第2話 9月の日本拳法総合選手権大会

 今年9月の日本拳法総合選手権大会。


 数百人の選手たちの中で、ひときわ私の目を惹いたのが同志社OB、Mさんのこだわり拳法だったのですが、今回の大会では、その後輩である4年生Tさんの拳法が見れるのを楽しみにしていました。


 何がいいと言って、まず彼女の服装。

 普通、道着のズボンというのは、足の踝(くるぶし)くらいまで、人によってはもっと短めで、すね毛が見えるくらいの人もいます。

 しかし、Tさんは踵(かかと)が隠れるくらい長めでダボダボの、まるで、私がむかし履いていたドカンという学生服(ズボン)と同じなのです。

 少しくらい機能を犠牲にしても、自分のスタイルに「こだわる精神」。そこに彼女の強烈な個性を感じるのです。

 また、蹲踞(そんきょ)・礼をして立ち上がるその時、肩をカクカクと、いからせるようにして自分の構えに入っていく。この構えに入るまでと、構えた時の姿になんとも言えないクセがあっていいんですね。


 その長い足から繰り出される蹴りの小気味良さ。

 当たらなくてもいい、 一本にならなくたっていいんです。 「なんだこの野郎 !」という、気概あふれる強烈なファイティング・スピリッツを、その鋭い蹴りに感じるのです。

 https: / /www.youtube.com/watch?v=S6yl eN7ahPQ&spfreload=10


 また、組み打ちで相手を倒しながらも、倒れた相手の足に引っかかって、あられもない姿で真横に、受け身なしで、ドタッと倒れてしまう。

 なんとも言えないリアリティがあって楽しい。

 https: / /www.youtube.com/watch?v=S6yleN7ahPQ


 この人はかなり身体が柔らかいのか、それで、こんな倒れ方をしながらもケガをしないのでしょう。

 「殴る・蹴る」を主体にした、彼女の気力・気迫・気魂むき出しの拳法(スタイル)がいいのです。


2018年12月1日

平栗雅人

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る