花瓶のなか



言葉が途切れたまま空中に浮いている。


私を誰が受け止めてくれるのか、

誰が繋ぎとめてくれるのか、

分からないままだから、君はこんな場所には多分もう帰ってこないな。


ただ、愛したいと思った。愛ってなんだ?


ただ、帰りたいと思った。一体、何処に?


君が教えてくれたら、

それはきっと愛で、居場所で、真実で、永遠で、私はずっとそうであれと願ってやまないんだ。


君は優しい。

救いようのないガラクタでもゴミでも水を与えてくれる。


君は本当に優しいよ。だから私なんかを愛しいなんて言わないでほしかった。


君が好きだから。


溜息を零したら5分時間が進んだ気がしたよ。悲しいな。


時間がいつのまにかだらだら過ぎていくの。


君が何処かで泣いている気がしたけどその傷はもう舐められないな。


だから早く花瓶の水を変えなくちゃ。


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どうか憂いを。 望月 憂 @yuu20mochi

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