第3話「木だと仮定しよう。」

 木だと仮定しよう。


 木で何ができる?

 木って何が楽しくて生きてるの?

 俺、元人間だけどどうやって生きる楽しみを見出せばいいのだ!!


 …………。

 ……。


 待てよ……。

 その前に……木の生存競争って大変そうじゃね?

 木の実とかめっちゃ実るし、各地に巻いてるやんオトン。

 木の実食べて、周辺に相当数ばらまいてるやオカン。


 俺は脳内(?)で想像する。

 ビックダディーのような大木オトンと、赤い小鳥のオカン。

 ……兄弟の数……半端なさそう……。

 そしてそれだけ兄弟が必要なぐらいに、生存競争激しいのではないか?

 というか、若木のうちに草食獣とかにボリボリとやられてしまうのではないか?

 ならば、生存競争を勝ち抜くために……俺は何をすればよいのか?


 …………。

 ……。


 そうだ、特徴だ。

 一芸だ。

 厳しい競争社会を生き抜くには特徴が必要だ。

 俺にしかできない特徴……。

 転生者でしかできない特徴をださねば……。

 きっとすぐに枯れるか、食われてしまう。

 成長しても樵が来て「ええ感じの木や(満面の笑み)」とか言って伐られる。

 ……想像してみた。斧で胴体斬られるとか……どんな拷問!?

 ……人間コワイ……。


 考えねば。

 俺は元人間、対策は考えられるはずだ!

 斧で叩き斬られないように対策を……。


 ……ここは異世界、そして俺は転生者……。

 それを生かして対策を……。


 …………。

 ……。

 ぐぅ……。


【3日後】

 そうだ、魔力を使おう!


 異世界と言えば魔力じゃね?

 炎とか出せば木こりも怯むのではないだろうか!


 それだ!!!


【更に3日後】

 で、……魔力ってなんだ?

 どうやって把握して、どうやって物理現象に変換するんだ?


 わっかーんねー!


 でも諦めたら試合終了だって、フライドチキンのフランチャイズ創始者が人生欠けて語ってた!


 …………。

 ……。


 昔の人は偉かった。

 こういった時の言葉を俺に残してくれてたよ……。


『馬鹿の考え休むに似たり』


 よーし、昔の奴等。その喧嘩買った!!

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