第17話 何を思うか

目が覚めたのは部屋に光が差し込んでからしばらくたった頃だった。

薄くぼやける視界に、微かに感じる頭の痛み。

目に入った天井からパラパラと木くずが舞い落ちる。

手には柔らかい藁の感触。

チクチクと肌にあたる部分を軽く撫で、

ぼうっと辺りを見回して宿に泊まったことを思い出す。


客をより入れるために設計されたらしい二段になった寝床。

簡易的な木製のはしごが立てかけられた上の段。

ぎしぎしときしむ音を立てて揺れているのは幻覚か、幻聴か。


「いや、揺れてる……」


夢の延長ではない。

確かに寝床が揺れている。

ガタガタと不規則に振動する原因は何か。答えは探すまでもなくその存在感を放っていた。


「うぅ……」


下の段から届く低い声。

どこか助けを求めているような、苦しさを訴えるような嗚咽に近い呻き。


「あ~、そういえば」


敷居の端にがつんがつんと足をぶつけながら

ゴロゴロと無防備な姿で額に手を当てて悶えている塊がそこにはあった。


昨夜は酒場で酔いつぶれたんだった。

ようやく覚醒し始めた頭が呻くピュルテの姿を認識する。


「おーい、揺れるって」


上の段から顔だけを出し、覗き込む体勢で下の段にいるピュルテに話しかける。


「うるさい……しずかにしろぉ……」


いつもの口調と比べると何とも覇気がない。

ピュルテは一度も目を開くことなく、目を瞑ったまま虫でも追い払うように手を振って返事をする。


あまりにも無造作な扱いに苦笑をこぼしつつ、くっと体を伸ばす。


あのピュルテが立ち上がれない程とは、得手不得手は誰にでもあるものらしいがやはり意外だ。

こんなことを考えているのがばれたら一発小突いてきそうだが、慣れない酒に苦しむ姿は思いのほか新鮮に感じる。


「うぉっと、壊れないよねこれ」


梯子に足を掛けて降りると、ぐらぐらと上段に取り付けられた紐が緩む。

人一人支えているのが不思議に思えるほど簡素なつくりは使用するのをためらってしまう。


先に水でも飲んでくるかと先に一階に降りることにした。


他の客はすでに大方出てしまったのか、一回の卓場にはほとんど人がいない。


客が使ってもいいように一階の受付奥にはそこそこのスペースに椅子と卓が設置してある。

ここの宿屋では料金を払えば料理も出してくれるらしい。


店主に頼んで水をもらい、席に座る。


『うぇっ ファン酒臭い』


首元にとんと飛びついたロトがすぐに顔を顰めた。

揺蕩うように動いていた尻尾がピンと伸び、心なしか毛も逆立っている。


「一応体は拭いたんだけど……匂う?」


臭いと言われてとっさに自分の体をかいでみるが、自分ではよくわからない。

先ほどまで寝転がっていた干した草のわずかな香りがするだけだった。

そもそも昨夜、ファンはピュルテの付き合いで少し飲んだだけなので翌日にそこまで残るほど酒を飲んだわけではない。

それでも嫌そうにこちらを見てくるロトは飛び乗った方からすぐに床へ降りた。

飼い猫じゃないのよ、と言っていつもはファンの肩を居場所としているのにそんなに嫌だったのか。


「うーん」


一応、と懐から取り出した『酒流し』を口に入れ、水で一気にあおる。

口に苦みが広がる前にもう一杯水を注文しておく。


『で、あいつの様子はどうなの?』


「まあ割と楽しんでるみたいだよ、どこを見ても興味深そうに眼を見開いて」


『まるでファンみたい』


「俺はあそこまでキョロキョロしていないって」


してないよな、と自問するが決まってその場面の記憶は出てこない。

いや、きっと気にも留める必要なんてないくらいのことなのだ、そういうことだ。


『いっつもこっちが何回か呼びかけるまで気づかないくせに、よく言うわ』


はっと鼻で笑うような仕草。

そんなに言われるほどなのか、自覚というのは思いのほか難しい。


『案内とか言って、ファンだって楽しんでるんでしょ? 調子に乗って無駄なもの買い込んだりしないでよ?』


ロトの目にはどう映っているのか、


「そんことしないよ、今日だってこの後は」


言いかけたところでトントンと階段を下りてくる音。


「ピュルテ、こっちー」


