第2話 1人は2人____

男は女に惹かれ女は男に惹かれ、まるで其れが運命の様に2人は付き合った

だが世間はそう甘くもなかった

女の親は直ぐにその男と別れよ、そう女に告げた

許される訳が無いのだ、気味の悪い男が自身等の娘と付き合うのが、然して自身等の娘に____あの男の子を孕んでいる事が


「何処か遠くへ」

女は男の場所へ戻って来て小さくそう言った

「良いが」

男は女の顔を見てそう言った

女は一言一言親から言われた事を男に告げた

男は女を抱き締め頑張ったな、頑張ったな、そう励まし女の頭を優しく撫でた


あれから2人は街を出、2人が住んでいた街から遠くへ遠くへと歩いた

時折、男は女に気遣いながら2人は幸せそうに歩いていた

誰にも気付かれない、誰にも何も言われぬ処へと2人は足並み揃え歩いて行った

誰も2人を目に止めなかった

2人は其れが好都合だった

だから2人は微笑みながら歩いて行った


あれから数ヶ月以上たった頃でしょう

女は子を産み、男は子と女の為にも働いた

だが男は体を壊し寝込み

女は男の看病をし、子も男を心配して男を見た

「案ずるな.......また」

男は女を抱き寄せそう言い子を撫で自身の力を引き継がせ男には1輪の花が気高く咲いていた

「この花がお前ら2人を守ってくれるだろう......大丈夫だ......」

男は力なく微笑みそう言い息を引き取った

「お前さんっ」

「おとーさんっ」

女は男を支え叫び子は泣き叫んだ



___愛は時に人を崩す____


男がそう綴った紙が一切れ揺らいだ


さぁ、此処からまた次の世代へと参りましょう____

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る