第3話 -外伝1 きょんくんとにゃんまるくん-

-まえがきのようなもの-

『みらいばなし きつねのきょん』は、現在2話あるだけなのですね(苦笑)

きょんを題材とした作品は、今もポツポツと書いてはいるのですが…。


3話目以降は、そういう題材のものを、ひとつに集めて掲載してみようかなと考えています。

よろしければ見てみてくださいませm(_ _)m




−ぷろろーぐ−


きつねのきょんのおはなしから、50ねんが、たちました。


にゃんまるくんは、げんきです。


にゃんまるくんは、あれからすぐに、としをとらなくなりました。


50ねんたっても、にゃんまるくんは、きょんくんの、せいのたかさには、とどきませんでした。


ふたりは、そうして、しょうねんのまま、

なかよく、まいにちをたのしく、すごしています。



  −◇◇−


みなさま、お久しぶりでございまする。


わたしの名はきょん。

きつねのきょんにて、ございまする。

覚えていただいておりまするでしょうか?


あれから長き歳月としつきが過ぎたのでございまするが、

にゃん丸は年をとることもなく、元気いっぱいに過ごしておりまする。


友ぱいろんは、いでんしそうさが、なにやらと申しておりまするが、

ようは、にゃん丸は年をとらずに、わたしとともに、ずっといつまでも、いっしょに居られるということになりもうす。

それは本当に、たいへんにうれしきことにてございまする。


友ぱいろんが宇宙そらの港を去り、

わたくしめは、たいへんにさびしき思いをしておりますれば、

にゃん丸なき生活は、すでにかんがえることならず、

またひとりの生活に立ち返るかくごも、ゆうきも持たぬゆえ、

年とらぬ友にゃん丸が、わがかたわらにずっといるよろこびは、いかほどにも代えがたき吉事きちじにてございまする。



わが相方や、猫又さまたち御一行ごいっこうは、ながき年月としつきが経ったいまも、戻るようすはありませぬ。


二度ほど、相方からの便たよりをいただき申したのでありまするが、

ざつ音ひどく、要領ようりょうのえないお話の便りでございました。


心配ではございますが、あちらはたくさん、こちらはひとりにございますれば、

こちらの心配より、あちらからの心配が大きいのではないかと思いまする。


でありますれば、

いまのわが友、わが家族のにゃん丸がこと。

相方には伝えて、安心させてやりとう存じまする。


わたくしめは、こころ安らかに暮らしておりますゆえ、ご安心めされよと。



  −◇◇◇−


ぼくはにゃん丸。

きつぬやしろに住んでいる、猫耳ねこみみの人間です。

えっ!?人間は猫耳じゃないって?

うん、僕もそう思う。


でも、付いているんだからしょうがない。

そう思わない?


それに、ふつうの人間は年をとるけど、僕は子どものままなんだよ。


ぱいろんにいの言うことには、

元々そういう風に改ぞうされて居たんだろうってね。そんなことを言ってた。


ぱいろん兄は、僕と違ってゆっくりだけど年をとるみたいです。

ぱいろん兄は、初めてにいと会った時よりも、少しおじさんになったんだ。


でも、そう言うとぱいろん兄はかなしそうになるから、だまっているんだよ。

それにぱいろん兄はぱいろん兄だしね。


僕は年をとらなくてもいい。

だって、いつまでも、きょんちゃんといっしょに居られるから。


きょんちゃんは、さびしがりやだから、出かける時は手をつなぎたがるし、いっしょの布団ふとんで寝たがる。


僕はこんな姿だけどね、もうとっくに大人なんだけどな。



今は、宇宙港うちゅうこうのそばの広いばしょに畑を作っているんだよ。

僕のための畑だから、一生懸命いっしょうけんめいはたらいているんだ。


きょんちゃんはあやかしだから、あんまり食べなくても大丈夫だって言うけど。

でもね、僕はきょんちゃんに、美味おいしい野菜やさいを食べてほしいから、たくさん作って、きょんちゃんにあげるんだ。


そうすればきっと、きょんちゃんはいつもみたいな、かわいい笑顔えがおになるから。



ぱいろん兄、僕は元気だよ。

きょんちゃんと会わせてくれて、ありがとう。



  −◇◇◇◇−


にゃん丸くん、

こまつなが虫食いになっているのですよ。


葉のうらがわに、あおむしがいないか、良くみてくださいませ。


全部みて、あおむしがいなければ、よとうむしがいるかもしれないのですよ。


よとうむしは、昼間は土の中でねていて、夜に出てきて葉をたべる、どろぼうみたいなイモ虫なのですよ。


こうやって、土をどけていくと、ほら!!この丸まっている灰色のイモ虫ですよ。


これを探してくださいませ。



  −◇◇◇◇◇−


あなたは元気で暮らしているかしら?


なかなか連絡が取れなくて、とても心配しています。


白竜ぱいろんくんと仲良くしているかしら?


初めて会った時から、あなたは泣き虫だったので、少し気にしています。

だいぶ時間が過ぎてしまったよね。泣き虫が治っているといいけれど。


旅立つとき、あなたを置いてきたことを悔やんでいたけれど、

やはり連れてこなくて良かった。今はそう思っています。


連れてきたなら、あなたを失っていたかもしれない。

こちらでは、そんなことが当たり前な日々が続いています。


でもいつか、みんな、あなたのところに帰ります。

だから、心配しないでね。きょんくん。



  −◇−


元気でやっているか?


こちらは相変わらず、クソみたい出来事ばかり続いている。


おまえといっしょの生活が懐かしいよ。

短い時間だったけれど、おまえと一緒の時間は、正しい時をきざんでいた気がする。


バビロンは相変わらず、イカレた街だ。


おれの名付け親の竜神は、相変わらず興味深い目で世界を見つめている。


天空にクズどもと、地べたをいずる人々と、血と体液と狂気が垂れ流されている街を、床の間の花を見るように興味深く観察かんさつしているようだ。


おまえの送ってくれる、いつもの、日常の生活をつづったビデオは、サイファと一緒に見ているよ。

この薄汚い世界にも、ああいうきれいな所があると、竜神サイファに知ってもらうためにな。



にゃん丸、またいつか会いに行くよ。

それまで、きょんと仲良く過ごしていてくれ。

その時が楽しみだ。



−エピローグ−


宵の明星がまたたき、大地へと光を投げかける。


「にゃん丸くん、明日も良い天気なのですよ♪」


「うん、明日もきっと、きっと良い日が来るよ。きょんちゃん」

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