第5話 ワイトキングの誕生
首をはねられた、オークはまだ意識があり、
魔王に詫びていた。
「魔王様、申し訳ございません!アグノラさまに手を出してしまいまして!」
「そのような事は良い!この俺が直に殺す」
魔王は200年の間同じような事を何年、何回も繰り返し、眼が血走り、ひと目見ただけて苛立ちがわかる。
アグノラはなぜ自分が殺されるのか解らなかった
このような、仕打ちを国王にされるとは、街に貢献し国王からも認められると、思っていた矢先であった。
「なぜ?この様なことをするのですか、教えて貰えませんか」
「何も聞かずこれを飲めば解る」
魔王は毒々しい、真っ黒い聖杯を渡し、今すぐ飲めと言う
「解りました飲みます、ですが、仲間は逃がしてください、お願いします」
深々と頭を下げ魔王にお願いする、勇者の行動は全て自分を庇うこと悟ってしまったアグノラ自分が犠牲になれば、パーティーは全滅しなくてすむのだから。
「飲むのであらば、考えてやろう!さぁ飲め」
魔王はアグノラを急かす、黒の聖杯は死をもたらし、
意を決して、アグノラは黒の聖杯の中にある黒い液体を飲もうとすると、アギスが止めた。
「やめてくれ、アグノラ、君がそんな事をしなくてもいい、俺が魔王を倒すだから…やめるんだ」
勇者アギスは力なく、言葉を絞りだすが後ろから、エイミーが勇者を攻撃する。
「エイミー?!何をするんだ、やめろ!魔王に操られているのか」
エイミーは勇者を攻撃して来たが、まるで操られているようではなかった、アギスがアグノラをとめたことで頭に来ているようだった。
「魔王様、勇者アギスは殺しても宜しいですか?」
エイミーはまるで、魔王の部下のように振舞う
「教えてやれ!エイミー、いや、魔導士リッチお前は勇者の敵だと言うことを」
「かしこまりました、魔王様」
眼がトロンと魅了されたようにエイミーは死神のような魔物になり、鎌でアギスの頭を切り落とししまった。
「酷い!なんて事を……」
アグノラは両足を床につき、絶望する
「殺さないと言ったじゃないですか!」
「言ってない!考えてやると言っただけだ、蘇らせてやるから、はやく飲め!」
「解りました」
黒の聖杯の黒い液体を飲みほした、アグノラは苦しみだして、黒の聖杯を落としてしまう、アグノラの頭の中に魔王の過去が流れてくる、冥府に住む古き魔王たちのせいで、魂が輪廻転生しないことで、どうにかしろと冥界の神ハデスの命令だった。
「やっと死んだか!後は上手く混ざり合ってくれれば良いのだが、オークに殺すなと言われていたがこいつ《アギス》にも、飲ませておけ」
(確かデュラハンの魂が残ってたな)
デュラハンの魂入り黒の聖杯をエイミーに渡す
「かしこまりました、魔王様、上手く行くとよいですね」
エイミーはアギスに黒の聖杯の中の液体を飲ませる、アギスは元の姿の町娘に戻り、息を吹き返す
「ふん!適合したか、お前は《アギス》は魔王様の、お情けで助かったと思え!」
肝心のアグノラは目覚めない、いくら待っても目覚めない、ワイトキングとアグノラの相性は良いはずだった。
その頃、アグノラは冥界の神に呼ばれていた
「ほう!バージルめやっと目度がついたか、ワイトキングよバージルにコレを渡してくれ、お前の声はいつも聴いていた、優しい娘よバージルを手伝ってやってくれ」
ハデスからコインを預かると、目を醒ました、人間から忌み嫌われ、恐れられた冥界の神ハデスはとても優しかった。
「アグノラ、アグノラ」
魔王は肩を揺すりアグノラを目覚めさせる
「魔王?!」
「済まなかった!あぁするしか俺には思いつかなかった」
「ハデス様から全てお聞きしてます、私で良ければお手伝いしましょう、けれど私が受けた仕打ちはトラウマになそうですが、勇者アギスにも詫びてください!でなければ気が治まりません」
