さらに燃えよストラト

 俺はスティーヴィー・ウィンターが白いストラトを弾く姿を呆然として見ていた。俺が真っ赤なストラトで彼と同じ音が出せたと思ったのは気のせいだったのか。いわゆるプラセボ効果というやつだ。まあ気のせいだとしても彼と同じ真っ赤なストラトを手に入れたということが俺のモチベーションを上げたということかも知れない。エレキギターの音は、その80%がアンプで決まり、ギターによる音の違いは弾いてる本人にしかわからないと言う人もいる。しかしながら高いギターを持つとモチベーションが上がり普段よりいい演奏ができる事があるというのはよく聞く話だ。


 しかし、なにか違う……。スティーヴの音が俺が何度も観たライブ映像と何か違うのだ。アンプも同じ、ギターも同じはずなのに何が違うのか。俺はスティーブのプレイする姿をテレビの画面に穴が開くほど凝視して、はたと気がついた。


「赤い照明だ!」


俺はステージ用の赤い照明を1ダースポチった。

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