第5話 外伝 姉と妹(海里side)

篠原風花(しのはら ふうか)sideーーー


7月7日


昨日、妹が海にいった。


優くんと一緒に。


看守さんに聞いたところによると、

すごく安心した顔で眠っていたらしい。


今日は、七夕だ。


妹も、この綺麗な星空を海で見てるのかな。


ねえ、海里?


お姉ちゃんも、直哉と一緒にいつか

そっちへいくね。


だから、優くんと二人で待っててね。


直哉のこと、受け入れてあげてね。


直哉は口が悪いけど、すごくいい人だから。


優くんのお兄ちゃんだし、海里の義理の

お兄ちゃんになるかもしれない人だから。


この手紙を読んだら、お返事ください。


P.S.

もうすぐ、お祖父ちゃんとお祖母ちゃんも

海里のところへ来てくれると思うよ。


だから、寂しくないね。


私の大事で可愛い妹の海里へ、

風花お姉ちゃんより。


ーーーーーーーーーーーーーー


篠原風花は、女の子らしい丸っこい字で

手紙を書き終わった。


「……ふふ、海里。お幸せにね」


微笑んで、窓から手を出して手紙を放す。


手紙はひらり、と宙を舞って消えた。


篠原風花はキイキイと音を鳴らして

車椅子を動かした。

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