第5話「木(気)のせいじゃない。受け入れろ」
俺は木だった。
転生先が植物って、なんでだよ……。
(マヂか……テンション上げないと萎える、以外と笑えない……。でも……木だけに萎えたら枯れる!)
因みに俺の周りの木は巨木だらけだった。
樹海の一部なのだろう、昼間なのに暗さが目立つ。
きっと大森林の奥っぽい所な感じがする。
空は暗く。光はあまり差し込まない。
(……魔の森かな?……生き残れる自信がないっす!!!! ちくしょーーーーーーーーー!!!!!!)
それから俺は自らを成長させることと、魔力を操作することに注力した。
生き延びるために。
数年の時を経て、魔力の流れが分かるようになり、体とは違うけど、魔力体?なのかな?
そのどこかにある別の、だけど自分の体を使うことを覚えた。
魔力体?とは、魔力を物理現象に転換する法則を考え、理論形体を作り上げ、実践することで、何かしらが書き込まれる……様な気になっている。
するとその後、一々理論を意識しなくても魔法が行使できた……気がした。
先だって俺が視覚を得たのも、俺が無意識のうちに法則を書き込んでそれを叶える形で魔法が作用したのだろう。俺はそう結論付けた。
そう結論付けてしまえば、後は比較的に簡単だった。
聞きかじった物理法則なんかを俺理論で体系化、実際に検証して納得する。
そうすると、その後は物理法則や何やらを意識しないでも魔法が使えるようになった。
例えばだ。
雨が少ない季節。
のどが渇いたので雨を降らせる。
はるか上空の空気や気流だなんだと操ってみ見せたら、どうやろ俺自身発光していたらしく周りの奴らにも俺が魔法が使えることを気付かれた。
周りの奴らから鳴りやまぬ称賛の声!(が上がっているような気がする)
(っちょ、根を成長させてこっちに寄ってくんのやめない?)
周りの奴らから鳴りやまぬ称賛の声!(が上がっているような気がする)
(その好意が怖いよ。こっちに寄ってくる意味が分からん!)
そんなこんなで、周りの奴らとも仲良くなって俺も成長を続ける。
10年もたてば、貧弱な僕でも!
ちょっとは見られるくらいの木に成長した!
(まだまだ大人ではない。)
周りの大人(巨木)たちは俺に敬意を表し、少ない光が当たれるように枝の成長を制御している。
(うむ。良きに計らえ! ……ん?雨か?任せとけ!!)
そんなこんなでなんとなくだが、不思議な現象と仲間に囲まれて木の生活をエンジョイしていた俺。
その間、幸運にも兎とか鼠にボリボリされて、儚い一生を終えることもなく、ほのぼのライフで俺の警戒心は溶けていた。
……その時であった。
俺は奴に遭遇した。
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