目を覚ますともう彼はベッドから起きていた。

下着と白いシャツだけを着て、リビングへ向かう。

コーヒーと軽食はすでに用意されていた。

欠伸をしながら椅子に座り、コーヒーをすする。

彼は特に何も言うこともなく、手際よく食事を済ませると会社に行く準備をし始めた。

そんなことは気にしないで、パンをかじっている。

「例のレストラン、明日の夜に予約しておいたから」

そういう彼の声を、あまり聞いていない。

今日は休みを取ったからゆっくりとしていたいのだ。

彼が玄関に向かうのを見て、重い足取りでついていく。

いってきますは、キスで済ませることにしている。

彼がドアを開けると、朝の爽やかな風と元気のいい日差しが、駆け抜けていった。

数秒後、ドアが閉まる。

二度寝のために、ベッドへと急いだ。

寝室はカーテンが閉め切ってあるため、暗い。

だが、朝の光が漏れていた。

布団で体を包む。

ほのかに、彼の香りがしていた。

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