上の空

冬。

マフラーやコートを着ていても寒いと、つい白い息で遊びたくなる。

今、恋をしている。

違うクラスの男の子。

みんなが狙ってる、笑顔のとっても素敵な人。

私なんかじゃ、ダメかな。

白い息を吐く。

学校に行く前から、憂鬱だ。

友達が挨拶をしては、足早に去っていく。

時計を見ると、すっかりいい時間だ。

カバンを握り直して、歩を速める。

廊下にさしかかる頃には、もうチャイムが鳴っていた。

戸を開ける。

すると、そこには見知らぬ顔が並んでいた。

「あ……」

そこで、自分のクラスではないと気づいた。

彼のいる、クラスだった。

自然と、目が彼を探す。

彼は私を見て、少し笑った。

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