ぴょこと翡翠の髪を跳ねさせて気だるそうに体を揺らしている。

ファンの声に導かれるようにふらふらと歩み寄ってきた。


「お前たち、随分元気だな……」


起床時と変わらない額を押さえた格好のまま、ファンの対面の席に着く。

流れるように卓に置いていた杯をつかみ取るとちびちびと口に入れる。


「ピュルテは随分としんどそうだね……」


「これだから酒はダメなんだ。こんなもの誰が作り始めたんだか」


どうやら酒が苦手なのは本当みたいだ。

普段と随分違うピュルテを見れたのは面白かったが後の始末を考えるともう酒は勧めない方がいいな。

「ぐぅぅ」と未だに唸り続けるピュルテを見てそう思った。


「何か食べれる? 簡単なものならあそこの店主に言えば作ってくれるらしいけど」


水をもらった場所を指でさしながら言うが、ピュルテは額を押さえていた手を突き出し、


「いや今はいい。それより何か、薬とかないか?」


「あぁ、薬ならここに……」


先ほど飲んだ『酒流し』を渡そうと入っている巾着に手を入れて、


「あれ?」


手にあたる感触がない。

口を広げてまさぐるものの何も入っていない。

さっき飲んでしまったもので最後だったようだ。


「ごめん、ちょうど切らしちゃった。買いにいかないと……」


「くぅ……」

差し出した手を掲げながら卓に突っ伏すピュルテ。


「傷なんて寝ればいくらでも治るのに……酒ごときで……」


一般的に魔力さえ充実していれば大抵の傷は自然治癒する。

そのため、戦闘に携わることのあるものはあまり薬というものを持たない。

放っておけば勝手に治るのだからそんなものに金をかけていられないという考えの者が多い。

だが、それでも魔物から受けた毒やその他体に異常をきたす類のものは自然に治らない厄介な症状を引き起こすこともある。なので決して完全に必要ないということない。


なんにせよこの状態じゃあとても街をめぐるなんて無理か……。


と考えたところで、


「そうだ、丁度いいから薬屋に行ってみようか。手持ちの薬もかなりなくなってるし、それがいいな……。

どう? ピュルテ?」


沈黙したままぱたりと手を下ろしちょっとの間を開けた後、わずかにだが頷いたのを確認した。


「よし、少し動けるようになったら出発しようか」


卓に突っ伏したままのピュルテは返事をするのもおっくうなのか、ピクリとも動かなくなった。

まるで屍のような状態だが、ファンの声は確かに聞こえているはずだ。


気づけばそこにはファンたちしかいなくなっている。

小さな酒場を貸し切ったような気分で、ファンはピュルテが動けるようになるまで待つならと店主に朝食を注文しに席を立った。



「一人だけうまそうに……」


薬屋までの道中、恨みがましい視線を横から受けながらファンたちは昨日歩いた通りとは別の場所を歩く。

宿を出てから少し、住宅が立ち並ぶ区画の細い路地をいく。

さすがにここは露店通りよりは静かだったがそれでもさすが賑わっている街と言うべきか、どこへ行っても人の声が絶えることがない。


「だってお腹すいてないって言ったから……。あれくらい別にいいでしょ……」


昨日より少し遅い歩みに歩幅を合わせ、ファンはふてくされたように睨みつけてくるピュルテを見る。

和やかな喧騒に交じり、あーだこーだと言い合う二人の会話に自分は関係ないとロトはファンの肩の上で丸くなり、そっぽを向いていた。


「私がこんなに苦しい思いをしているのに……何か思うところはないのか、お前ぇ……」


「特に? 気分が悪いからそんなにちっちゃいことが気になるんだよ」


「もとはお前があんなに強い酒を飲んだからこんなに酔いが」


途端にぶつけられた反撃に一瞬たじろぐがここで引くのは癪に障る。時には正論など、勢いで押し切ってえば何のことはなし。


「先に酒に興味があるみたいなことを言ったのはピュルテだから俺のせいじゃないよ。結局飲んだのはピュルテなんだから」


「勧めたのはおまえじゃないかぁ。あの時なんかにやけてなかったか? 」


注文を間違えて持ってきたのは店員だからそれはファンのせいというわけではないが、あの時ファンがこの酒を飲むピュルテはどんな感じになるのかと好奇心が湧いていたのも否定はできない。


