第2話 敬語禁止
「失礼ですが・・・」
「失礼が多いですね」
怒っているようだが、顔は笑っている。
「で、何ですか?」
「女性に訊くのは、失礼なんですが、おいくつですか?」
「あなたと、タメ歳ですよ。20歳」
「20歳。もっと上に見えます」
「よく言われます」
女は劇的に変化をするというが、激しすぎる。
24歳くらいに見える・・・
苦労しているんだな・・・
「私からも、訊いていいですか?」
「はい」
「どうして、この山に来たんですか?」
「荒療治です」
「荒療治・・・ですか?」
意外な発言だったのか、梨亜さんは、とても驚いていた。
「実は僕は、極度の方向音痴でして・・・」
「はい」
「このままでは、いけないと・・・」
「はい」
「そこで、山の中で治そうとしたら、このありさまで・・・」
「それ無謀です」
「僕も、そう思います」
僕は、頭をかいた・・・
「ところで、康雄くん、もう敬語は使わなくていいよ。同じ歳だし、
私もそうするから・・・」
「えっ、でも・・・」
「いいから、敬語禁止。わかった?」
「はい」
「はい?」
「うん、梨奈さん」
「さんは、いいよ」
「梨奈ちゃん」
「ちゃんもいらない。後、殿も様も・・・」
「うん、梨奈」
「よろしい。康雄くん」
これまでで、最高の笑顔を見せてくれた。
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