第11話 調子悪いなりの行動
病院受診も無事終わり、病院でのいざこざはどうなったか分からないけれど、とりあえず帰宅した。
原田さんは、
「今度遊びに行くから」
と、言っていた。内心はもっと清潔な格好で来て欲しい。洗髪もきちんとしてから。言えないけれど。でも、
「はい、待ってます」
と、裏腹なことを言った。本当は待っていないのに。社交辞令というやつだ。それが伝わっただろうか。
それにしても今日は特に疲れた。とにかく待ち時間が長かったから。原田さんも同じだろう。周りの患者は文句を言うくらいだったから。
明日、調子が良ければ小説を書こう。五万字くらい書いたが内容が曖昧なのでもう一度読み返してから書くことにした。書かない期間が約一週間はある。
翌日になり、調子はあまり良くない。でも、小説は書きたい。調子良くないのに書きたいだなんて珍しい。何故だろう。パソコンを開き文章が保存してあるワードを開いた。夢である小説家への道はまだまだ先の話しだ。俺が小説家になる為には、とにかく書いて書いて書きまくって、そして、読書もしまくるのが一番いいかなと思っている。
煙草を吸って休憩を挟みながら二時間書いた。でも、五百文字くらいしか書けなかった。
「はー、疲れた」
でも、遣り甲斐はあった。書いて良かった。
今日は午後からデイケアに行こうかな。調子が悪いのは少し我慢しよう。夏だから茶色のハーフパンツと赤いTシャツで行こう。自転車で。
その前に昼食を少し食べてからにしよう。あんまり空腹ではないけれど、後でお腹空くの嫌だし。台所に行くと母がいて、
「何か食べてからデイケア行こうと思ってるんだけど、なんかある?」
「あら、あんたから食べるなんて珍しいじゃない」
母は俺の方からそう言ったからか、機嫌が良くなった。
「デイケア中にお腹空くのは嫌だから」
「なるほど、そういうことね。野菜の煮物あるからそれ食べなさい」
僕はお鍋から輪切りの大根と人参とこんにゃくを皿によそった。ご飯もジャーから茶碗に半分くらいよそって居間に行ってテーブルの上に茶碗と皿を置いた。そこに胡座をかいて食べ始めた。十分程でささっと食べ終え、もう一度部屋に戻りトートバッグに財布と自転車の鍵とスマホと煙草を入れて外に出た。物置きから自転車を出し、籠にトートバッグを入れ、出発した。
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