「でもピュルテ。昨日の帰り道は随分楽しそうに話してたじゃないか、機嫌良さそうに俺にいろいろ話してたの覚えてないの?」


「あたしが?」


身に覚えがないぞ、と


ピュルテは返ってきた答えに不思議そうな表情を浮かべている。

もしかして記憶がないのだろうか、酒の飲み過ぎで適当に話していたにしては随分饒舌に話していたが。


『喋ってたわね、ファンの背中にくっついて楽しそうにしてたわ。おかげで私は地面を歩いたんだから、間違いないわよ』


ロトがスッとファンの発言を肯定する証言を差し込んだ。

どうでもいい話は聞き流しているかと思ったら聞いていたのか。


「……? いや待てよ。確かに何か言ったような気もしないでも……」


何かしゃべっていた記憶だけはあるのか、否定しきれずに重たい頭を動かして昨夜の記憶を遡っている。

もはや気持ち悪くて唸っているのか思い出そうと唸っているのかわからない。



「あ、ほら、ピュルテついたよ」


そんなこんなをしているうちにすでに目的地が見えた。


住宅街から露店通りまでをつなぐ大通りに出て、すぐ目に入る大きな家の傍。


薬草のマークだろうか、看板のようなものが取り付けられた店が視界に入る。


「ん? ついたのか」


ファンに言われてこちらに意識を戻したピュルテが薬屋の看板を見て立ち止まる。

じっと外観を観察するようにほうほうと頷きながら何やらうなづいている。


「ほら、入ろう?」


流石にファンもこんなに不審な動きを街中ではしていないはず。

奇妙な動きを見せるピュルテを見て今朝のロトの忠告を思い出した。

嫌な姿の自分が危うく頭に浮かびそうになったので、それを振り払うようにピュルテの背中を押して店の中に入る。


ぎぎっと軋む扉の先から香るどこか青々しいような、独特の香り。

扱うのが薬草だからか、店の中に充満しているのは濃い自然の匂い。

建物の中だというのに森に包まれているような空間だ。


森育ちのピュルテには波長が合うのか、悪かった顔色が少し和らいでいるような気がする。


「いらっしゃい」


カウンターに座るのは背の曲がった老人が一人。


店に立ち並ぶ棚はファンたちの背丈を越して天井すれすれまでの大きさがあり、敷き詰められた引き出しには細かく分類された薬草や丸薬の名前が彫られていた。


「ほー、思ったよりも狭い場所だなぁ」


などと感想をこぼすピュルテは遠慮もなしに手近な引き出しを引いて中を見だす。


さすがに街の薬屋なだけあって品ぞろえもかなり豊富だ。

気付け薬や各種解毒に効く薬。これは……


「ひ……やく?」


とよむのだろうか。着火する粉末のようだが薬屋で扱うものではない気がする。


よく見てみれば使いどころのわからない、謎の粉の名前が彫られた引き出しがいくつもある。


「これ、なんだ?」


ピュルテがこちらに見せつけてきたのは強烈に鼻を通過する刺激臭。

引き出された箇所には引くと書かれた文字だけが彫られていた。


「多分、これは振りまいて魔物をおびき寄せたりするのに使うんだと思う」


狙った魔物がいる場合はそこに罠なりを仕掛けたりすることで効果を発揮する。

何に使えるかわからないが使えそうな用途がなんとなくわかっているものは持っておいてもあまり損だとは思わない。

収集癖がそうさせるのか、目についた使えそうなものはなんとなく手にしておきたい。

ファンが買い物をするときは大概こうして本来の目的ではないもの買ってしまうことが多い。

気になって他の引き出しにも手を付けてみる。


「これは、なんだろう。なんか、く、くすぐったい! なんだ!?」


取り出した薬を吸い込んで騒いでいるピュルテは一旦放置。


これは……力薬?


『服薬すると文字通り、体の力が増す薬ね』


肩越しから手元を覗き込むようにしてロトが説明をしてくれる。

こっちは……腐薬とはなんだろうか、初めて聞く名前に興味がわく。

知らないものを見つけたときの、あの高揚感が高まっていくのを感じる。


がた、がたっと端から順に片っ端から引き出しを開け始めたファンを奇妙な目で見つめるピュルテ。

だが、ファンはそんなピュルテの視線には気づかず。完全に集中状態に入ってしまっていた。


ハッとしたのは腰ほどの段までの引き出しを全て開けきったあと。

背後を振り返るとぶすっと呆れたものを見る目でこっちを見るピュルテにロト。

ロトに至ってはいつのまにか肩から移動してピュルテの方に乗り移っている。

二人の奥にいる老人が変わらぬ表情のままこちらに視線を向けているのが妙にくすぐったい。


「いつまで漁ってるんだ……」


『ほんっと、この癖はいつまでたっても治らないのよ』


グチグチと言葉の棘をさしてくる二人。

しらっとした目で見られるのが少しきつい。


「妙な客だな」


随分とはっきりとした言葉が老人から発せられた。

少し騒ぎ過ぎたかと老人の表情を伺い見る。


「……」


表情一つ変えない石のように動かない老人は、ファンの言葉にふむと頷くと次にピュルテを見て言う。


「何が入用だ? 数はかなりそろえてるがあまり貴重なものまでは扱ってないぞ」


「あぁ、いや欲しいのは『酒流し』があれば」


「『酒流し』?」


何を言ってるんだと、言いたげに片眉を上げた老人だったがピュルテの方をちらと見て


「森の種族はあまり酒を飲まないと聞いたが……」


「っ!」


容易くピュルテの正体がばれたことに体が反応した。

思いがけない言葉が出たことでこちらを半目で見ていたピュルテの視線が映る。


「なんで……!?」


街に来てから、宿以外ではフードを外していないはず。

なんでバレたのかはわからないがピュルテが花の守護者だということが広まると不味い。

変な恨みを持っている奴が集まってきてしまっては事だ。


念のためすぐに準備して―――――。


早まる思考とは逆に老人が続ける


「これでも長いこと店をやってる。いろんな種族の奴が来るからな、そいつの空気でなんとなくわかる」


ほら、と渡されたのは10粒ほど酒流しの入った巾着袋。

手渡されたピュルテの代わりに代金を払う。


――――大丈夫そうか……?


