第4話 海里に会いたい(優くんside)
(彼)暁優(あかつき ゆう)sideーーーー
次の日、僕は…自殺した。
監獄から、《彼女が海へいった》との連絡が
来たのだ。
急いで監獄に行って独房を確かめたけど、
彼女がいた場所はぽっかり空いていた。
僕は家に帰ると、ロープを天井に掛けた。
椅子を用意し、ロープの輪を首に掛けた。
椅子を蹴ろうとしたその時、微かに
聞こえた。
《……ねぇ、死んじゃダメっ!》
彼女の声に、ひどく似ていた。
僕は頭に浮かんだ考えを打ち消す。
彼女との約束を守ってやれなかった僕に、
彼女が そんなことを言ってくれるはずは
ない。
だから、僕は…満面の笑顔で椅子を蹴った。
「………すぐ、そっちにいくよ」
息は少し苦しかったけど、
気にならなかった。
彼女の居る場所へと、行くためなら。
僕は視界が開けて、海に居た。
向こうに、座り込んだ彼女が見える。
僕は走り寄って、肩を叩く。
彼女は安心したように笑って、僕に聞いた。
『優くん、来てくれたの?』
「うん。海里に会いたかったから。
ちょっと約束より早く来ちゃったかな」
僕は、笑顔で答える。
首のロープ痕は、きっちり
隠せていたかなぁ?
じゃないと海里が、真実を
知ってしまうから。
『ううん、良いよ。一緒に遊ぼう』
この笑顔を、失わせる訳にはいかないから。
「分かったよ」
僕はまた笑顔で返事をして、駆ける彼女に
着いていく。
《…今度こそ、君をずっと守るよ》
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