~魔王憤慨~

 「おのれ、あの預言者め!まんまと余を謀っておったのか!」


 「やはり、私が心配したとおりになりましたな」


 「でも、あいつが暴走するのを止められなかったでしょう。ああ、悔しい!この私までもが利用されていたなんて!」


 「しかし、あれ以来、こっちの世界に帰ってきても余の姿が凛々しいサラリーマンのままなんだが、どういうことなのだ?この姿が預言者の妄想によって変えられたとするなら、あやつが消えた以上、元に戻るんじゃないのか?」


 「まぁ、私はほとんど変わっていないからいいけど……はっ!ひょっとしてあんたって、元からその姿なんじゃないの?」


 「な、何を馬鹿な!はは……、そんなことって、そんなことって……」


 「動揺しないでよ、冗談よ」


 「う~む。確かに解せませんな。私はあっちの世界では変な方言を話しておりましたが、こっちでは以前のままの状態やけど……」


 「ちょっと、リンド!ちょっとだけ関西弁がでているわよ!」


 「なんやと?い、いや、何だと?う、うむ。我が愛しきレリーラもあんな幼い小娘になったままやし……。さてはて、どうすればええのか……」


 「もう直す気がないのね……」


 「だが、一つだけ言えることがあるな」


 「何よ?」


 「あの預言者が消えても終わっていないということだ」


 「そうよね。ザイって言ったっけ?あいつが黒幕なら、倒さないといけないんじゃない?」


 「そうだ。そこでサリィよ。今すぐあっちの世界に行って、余の意見を伝えるのだ。本来、奴らとは敵同士だが、そうも言っておられんだろう」


 「偉そうに命令しないでよ。でも、いいわ。この鬱憤。あの少年を苛めることで解消しましょう。じゃあね」


 「そして、リンドよ」


 「は、はい」


 「お前はこの世界を調査してまいれ。余達が知っている世界と変わっている可能世界もある」


 「御意。では、早速に」


 「さてさて、余も準備をするか。焼酎でも飲みながら、思案を重ねなければな」

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