大まかな種族だけわかってもそれが巷で広まっている花の守護者だということまではさすがにわからないようだ。

固くなっていた体から力が抜ける。


「そっちの坊主はそれ、買うのか?」


手に持ったものをみて、


『ダメよ、そんなに無駄に買って……後で自分でグチグチいうことになるわよ』


老人がいるのもおかまいなしに注意してくるロト。

流石に連れている猫がしゃべったのには驚いたのか、老人は目を丸くしてロトを見ている。


「その猫、しゃべるのか……ますます妙な連中だな」


「俺は別に妙でもなんでもないけどね」


いいつつ、代金を老人に渡す。


いずれ何かに使えばここで買ったのも正しい選択となる。


自分の忠告をまるで聞かずに勝手に購入したファンへロトがとびかかってきた。


『無駄遣いするなって何度も言ってるでしょ!』


「大丈夫。昨日換金した分がまだ全然あるから……!」


その換金した金はピュルテのおかげだということはこの際考えないことにする。

細かいことは今考えては負けだ。

なんとも自分に都合よく結論付けたファンは振りかざしてくるロトの爪を掴み持ち上げて防ぐ。


「なあ、あたし以外にも同じような奴を見たことあるのか?」


二人が暴れている間にピュルテが老人に話しかけた。


「この店で何十年とやっているからな、来たこともある。でも嬢ちゃんほど濃い気配のするやつはいなかったなぁ」


「何十年も……」


感心したようにつぶやくピュルテはぐるりと店の中を見る。

そこかしこに罅や、傷がついている。すでに壊れたところは修繕しているのか新しくなっているがやはりほとんどの箇所にボロが目立っている。


「他の街とか、違う国とかは行ったことないのか?」


「行ってみたいと思ったこともあるが、まあ店を継ぐのに忙しかったからな」


「そうか」


その生き方はある意味では、ずっと森の中で花を守り続けているピュルテと似通うところがあるのかもしれない。


「嬢ちゃんは坊主と二人で旅でもしてるのかい?」

問われたピュルテは


「いや、ファンとはドウトの森で……あぁ、いや」


「ドウトの森? あそこに入ったのか。」


口ごもるピュルテに老人は訝し気な顔をするが、それ以上追究するようなことはしなかった。


「お前たちこの街には来たばっかりか?」


「まあ、そんなところ」


答えるファンにやっぱりなという顔をして老人は言う。


「それじゃあ知らないかもしれないがあの森はわりと危険だぞ、近寄るのはあんまりおすすめできねぇぞ。どうしても行くってんならうちの商品をたんまり買っていきな。そうすりゃあ死ぬことはねえ」


ふっ、としたり顔で笑みを浮かべる老人はそういってくれたがその忠告はすでに意味のないものだ。

ファンたちは曖昧に笑ってお茶を濁した。


「しかし、長年この店をやって来てこんなに長時間店に居座った奴は坊主が初めてだ。そんなに面白いもんがあったのか?」


自分の店で扱っているものを知っているからこそ、この老人はそれがどういうものか、自分の店に求められている者を理解している。

薬屋で目的の品をほったらかして片っ端から引き出しを開け始める客は相当奇妙に映ったに違いない。

通常の店と違い、店の品を見に来ているというよりかはほしい薬があって訪れている場合がほとんどだろうから。


「ファンは大体どこでも変なことをしているから、この店だけ特別なわけじゃない。どこの店でもこんな感じだった」


ファンが返事をするよりも早く何故かピュルテが答えた。


「なるほどな、まあこっちとしては買って言ってくれるならいくらでも見てもらって構わないがわけだがな」


「さすがにこれ全部は買わないよ……」


今言ったことはロトの視線とは関係ない。さすがにいくらファンでも全部は持ちきれない。

「残念だな」とこぼす老人は好きなだけ見ていけとファンに言って、何やらすり鉢を取り出してごりごりと薬の製造を始めてしまった。


酒流しはすでに購入したし、もうそろそろ出ようかと思っていたのにと思う傍ら、薬を作る過程が気になるのか、ピュルテが玩具を目にした子供のようにぴたりと老人の前に張り付いてしまった。


