第3話 大神官の加護編

国王の依頼を受けた勇者アギスは頭の中で戦略を立てていた、誰もが死なず生き残る方法を考えていた。


(駄目だどうしても、エイミーの水晶に監視されてると迂闊に動けない)


国王の依頼としてパーティのメンバーには伝えてある。


(なるべく、自然体でいなければ!国王に怪しまれる)


エイミーは当然、魔王側の命令に従っているので全てアギスの行動は知っている。


(さあ!勇者アギス、いいえ町娘アイギス貴女はどう行動するのかしらね)


エイミーの口元はにやりと歪む。

沈黙を破ったのはモンスターに回復魔法を施した僧侶だった。


「ねぇ勇者、今回の討伐クエストは国王様からよね。めずらしわね?」


そう、国王滅多に討伐クエストは出さないのだ直にクエストを受けるなんて殆どないに等しいのだ。


(憎まれ口を叩いて遠ざけるか?下手に感心を持たれても困るし、ここで支援魔法をかけさせて疲労させてダンジョンに潜るとしよう)


「あぁそうなんだ!地下の最下層におおがモンスターが見つかって1階から大型モンスターの気迫に当てられたモンスターが、発生しているから支援魔法をここで頼むよ!」


(こう言っておけばある程度の魔力を消費する事が出来るはずだ)


「わかりました!物理無効と魔法無効をかけておきますね。」


「ねぇ僧侶もし帰る前に教会で加護を受けて行きましょう」


(ここで、確実にモンスターにクラスアップする為加護を受けさせなければ!)


そう、ボードの効果で祈れば祈るほどモンスター化が進み強化されていく。


周囲はボードの効果によりモンスターは人間に見えモンスターは人間に見える使用になっている、だから僧侶が回復魔法を施した相手は人間で間違いなかったのだ。


「そうね!エイミーありがとう加護を受けて行きましょう。」

(ふふ!エイミーかなり張り切ってるなあ)


町での買い出しが終わり、教会で勇者一行は教会の加護を受けた。


(ふっひひ!エイミーよ良く見えておるぞ、

いやリッチと呼ぶべきか?まぁどちらでも良い魔王様こちらは順調に進んでおりますぞ)


謁見の間で国王は水晶を手に持って覗きこんでいた。


「では、この手はずでお願いします。大神官様、勇者一行が到着した後に準備を進めていただきますよう何卒よろしくお願いします」


大臣は国王の命令で大忙しだった。


「わかった!後は任せなさい。」


大神官でさえまだワイト(元僧侶の冒険者)信者の数が足らない信仰心を持たない国の住人達だけでは足りない?


「大祭で信者を集めワシの信仰心を上げねば

ワシが未だ見ぬワイトキングにならねば」


そうこうしている合間に勇者一行が教会に到着する。


「勇者さま、協会の大神官さまからも加護を受けておきましょう!ここは腕の立つ大神官さま」

(更に効果が出るよう大神官に加護を受けてもらわないと!)


エイミーは大神官よりランクは高く指示を出せる魔王さまのためには更なる仲間が必要なのだ!


「そうだな!僧侶の援護魔法以外も受けておくと僧侶の負担がなくなるからな、そうしよう」

エイミーは魔王さまの負担がかからないように勇者一行を騙し続け監視を続ける。

(この爽やかイケメンは本来ならどうでも良い!僧侶を大神官に合わせて加護を受けて貰わねば勇者アギスお前はオマケなんだよ私にとっては)

「では!大神官さま、勇者アギスさまに加護をそれと順番に僧侶、私との順でお願いします。」


「かしこまりました!国王さまも是非立ち寄り加護を受けてくれとの通達がありまして丁度良いタイミングでした。」

(この僧侶、成る程町娘してはスキルが冒険者並みのLVだ魔王さまが気にかけてる訳だ信仰心が余程無ければここまでLVは上がらない

攫ってきた町娘にしては半端ないスキルだ)


大神官は教会の中に勇者一行を案内すると聖水を持ってきて勇者一行に手渡す。


「この品はモンスターを近づけさせない効果がありますこの場で飲んで行けば1階のモンスターは近づいて来ませんどうかお試しくださいその後に加護を授けますので」


勇者一行は聖水を受け取り何の疑いもせずに一斉に皆飲んでしまう、モンスター化が進行する薬とも知らずに、モンスター化が進行するとダンジョンと出会う人間はモンスターに見え街にいるモンスター達は人間に見えてしまうのだ。


そう、ここの国自体モンスター達の拠点であり魔王さまの指示通りに事が進んでいる。

今回は2人町娘を攫って来て暗示をかけてどの様に行動するかモンスター達に見張られるのだ。


「飲み終わりましたなら、今から加護を授けますので1列にお並びください」

(ワシの評価も上がり魔王さまから恩恵を頂くことが出来るワイトキングも夢ではないかも知れない!)


「では勇者アギスさま我が神バージルの名においてあらゆる困難に立ち向かう勇気を授け給え。」

バージルとは魔王さまの名前であり魔王の加護を授ける杖、魔王の杖を大神官は授かっている。

杖を掲げて勇者アギスに加護を授ける大神官

「おぉ!なんだかかなり身体が強化された気がする」

大神官は僧侶の前に立つと何故か一瞬身震いのようなものを感じる。

(やはり!ただの僧侶ではない田舎から攫って来た田舎娘がこれ程の魔力を持つとは。)


「どうかされましたか?大神官さま。」

僧侶はキョトンとした顔で大神官の顔をながめる

(魔王さまの言う通りだ、只者じゃない凄い逸材だ)

僧侶の発した言葉で甘美な心地よい気分になる大神官

「ではお名前を教えて頂けますか僧侶さま」


「私の名前ですか?名前はアグノラです」

大神官はアグノラの発する言葉で何故か心地よくなり顔がにやけてしまう。


「では僧侶アグノラさま我が神バージルの名においてあらゆる困難に立ち向かう勇気を授け給え。」


すると魔王の杖はアギスと違い赤く光り僧侶を包み込む大神官とエイミーだけに進化条件が整いましたとの声が伝わる!


エイミーはアグノラにバレないように後ろを向いてガッツポーズする。

(魔王さまやりましたよ進化確定です)


「あぁ!何だか魔力が溢れて来るみたいこんなの初めてだわ」

大神官はアグノラのステータスを見ると信仰心がカンストまで上がっているのを確認した

(⁈有り得ない、それほどまでに信仰心を集める事など)


「ほら!ほらエイミーも受けたら?すっごく効くから。ね!」


アグノラはエイミーの両肩を押して大神官の前までに連れて行き加護を催促する。


「私?そうね一応受けておこうかしら」

(私が受けても効果はそれほどないのだけれど怪しまれないようにしなきゃワイトごときの加護では私のステータスは変わらない)


「では魔法使いエイミーさま我が神バージルの名においてあらゆる困難に立ち向かう勇気を授け給え。」

魔王の杖はグリーンに光りエイミーを包み込むと魔力の上昇がエイミーの中で感じ取れる

(え?有り得ないんだけど、ワイトごとき私に魔力上昇を加護するなんて)


(さすがですね!魔王さまからお預かりしている杖は能力の底上げをするとは、しかもあのリッチさまの能力まで底上げするとは)


「これで、加護は終わりです!あなた方のご武運お祈りいたします」


勇者一行は教会を後にしダンジョンに向かった






























  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る