第4話 -外伝2 ほっとけえき-
みなさま、おひさしぶりでありまする。
きょんくんとにゃん丸くんのつづきにてございまする。
しばしのおつきあい、
どうかよろしくお願いもうしあげまする。
−◇◇◇−
「にゃん丸くん、きょうは、
「
「ねえさまの主人さまが創つくってくれた道具もあるのですよ」
「ふわふわの、すふれというけえきにしましょうか?
いつものねえさまのほっとけえきにしましょうか?」
「にゃん丸くん、ねえさまのけえきを作るのをてつだってくださりませ」
「…丸くん、…くださいませ」
「…なのですよ」
「…」
「…」
「……できたのですよ!!」
−◆◆◆−
「きょんちゃん?」
きょんちゃんは疲れて寝てしまったみたいだ。
そっときょんちゃんをおぶって部屋に連れてゆく。
ほんとはね、横抱きに運びたいけど、
僕の身体は小さすぎてむりなんだ。
寝床に行き、きょんちゃんを背から下ろすと、
「にゃん丸くん、もう寝る時間なのですか?
一緒に寝てくださいませ」
きょんちゃんが、そんなふうにせがんでくる。
きょんちゃんはずるい。
そうやって無意識に僕の気持ちを乱すんだから。
「きょんちゃん、まだ片づけが途中なんだ。
戻ってもいいかな?」
そうすると寝ぼけた声で、
「そうなんでありますか?
仕方がないのです。夜更かしは…ダメ…なのです……」
そんなふうにつぶやきながら、寝てしまう。
きょんちゃんは本当にずるい。
もう一度たのめば、僕はきょんちゃんと一緒に寝たのに。
下に降りてゆくと、キッチンにはコーヒーを飲んでいる
「きょんは寝たか?」
「うん、…もうぐっすりだよ」
「そうか…。にゃん丸、お疲れさん」
漂うコーヒーの香り。
ぱいろんにぃは、少しだけ黙っていたけど、
急につぶやいて、少し微笑んだ。
「ホットケーキ、美味かったな。狐の姉ちゃんが、子供の頃によく作ってくれたんだよ。
「にゃん丸ときょんが二人して作ってくれたみたいに、
俺の母ちゃんと姉ちゃんとで、掛け合い漫才みたいに言い合いながらな」
ぱいろんにぃは少し笑いながら、
「懐かしかったよ。
きょんはあのホットケーキ、ちゃんと作れるようになったんだな」
「ぱいろんにぃは、きょんちゃんの相方のねえさまって知ってたの?」
僕はそんな風に聞いてみた。
白竜にぃは苦笑いをしてコーヒーを一口。
「ああ、姉ちゃんは俺のもうひとりの母親だからな。
「あいつ、俺の母ちゃんがふらって居なくなった時、狐の姉ちゃんが世話してくれたんだ。
「母ちゃんは家事は苦手…、いや出来るけどあんまりやりたがらないから、
姉ちゃんといると、母親みたいに世話してくれる姉ちゃんに任せっきりでな。
母ちゃんがぐうたらな父親みたいだったよ(笑)」
白竜にぃは、普段見せないような穏やかな顔で、思い出を語ってくれた。
「にぃ、サイファ様は?」
「今は散歩だ。
どこかで
にぃは憂いを含んだ表情をみせる。
そして、にぃに頭をなでられる。
「…きょんを頼むな。
にゃん丸、俺はまたやつのお守りだ(笑)」
「うん」
ひさしぶりの、にぃの優しい手だった。
少しにぃと出会った頃の気持ちを思い出した。
−◇◆◇−
「…にゃん丸くん、行ってしまったのですよ」
寂しそうな顔のきょんちゃんが、僕に無意識に手を伸ばしてくる。
その手をそっと握ってあげる。
「きょんちゃん、ぱいろんにぃはまた来るよ」
僕がそう言うと、きょんちゃんは微笑んで頷いた。
きょんちゃんの手が少し熱くなる。
僕はその手を、しっかりと受けとめる。
手を繋ぎながら、にいが去っていった方角、バベルの方を眺める。
狂った街バビロン。
にぃは大丈夫なのだろうか。
少しだけ、自分を産み、棄てた街をおもう。
−◇◇◇−
そうして世界の竜神と、その使用人、白竜くんは、じゃっくのまちへ帰っていったのでございまする。
また二人となった
そして港には、いつものように、朝日がのぼるのでございまする。
きょんとにゃん丸の日常のおはなし、これにて閉幕にございまする。
それではみなさま、しばしのお別れにてございまする。
どうか元気でおすごしくださりませ。
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