第7話「勝利を確信すると大体ひっくり返される。のは、木(気)のせいだ」

「キィー(ちっす、今誕生しました『カマイタチ』って言います。以後よろしく~)」

 ……あれ?カマイタチってあれじゃん?

 真空のせいで刃物に切り裂かれたように傷つく現象でしょ?

 なんでイタチがいるの?

 そしてなんで両手がカマなの?

 馬鹿なの?


(……ちょ!カマイタチ君、足元! 足元! 君のターゲットが通り過ぎてる)

「キィー(お、あれターゲットだったん?もっと強敵相手かと思て、スルーしちゃったよ。まってって! いま駆除しちゃうよー!)」

 頼もしい。惚れてまうやろ~~~~!


「……」

(……)

『……』

 ワクワク、ドキドキ、はよはよ!


『……』

(……)

「キィー(ごめーん。近すぎて今攻撃したら主ごとポッキっといっちゃいそう♪)」

(「♪」じゃねーよ! ポッキっといったら、逝っちゃうじゃん!)


「キィー(上手いこと言った! パチパチパチ)」

『お前の体も中々美味いぞ! パチパチパチ』

 ぐああああああ。下の方もぐもぐされてる!

 もぐもぐタイム(邪悪)だよ!!


「キィー(がんばー、あるじー。よっと)」

(「よっと」って、てめーお隣さんに登って他人事か! こら果物貰ってシャクシャクしてるんじゃない! ご主人様ピンチよ~~~~~)

『モグモグ』

 やばい冗談抜きでモグモグされてる。

 対抗せねばやられる!

 そっそうだ!

 水だ!

 最近得意の水魔法で溺死させてやる!!

 溺死はえぐいが、俺が死ぬよりましだ。


(水魔法!)

『モグモグ。お、雨か。気持ちいいな』

 俺、無力!

 雨魔法が体に染み付いてた……てか、そもそも水を攻撃魔法にするとかどんだけの威力だよ。

 ふむ。そろそろやばいな。


『いくらでもいける。いい味してんなお前』

 てへ、褒められちゃった♪


 ……ぐはっ。

 体が削れる!

 じわじわ痛いわ。これゆっくり死ぬ。きっと死んでしまう……。

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