第3話 国家のいじめ


 学校で、独りよがりな子がいて、周りの子がああでもない、こうでもないと意見をします。

 

 みんながそうしようって言っているんだから、君もそうしなよとか。

 それは皆で使うんだから、君だけが、それをいつも使っているのは良くないよとか。


 そんな生徒のやり取りを、教師であれば、じっと観察を、しなくてなりません。

 生徒間で、なんらかの問題解決を図れるよう、見守るのです。

 先生は、見ているよって、生徒たちに、認識をさせておくのです。


 そんな基本を教師が怠ると、とんでもない事件が、その学校では起こってしまいます。


 先生が見ていないと悟った子供たちは、阿漕な真似をし出すものです。

 周りが結託して、その独りよがりな子に、いじめなる行為を働くようになるのです。


 さて、そうなったら、問題はこじれていきます。

 そうならないように、教師は、いじめになる前に、解決策を示さなくてはなりません。

 

 独りよがりの子には、協調性の大切さ、その素晴らしさを伝え、根気よく対さなくてはなりません。

 他の生徒は、先生が動いていることを知れば、それ以上は行動を起こさないものです。 

 集団の中の、さまざまな力が働き、均衡を保って、事件を未然に防いでいくのです。

 

 だから、教師は、常に生徒を観察し、双方に対して行動を起こし、良からぬ行為の芽を摘んで行かなくてはならないのです。


 そんなことを、私はして来たのですが、昨今の国際情勢を見ていますと、寄ってたかって、独りよがりの国に、ちょっかいを出していて、まるで、これが学校という世界であったら、いじめ事案になるに違いないって、そう思っているんです。


 その急先鋒の男の子は、独りよがりの子の大切なものを奪い取り、さらには、その大切なものの側に行って、ちょっかいを出しています。

 さらには、仲間に、あいつと付き合ったら、許さないぞって、凄んでいます。

 だから、皆、急先鋒の男の子の意に沿うように、あれこれと策を講じるようになりました。

 

 独りよがりの子だって、意地があります。

 いや、独りよがりだからこそ、人一倍の意地を持っているのです。


 実は、それこそが、子供たちのいじめの契機となっているのです。

 その芽を摘むとは、子供たちのよこしまな意地を、とんがった意地を、そっと押さえて、へこませてやることなんです。


 でも、国家と国家とでは、そうもいかないようです。


 急先鋒の国は、強大な軍事力を持っています。

 独りよがりの国は、それに近づき、上回ろうと野心を持っています。

 

 それを覇権争いって言います。


 覇権は、急先鋒の国にとっては、もはや手放すことなど考えられない黄金の柄なのです。

 それを一振りすれば、あのドイツも、日本も、それに、味方であったイギリスもひれふして来たのです。

 

 世界を二分したソ連だって、急先鋒の国の前に、消えて無くなりました。


 これで、天下は、落ち着いたと思っていた矢先、とんでもない国が韜光養晦、日本で言えば臥薪嘗胆でしょうか、そして、一帯一路、日本で言えば、大東亜共栄圏でしょうか、そんな独りよがりの発想で、そして、急先鋒の国に、そっと耳打ちして、太平洋を東西で分けて支配しようと囁いたのです。


 言うことを聞かないのならと、弱い奴をやっつけにかかります。

 バナナはいらない、レアアースはやらないって。


 急先鋒の国は、とんでもないやつだと、仲間を集め、あいつは、俺たちの情報を盗み、ゆくゆくは、おいらに変わり、お山の大将になりたがっている、お前たち、親分にどっちを選ぶんだ。

 自由と平等を大切にするおいらか。

 カメラで監視、情報は遮断、ペチャクチャと大声で喋りまくるあいつかって。


 いやはや、大人のいじめにも困ったものです。

 つける薬がありません。


 いや、教師がいないのです。

 だから、国際社会という学級は、崩壊寸前にまでなってしまっているのです。

 

 さぁ、二十一世紀の人間社会、ここが勝負どころです。

 国技館でのパフォーマンスに喜んでばかりはいられないのです。

 先生を探してこなければなりません。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る