「これは、何の薬を作っているんだ?」


「ん? 解毒薬の一種さ。その棚に入ってるのもそろそろなくなってきたからな。補充しちまわないと」


「もしかして、この棚に入っているの全部を作っているのか?」


受付に手をつき、老人の手元を覗き込むピュルテが会話している。

前に立つピュルテを邪険にすることもなく。そうだと返す老人は足ではさんだすり鉢に何やら薬草らしきものを入れて棒でひき潰している。


これを全部。自力で作っているとしたら相当な時間がかかるはず。


慣れた手つきで腕を動かしごり、ごり、と葉をすりつぶす音が店に響く。

ひたすらに老人の作業を見ているピュルテは杭でうちつけたように微動だにしなくなった。


――――どうしようかな


ピュルテが満足するまでは残りの引き出しを見てるか、とファンは中段の引き出しに手を掛けた。


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「毎度あり、また来な」


店を出てさっそく酒流しを口に入れて飲み下したピュルテがふいーと息を吐き出す。


『二人してよくもまああんなに……』


開口一番そんなことをロトが言うがあまり時間がたった気がしない。

気づけば上段の引き出しまで見終わり、一つ薬が出来上がるまでの時間を店で過ごしてしまった。


「この街にはああやって薬を作るものがいるんだな……」


学んだぞ、と頷くピュルテはそれなりに満足した様子。

ファンも買った薬たちを背嚢に入れる。

使うか使わないかは置いておいて、珍しいものが買えてよかった。

ファンなりの満足感を携えて気分よく歩き出す。


「オサも結構作ってそうなイメージはあるけど」


これとか、と以前もらった魔力薬を見せる。


だが、ピュルテは瓶の中身が何かわからないようでなんだそれと首を傾げた。


「見たことない? 飲むと魔力が回復できる薬」

確かにかなり貴重なものだが、長いことオサと関わりのあるピュルテなら知っているかと思ったが。

中身を伝えてもやはりぴんと来ないらしい。


「魔力なんて勝手に回復するものだろう?」


「俺とかはその回復する量が少ないから……」

この感じだと見たことがあっても興味がなくて覚えていないという線もありそうだ。

知らないものには興味津々に近づいていくのに……必ずしも全部に食いつくわけではないらしい。


「ふーん。まあとりあえず飯食べよう。腹が減った」


ピュルテがくるっと鳴いた腹の虫にお腹を押さえた。


「じゃあまた露店通りで買って食べるか……」


何だかんだ案内しようとしてもファンとてこの街に詳しいわけではないので自然と一度食べた場所で済ませてしまおうと思ってしまう。


元々のめんどくさがりが自然と足を露店通りに向けた。


露店で適当に飯を買って広場の淵に腰かける。

今日も何人かの大道芸を披露している人たちが数人見える。

集まっている人だかりを見ながら手に持った串焼きをほおばる。

少し焼きすぎな感じはあるがほどよく空いた腹のおかげでうまい。


「よし、次はどこへ行くか!」


元気よく駆け出したピュルテ。ちょっと待ってと声を掛ける。

なんだか前にもこんな場面を見たような――――。


「いったーー!」


視線の先で人が衝突した。

なんだかこうなる気はしていた。


倒れているのは何度目になるかこの間の少女。

道に散らばった荷はこのあいだよりも大量にこぼれてしまっている。


「あぁぁぁ! どうしよう、荷物が! ああ、これ壊れてる! これも、これも!やばいやばい! どうしよう、時間ないのにー! これじゃあ怒られちゃう!!」


声を大にして、騒ぎ立てる少女が地団太を踏んで慌てている。

散らばった荷の包みがほどけ、中身が見える。

半分ほど瓶が割れて、中身が出てしまっている。


「あれ、お前は……」


騒ぎ立てる少女の顔を覚えていたらしいピュルテがそんな声を出すと、騒いでいた少女が反応する。


「あー! またあんた!」


少女の方もしっかりとピュルテの顔を覚えていたらしく、盛大に声を上げると立ち尽くしているピュルテに詰め寄って


「どうしてくれんの! まったく何回も何回も! こないだと違って時間がないってのに!」


「わ、悪かった」


「謝ったってこれ! もとにもどんないでしょ!」


大した剣幕で圧を掛けていく少女に珍しくピュルテがたじろいでいる。


『何回目よ……そこらの子供より不注意じゃない』


ぼやくロトの言葉ももっともだ。


周囲も何事だという目で二人を見ている。

