第6話

何ぼ考えても、昼はカツ丼かチャーハンで、ええねんやろか。ふと疑問?

「ひとみチャンから云われてるんやけど本当にそうなの」と訊くと、

「ひとみチャンがそう言ってるのならそうだ」と云います。

最初は云われた通りにしていたのですが、便が固くて出ないのに困りました。最後は爆発して、臭いのなんの、野菜の必要を感じました。「トマトにキュウリにセロリに人参」と言ってみた。「トマト好き、人参嫌い」の返事が帰って来たのです。トマトを早速買って来ると、食べて「うまい」でありました。人からの言い伝え、アホみたいに信じた方が悪い。嘘か誠か試せばいいことだけなのです。何となくこんなこと一杯ありますよね。


野菜ジュースに色々と工夫。お金ですか。週に1万円、ひとみチャンが箱に入れてくれます。レシートをその箱に入れて、1週間後に残金は回収されて、新たに1万円が入れられます。マットレスとか金額のはる物を買うときは事前に書いたメモを入れておきます。別封筒に入れてくれています。ひとみチャンも生活保護です。勿論、サービス記録には金銭出納は書きますが、無駄な買い物は出来ません。

自分の時は10円、20円高くても、近くて便利な方を選ぶのに、仕事となると違いますね。朝はチラシを見るようになります。「あっ、小松菜98円。安い」とか。ひとみチャンは大雑把でレシートも見てないみたいです。いつも箱に残っていて、私が何月分と書いて封筒に入れて台所の引き出しに仕舞っておきます。主に使うももの、食事代、それと紙おむつ代、介護保険から現物支給されるますが、それでは全然足りません。このオムツ代が結構ばかにならないのです。


昼は出前より、スーパーのお弁当の方が安いので、その分でフルーツなり、プリンが買えます。朝のパンはアンパンしか食べないは嘘で、トースト、オッケーでした。チーズやトマトスライス、レタスやハムでサンドイッチもできるようになり。便秘は治り、肌のカサカサもなくなりました。食生活は大事です。男の私がチョットしたぐらいで効果あるのですから・・みなさんも是非、是非。


Kさんは一日、長椅子で座って暮らします。ラジヲはかけているのですが私がいない時は、ほとんど寝ています。4時に帰るときにマットレスに寝かせるのに、これまた大変なのです。自分から起き上がれない、横になれない人は大変です。あるとき、彼が相撲をしていたことを思い出して、「Kさん、相撲で投げられるやろ。投げられて倒れるんや」と教えました。マットレスの上で組み合って僕がこかそうとすると、彼は力を入れるのです。

「入れたらあかんねん、Kさんは負けるねん」と云うと、やっとマットレスの上に転がってくれるのです。でも、たまに泣くのです。どうして?負けて悔しいからです。何だか見てると、申し訳なくて、もっと他に方法なかったかと思うのですが、これが一番こちらとしては楽なのです。たまに私も休む時があります。代わりのヘルパーさんに出てもらう時、長椅子からマットレスの移し方をこの方法で云います。「投げたら、泣いてはったよ。何で?」と聞かれます。彼は神社相撲の大関だったのです。

 

他に、Kさんがたまに泣く時があるのです。昼から行く時は「また、来たぜ」と挨拶します。ドアーの開ける音で目を開けて、「お、遅いやないか」という日は待ってくれている日。何にも言わない日は不機嫌な日。たいてい、長椅子で座って眠っています。そのKさんが、長椅子よりずり落ちて、長椅子の手すりを持って、泣いているのです。

「どうしたのかな?」と思ってオムツの中を見て分かりました。長椅子に座ったまま便は出来ません。長椅子に捕まって腰を浮かしてくれていたのです。コロっとした状態で私は助かりました。この後2、3回同じようなことがありました。私を助けていてくれているのです。そして、そのようになってしまった自分を悲しんでいるのです。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る