやのお父さん!?


「え……っとぉ?佐久夜さくやのお父様ですよね、新しく使用人になりました、榊原さかきばら刹那せつなです」


「む……娘のためによろしく頼む……」


 それだけ言って涙目で去って逃げていったおじさん……それでいいのか。


「あの方はにしき財閥の党首ですが、佐久夜さくや様には頭が上がりません、なのでなんら問題はございません」


 うん――娘って強いね!


 娘に嫌われたらこの世の終わりっていう感じのラノベもよくあるもんね、佐久夜さくやちゃんはとんでもなく可愛いからわかるよ?オジサン!


 ……


刹那せつな?」


 お……!呼び捨てになった、お友達モードといった感じになって来たね。


「クランを作りましょうか」


 クラン=魔王軍を作りましょうって脳内変換されるんだけどそんなに間違ってないよね?


「残りのクランメンバーには目星をつけてあります、学校に行ったら勧誘しましょう」


 ほうほう、どれどれ?メンバーの名前を聞いていく、全員クラスメイトじゃないですか、ふむふむ……。


 そのメンバーとは。


多和田たわだ真知子まちこ

足立あだち瑛太えいた

瀬戸せと達也たつや


 の3人だ、そのうちの瀬戸せと君については、見た瞬間に何で選んだのか納得した。


 瀬戸せと君は佐久夜さくやと同じ日に同じ病院で生まれた、超腐れ縁君じゃないですか!


クラスで噂になってますよ?これはゴシップを期待しちゃいますよ?


後の二名はと言うと。


 多和田たわださんはオカルト研究会、足立あだち君は……貧乏仲間でお隣さんで、昔からよく遊んだ仲である――唯の幼馴染だよ?


 ……


 ――そして昼休み


 佐久夜さくやに集められた新メンバー候補は、説明を聞き、いろいろな反応をしていた。


 多和田たわだ真知子マチコは元からオタ臭がしていた子なので簡単に買収完了、瀬戸せと達也たつやは幼馴染属性で気になっていたので、佐久夜さくやからの誘いを断れるはずもなくあっけなく撃沈。


 足立あだち瑛太えいたは……ゲームを買うお金がないという理由から難色を示していた。


 佐久夜さくやが使用人のアルバイトを提案していたが、それでも頭を縦に振らない――だけどなぜか、刹那せつなもウチで使用人をしているよ?っと佐久夜さくやが言った途端に簡単に落ちた、どういうことだ?え?鈍い?いやいやさすがにそんなことは?


 え?なんで早乙女つかささん哀れんだ目で私を見ているんですか?というかなんで学校にいるんですか?本当にどういうことかわからない。


 ……


 今回勧誘候補に挙がらなかったクラスメイトの一人、小清水こしみずすばるは6人を遠くからただただ眺めているだけであった。


 最も、刹那せつなを気にかけているのは彼だけではないのだが、今は知る由もない……。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る