あのまま放置していたら野次馬が寄ってきそうだ。


「ちょっと! 聞いてるの!」


「あーごめん、壊れた分は払うから」


そういって少女に声をかける。

ピュルテをにらみつけていた視線がファンへと移り、


「お兄さん、これは買い取るとかそういうものじゃなくて、今日までに倉庫にもってかなくちゃいけないのよ!」


「倉庫?」


「そう!」


ふん、と鼻息あらく話す少女は完全に興奮しきっている。


「なんだ」

「あー派手にたおしたな」

「誰だ?」

「あの格好って」

「昨日結晶を蹴り砕いてたのって確かあんなローブ」


これは一度場所を移した方がよさそうだ。

こちらを見てざわざわと騒ぎだした人を見て、ファンはそう判断し、まだ無事な荷を腕で抱え、憤る少女の手を引っ張って移動する。


「え、ちょっと!」


「ごめん、ちょっとこっちに来て!」


場所を還る二人に目をぱちくりとしていたピュルテも大人しくついてくる。

人目を避けるために静かな住宅街へ向かった。


「で、どうするのよ」


腕を組んで不機嫌そうに、いや確実に機嫌が悪い少女が問いかけてくる。


「荷を運ばなくちゃいけないんだよね」


「そう! まだまだ運ぶものたっぷりあるのに! 私時間ないのよ! 膝もすったし、おしりもひどく痛い!」


膝は前から怪我していたし、尻のほうもそんなに強くは打ち付けていないように見えたが……。

そうは思っても決して口には出さない。

下手に反論したらなんだかめんどくさそうなことになりそうなのが目に見えているから。



「割れちゃった品って」


「水よ! 乾燥地域にもってくだとかなんとかその辺は知らないけど」


幸い、希少なものではない。


「水だったら」


買えるなと言おうとしたところで少女が勢いよく顔を上げた。


「そうだわ! こうなったら」


何かを閃いた様子の少女が何故かファンの腕を掴んで引っ張っていく。


「これよ、これ、これを手分けして運んで!」


息つく間もなく少女に連れてこられたのは大通りから少しの距離にある開けた建築群。

そこに人の背丈ほどもある荷物の山が積み上げられていた。

その積み荷の山は前に立つ少女と相まって妙な圧を発している。


「これを全部?」


自慢じゃないがどこどこと言われてもまるでわからない自信がある。

道に詳しいわけでもこの街に精通する知人がいるわけでもない。

何より正直めんどくさいというのが本音だった。


「道ならあたしが案内するからっ! あたしに持てないこの重ったい奴を二人には運んでもらうわよ!」


岩でも詰められているのかという巨大な荷はそもそもどうやって運ぶつもりだったのか、


「もともとはこれを飲んで何とかするつもりだったのよ」


よっぽど顔に出ていてたのか考えていたことを見透かされた。

少女が見せてきたのは何やら赤い粉。

これは確かさっきみた――――


「怪力になる薬……だったか」


さっきの薬屋でも目にした眉唾物の粉だ。

飲めば力がつくなどと言っていたがそんなものがあればもはや魔法の一種なのではないかとファンは未だ半信半疑でいる。


「時間がないから早くいくわよ! ほら、こっち持って!」


完全に勢いにのまれ、なし崩し的に少女の手伝いをする流れになっている。


「え、ちょっと、うわ重っ!」


渡された荷を受け取ると、ずしりと重い感触がのしかかった。

これ一つでどれくらいの重さになるか、人一人抱えたのと同じ位だろうか。

感覚としてはそれくらい。

人よりかは持ちやすい形だがこれを運ぶのはなかなか……。


両手に抱えた荷物を内心嫌がりながら立っていると背中に回った少女がぐいぐいとファンを押しだした。


「ほらほら、ついてきて!」


「これを運べばいいのか」


めんどくさいなと渋るファンとは対照的にピュルテは随分とやる気だ。

そもそもの原因がピュルテにあるため、それはお詫びとしてはあっているのだがそれに付き合う身としてはその張り切りについていかないといけないわけで。


『ご愁傷様。こうなったら最後まで付き合ってあげないとね』


最初に訪れた場所は歩いて10分ほどの倉庫。

一抱えある荷を地面へ下ろし、下ろした荷を寄せてぴたりとくっつける。

そしてすぐさまさっきの場所へ戻り、置いてある荷をまた抱える。

ファンとピュルテ、二人で3往復してようやく一か所目の運び込みが終わる。


「次はこっち!」


次の荷物は今運び終えた荷の半分もない。だが、それを届ける先は街のはずれにあるとある商人の借り家だという。