エイミーは腕を組んで仁王立ちして、アグノラを睨んでいた。
「あんたね!馴れ馴れしいのよ、魔王様にこっちは二百年かかって、同士が集まったと言うのに」
二百年もの間に同じ事の繰り返し、時間はかかったが、魔族になった人間は数少なかった、いくら信仰心があっても、リーダーに魅力がなければ、魔族堕ちはしないのだ、戦力になるのは、オーク、リッチ、プチオーク、が主の戦力で冥府の魔王達に戦いを挑むなど愚の骨頂だった。
「リッチよ!そう言うな、今回ばかりは、オークとリッチかなりの手柄だ、ワイトキング候補とデュラハン候補が手に入ったのだ、そうイライラするな」
ワイトキングは古来から魔族の癒しを承り、人間で言うところの大神官クラスの称号を持っていると言われ、カリスマ的存在なのだ。
ワイトキングは勇者に狩られまくって、地上には残っておらず、冥界にも殆ど指で数える程の数しか残ってなかった。
デュラハンも数が少なく、剣の腕がよく、人間で適合するのは、今回が初めてであった。
魔王は高揚し、自分が何をするのか、目的を忘れていた。
「あの、魔王様?惚けてらっしいますか、早めに儀式を済ませましょう」
人間が魔族に堕ちるとき、上位の魔族になる場合は魔王クラスの持ち物が必要でそれを
にしなければ、胎内に宿った
「そうだったなリッチよ、教会に行って早めに済ませよう」
魔王はダンジョンに潜る前に、装飾屋にある依頼をしていた、宝玉を指輪嵌めたリングを二つ頼んでいた、指輪の効果は魂を癒着させ固定するリングである、念の為にオークが執着する女がいる、と言うことは、恐らく適合者に違いないと魔王は踏んでいたのだ、リングは教会で魂の癒着をさせる儀式があるため、オーク《国王》は大神官に依頼をしていた。
「勇者アギスよ、お前の役目は終わった、我が軍に入るか、それとも、民衆にその姿を晒され民衆になぶり殺されるかふたつにひとつださぁ選ぶがよい」
首を落とされたアギス《アイギス》は町娘の姿に戻っており、自分の頭を右脇に抱えながら喋る、
「最初から、仕組んでいたのか魔王!」
アギスは泣きながら、魔王に訪ねる、アグノラはギロリと魔王を睨んで無言の圧力をかける。
「わかった、わかった!言いすぎた、アイギスすまん悪かった、二百年の鬱憤をお前にぶつけてしまった、その通りだ悪かった」
バージルは頭を下げて、赦しを乞う
「魔王様おやめください!こんな奴に頭を下げるなんて」
エイミーは卑屈になりながら、魔王を諭すが、魔王はどうしても、アグノラが欲しいのか、アグノラの言うがままだった。
「魔王、説明してもらおうか!条件次第では仲間になる」
以前の姿が保てなくなった、アイギスは首を元の位置に戻し、話を聞く体勢になる。
「わかった、全部話そう!」
冥界の先にある、古魔族は元々、冥界を統べる冥王ハデスが転生を管轄しているが、古魔族は魔王クラスまでいて、冥府に居座り転生しない、本来ならば、転生し魔獣や魔族からやり直しなのだが
それを嫌がり、冥府に居座り、集まって来る人間は転生できずに、本来産まれてくる勇者すら誕生しない状態なのだ。
「では、
両膝をついて、魔王を見上げ称号のことを聞くアイギスは哀れというか、見てられなかった。
「あれは、オークが用意した偽物の称号だ、一般市民よりは幾分か強くはなれるだろうがな」
腕を組んで、アイギスを見下ろし、手を差し伸べる魔王バージルはアグノラの点数稼ぎをするようにもみえる。
「では、アグノラ、リッチ、アイギス教会で儀式をするので向かうとしょう」
魔王バージルはリッチに魔法陣を用意させ、教会に繋ぐ魔法陣にみんな纏まりダンジョンを脱出した。
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