第3話 心境の変化

梨奈との会話は敬語禁止。

それはいいのだが、「はい」も禁止とは、厳しい・・・


「じゃあ、『はい』と『いいえ』は、OK.

つい出てしまうからね」

「どうも・・・」


そういや、僕は布団の中だ。


「あのう、梨奈、肝心な事忘れたけど・・・」

「何?」

「結局、ここはどこ?」

梨奈は、ため息をした。

安堵なのか、落胆なのか・・・

まあ、後者と思うが・・・


「ここは、この辺りだよ。みんな同じ事訊くんだよね。

みんなとは、ここを訪れる人だろう。


梨奈は、1人で住んでいるのか?

何の目的で住んでいるのか?


でもそれは、訊かないほうがいい気がした。


「康夫くん、聞いてる?」

「はい。聞いてる」

梨奈は、地図を広げた。


用意周到なことで・・・


「ここは、この辺りだよ」

梨奈は、地図を指差した。


すると、山の一か所を差した。


「ふもとの近く?」

自分の方向音痴のひどさに、情けなくなった。


僕は、コンクリートジャングルの、東京には行かない方がいいな。


「安心して、康雄くん。君だけじゃないから」

2人称が、あなたから、君になってる。


フランクになってくれたのか?


「今日は、泊まって言って。明日、送るから」

「了解」

「了解って・・・君もそう言うんだね」


梨奈は。初めて悲しい顔を見せた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る