森と違い、通る道はどこも整備されていて歩きやすいがその分歩く人を避けながら街を駆ける。


「遅いわよ。時間がないんだから! もっとてきぱき動いて!」


そんなこんなで、その日ファンたちは何度も何度も荷を運んでは元の場所に戻って荷を抱え、少女の導くままについていき、


――――き、きつい……


単純な肉体労働などこれまでに経験はない。

魔物との戦闘とはまた別のしんどさに目が回りそうになる。



半日が過ぎ、陽も落ち始めた頃、ファンは荷の山があった前で大の字になっていた。

体中を汗だくにして、呼吸を上下させる。

視線をピュルテに向ければ、さすがのピュルテも額から汗を流しつかれたように座り込んでいた。


今日一日で一体何往復したのか、届けた先を数えることもやめ、がむしゃらにこの思い荷物を運び込んでいた。

これ以上はさすがに動けない。というか動きたくない。

もう一歩も動かないぞとアピールするように大の字になった姿を隠す気もなく少女に見せつける。


「一日でこれだけ減るなんて……これでなんとか間に合うわ!」


一人、荷を持ってなかったとはいえ、ファンたちを案内するために同じ場所へ何度も何度も移動した少女だけがこの場で動いていた。

見た目の元気さに負けない体力の多さ。無尽蔵かと思うその活動量は普段からこの仕事をしている恩恵か。


「これで、チャラだな」


汗をぬぐい、ピュルテが言う。

乱れていた息を整え、大きく一呼吸。

さあ行くぞと寝そべるファンの下にやってくるピュルテに


「ああちょっと待って、もうすぐ夕食でしょ? 食べに行きましょうよ」


ピュルテがファンを見てどうする、と視線で問いかける。

体中が重く、動くのがすでに億劫になっているファンはもう宿に帰りたい気持ちでいっぱいだった。


しかし、くっといい笑顔で街の方向を指をさしている少女は二人と向かう前提ですでに歩き出してしまった。


―――――こっちの返答は関係ないのか


まるでこちらの話を聞きそうにない暴走獣車ぶりにもうため息しか出ない。


「体力ないな、お前」


倒れるファンにぽそっとささやくピュルテ。

からかうような笑顔が憎たらしい。


「うるさいよ」


体内の魔力をうまく使って荷運びをしていたのをファンは知っている。

そんな方法を取れるのはピュルテくらいしかいない。

ずるいと思ったが、もはや言い返す元気もなかった。



「はーい、こっち持ってきて! こっちこっち!」


卓の上で店員を呼ぶ少女は店の中でも元気だった。

店にすでに回復していたピュルテはそんな少女と同じようにばんばんと料理を注文している。


「やっぱりよく働いた後はよく食べないと!」


トボトボとゆっくり少女の後をついていった先ではすでに少女は大量の料理を抱え、頬を満タンに詰めていた。


次から次にやってくる料理はちいさい体に吸い込まれるように消えていく。


驚くべきはその食欲か、新手の魔法を目にした気持ちになりながらまだ手のついていない料理をつまむ。


「やっぱり疲れたー? さすがにあの量はきつかったよね」


「水数本割った謝罪としては追加で何かもらわないと割に合わないくらい」


ふーと深く息を吐き出したファンにあははと笑う少女。


「ここの代金はちゃんと自分で払うから」


「元から払う気ないよ」


普段ならこの調子のよい少女に一言言っているところだ。


「まあまあそんなに不貞腐れないでよ、何度もぶつかりあった仲でしょ?」


厳密にはぶつかったのはピュルテばかりだが。

おいしそうに料理にかぶりつく姿に毒気が抜かれてしまい、何も言う気になれなかった。


「いつもこんな仕事をしてるのか、大変だな」


「もう慣れたわ、最初はきつかったけど。もう何年もやってると体がじゅんのうしていくのよね」 


こう見えて結構力持ちなのと腕を構えて見せる。


「何年もってことは、ちっちゃいころからか」


「そう、親が死んじゃったからね……親戚のおじさんに引き取ってもらってからずっとこれをしてる」


「親が……」


「詳しくは知らないんだけど、かなりまずい病気に掛かっちゃってね、治療の期間なんてないまますぐに死んじゃったのよ」


このたくましさの要因にはそれも関わっているのだろう。

この一見明るい少女にも抱えているものがある。


顔を伏せるピュルテの表情に写るのは憐憫か、勢いをなくした姿を見てそれを吹き飛ばすように少女は快活に笑った。


「なんであなたがそんな顔するのよ、もうずっと前の話だしあたしは平気よ!

