一人暮らし
金曜の夜、家に帰ると誰もいないのである。
ベッドに身を投げ出し、仰向けになったまま真っ暗な天井を見つめ手の甲を目にやる。
大きなため息をついた。
このところ外食ばかりで食費が高くついている。
今日くらいは自分で作らないといけない。
だが、もう体を起こす気力も残っていない。
静けさの中にある都会の喧騒を、耳から取り入れては吐き出していた。
どれくらい天井を見つめていただろう。
ふと、冷蔵庫の中身が気になって四つん這いのままドアを開けた。
眩しさに一瞬目が眩んだが、空っぽの冷蔵庫の中身を確認するのは、簡単なことだ。
マヨネーズ、賞味期限切れのチーズ、お茶、チョコレート。
その中からチーズを取り出し、一口食べる。
美味い。
そう思うと、自然と立ち上がれた。
明日、いや今日は土曜日。
物音一つしない部屋の中に、チーズの匂いが漂っている。
朝になったら買い物をして、朝ご飯を作ろう。
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