それよりあと何年かしたらおじさんが仕事を教えてくれるって言ってたから次は頭を鍛えようって頑張ってるところなんだから!」


ピュルテはそれを聞いてむっつりと黙ってしまった。親を亡くしたという部分が自分と被ってしまったのか少女の言葉を、料理と一緒にかみしめるように考え込んでいる。


「今日のとは違う仕事なんだ」


少し生まれた間をつなぐようにファンが問いを投げる。

陽気に果実水を飲み下す少女はピュルテを不思議そうに見はしたものの気にした様子は見せず、すぐさまファンの問いに反応した。


「そう! 普段は親戚のおじさんの手伝いをしてるのよ。今日の荷運びなんかが主な仕事。

一昨日『流れに乗り遅れた!』とか言ってあの荷物の山をあたしに押し付けてきてね! あと一週間で何とかしなくちゃいけなかったの!」


おにいさんたちありがとねー、と少女は呑気に肉を口に入れる。


「一週間って……」


もしもファンたちが手伝わなかったらどうする気だったのか。


「今日大きい荷の大半をお兄さんたちに運んでもらったから期限までには余裕で間に合いそう! あそこでぶつかってよかったわ!」


「こっちはおかげで今日の予定がぱーになったけどね……」


何をすると決まってはいなかったがあれだけこき使われると、少し皮肉をかましてしまうのはもう仕方ない。


「予定?」


「ピュルテにこの街を案内しようとしてたんだ。露店通りはもう大体見たし、どっか違う場所を」


「この街はいろんなところの名物品が入り乱れてるからおもしろいけど、見て回るならこの街じゃなくて他のところの方がいいんじゃない? 露店通り以外には特に見て面白いところはないと思うけど……」

ポンと手を叩く少女が続ける。


「おじさんと同じ商会の人に教えてもらったんだけど、近々『魔女のお祭り』が開かれるらしいからそこを見せてあげたたらどう? 開催されるのはどこだったかな、忘れちゃったけど」


魔女のお祭り……初めて聞く単語だ。

面白そうだし、参加できるならしてみたいが……


「この街じゃないならちょっと厳しいかな……」


そこまで遠くへピュルテを連れ出すのは骨だし、なにより、森を離れたがらないピュルテがうんと言わないだろう。

依頼を受けたわけでもない。

反応のないピュルテを見ながらファンはあいまいに答えた。


「お兄さんたち旅人じゃないの?」


よくわからないと首を傾げる少女。

何か説明をした方が良いとは思うが丁度良い理由がパッと思いつかない。

下手なことを言うとボロが出そうな気がする。


「あははっ!そんな答えづらそうな顔しないでよっ。別に答えたくないならそれでいいってば!」


そうなんだけど、とファンが返答に困って適当に答えを濁していると、少女は何かを察してか詳しくは追究しなかった。

詮索のしすぎはトラブルのもとだと心得ている風な少女は、さすが商人見習いといったところか。


「どんな事情なのかはわからないけど、ちょっとおにいさんたちが羨ましいよー。私もたまには仕事のない日ってのを味わってみたいなぁ。おじさん、厳しいからなぁ」


口をとがらせていいないいなと羨ましがる少女。半分に切られた木の実をかじり、その不満をぶつけるように豪快にかみ砕く。


「今日のあの荷物だってあーんなにいっぱい運べるかっての! こないだもちょっとあたしが失敗したからってノルマ増やしてきてさぁ。文句言おうとしたらすぐ違う街に出かけちゃうし!」


言っているうちに何か少女の琴線に触れたのか、堰を切るように放流された愚痴が止まらない。

ばっと立ち上がると、まくし立てる勢いはどんどんと増していき、飲み終えた杯を卓に叩き付ける姿は完全に酔っ払いだった。


溜まっていた鬱憤を吐き出すだけ吐き出した少女は、はぁはぁと息を荒げる。


「それならそのおじさんについていけばいいんじゃないの?」


「そう! だから文句の出ない位に仕事を勉強して、いずれは商隊にくっついていくのが今の目標!」


「なるほどね」


内に抱えていた不満を漏らしてはいても、そう言い切った少女の顔はやる気と意思にみなぎっていた。

目標へ一歩一歩進む、まぶしいくらいの表情。


そんな少女の姿を見ていたピュルテが、神妙な面持ちで口を開いた。


「なんでそう思えるんだ?」


それは、同じ親を亡くした境遇にあるピュルテの率直な思い。

あまりにはつらつとした少女を見て、何を思ったのか、言い淀みながらも、うちにある感情を形にしようと言葉を作ろうと、ピュルテは少女に問う。


「お前は、親が死んで寂しいと思ったことはないのか?」


まさかそんな質問が飛んでくるとは予想していなかっただろう少女は、赤らんでいた顔をきょとんとさせる。

質問の意味が頭に入るまで少しの時間を要し、それまでとは異なる落ち着いた調子で返事をする。


「寂しい? ……うーん、どうかな」


少女はピュルテへと視線を向け、


「寂しいとは思うけど、そればかりに囚われても何もできなくなっちゃうから」


だから前をむくと彼女は言った。

寂しさは時折懐かしむときに思い出すだけだと。


そう言ってから、へらりと照れるように笑った少女は恥ずかしさをごまかすように料理を口にかきこむ。


「…………そうか」


そんな少女の姿を見て、ピュルテは何を思ったか。

ファンからはその表情が読み取れない。

ただ一つ。

照れくさそうにしている少女の瞳に、強い意志が灯っていたことだけはファンにも伝わった。

ならば、それを見たピュルテはどう思ったのか。


それを直接口に出すことはファンにはできなかった。

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