第21話 ゴーレムリーダー

 目的の魔紅石を手に入れた俺は、早々に魔王城へ戻ってきていた。



 イリスから貰った★を確認する為、ステータスを見た所、




[ステータス]

 名前:魔王

 レベル:3   ★:115

 HP:3710/3710   MP:3006/3016

 攻撃力:698   防御力:602

 素早さ:462   魔力:613

 運:682

 特殊スキル:飢狼罰殺牙グラトニーハウンド(Lv.26) 炎獄砲牙ヘルフレイムカノン(Lv.32)




 前回の85から30増えてた。

 でもレベルアップには数値が足りなかったようで、レベル3のままだった。



 新しいレシピが楽しみだったんだけど、それはまあ仕方が無い。

 次の機会に期待するとしよう。



 それはともかく、魔紅石を手に入れたことで作れる物が色々増えた。

 それらを試すだけでも充分意義がある。



 中でも真っ先に作ってみたいのはゴーレムリーダーだ。



 俺は玉座の間のど真ん中で、それを試してみることにした。



 ゴーレムリーダーの作成に必要な素材は、

 土×10 + 石×20 + 魔紅石×1 + MP30消費。



 俺は早速そのレシピを選択する。



 すると例によって眼前に魔法陣が出現、中心からゴーレムのシルエットが浮かび上がってくる。

 その様子は、まるで魔物を召喚しているみたいにも見える。



 そうこうしている数秒で合成完了。

 目の前にゴーレムリーダーが誕生していた。



 体の形や大きさは通常のゴーレムとあまり変わりは無い。

 ただ腕や肩など、そこかしこに金ピカの装具が嵌まっていて、ノーマルゴーレムとは違う特別感があった。



 ゴーレムリーダーは、もっと複雑な指示を理解出来るんだったな。

 ちょっと実際にやってみよう。



 その前に名前を決めないといけないな。

 普通にリーダーでいいかもしれないけど、今後増える可能性も考えた方がいい。

 ならば、



「決めた、君はアルファリーダーだ」

「リョウカイ」



「っ!? しゃべった!?」



 しゃべったことも驚きだが、敬礼もしていた。

 片言な感じだが、これなら予想より複雑な命令も理解出来るかもしれない。



「じゃあ移動するよ。アルファリーダー」

「リョウカイ」



 俺はゴーレムリーダーを連れて、建設途中のダンジョンへと降りた。

 すると、



「うおっ!?」



 目の前に広がっていた光景に思わず驚嘆の声を上げてしまった。



 普通のゴーレム達に作業を頼んでいた大浴場奥のダンジョン入り口が、想像以上の状態になっていてビックリしたのだ。



 斜め下に向かって物凄く長い回廊が出来上がっていたのだ。

 等間隔に設置された壁燭台が遙か彼方まで続いているのが見える。



「すごっ……もう、こんなに出来ちゃったのか……」



 俺はそのままその回廊に沿って下へ降りてみる。

 暫く進むと横穴が続いていて、そこには第一階層と思しき巨大な空間が出来上がっていた。



「えええっ!?」



 そこで二度目の驚嘆。



 それはもう、地下で野球かサッカーでも出来るんじゃないのかってくらいの広さだった。



 確かに階層を作れとは指示したけど、これじゃただ広いだけで勇者の侵入を防ぐような作りにはなっていない。



 仕事が早いのはいいんだけど、やっぱり俺以外に現場監督が必要だな。



 実際、空間の奥の方で未だ壁を掘り続けているゴーレム達の姿が見える。

 とりあえず、一旦作業を止めないと。



 でも、どうやって止めさせるんだろ?

 コンソールを見ても、そんなの見当たらないし……。



 しゃーない、普通に呼んでみるか。



「1号から10号、俺の所に集合!」



「グォ」



 奥で作業をしていたゴーレムが作業の手を止め、反応を示す。

 通路の方からもドタドタと駆け上がってくる足音が近付いてくる。



 どうやら、これでよかったみたいだ。



 ものの数分で俺の目の前に十体のゴーレムが整列していた。

 そこで俺はアルファリーダーに告げる。



「今から彼らが君の部下だ。俺が指示したことを君の裁量で彼らに仕事を割り振ってくれると助かる」

「リョウカイ」



 続けて俺はノーマルゴーレム達に向き直る。



「皆は今からこのアルファリーダーの下で、その指示に従って欲しい」

「「「「「「「「「「グォ」」」」」」」」」」



 ゴーレム達は一斉に声を上げた。



「いい返事だ。じゃあ早速だけど、この階層の構築からだね」



 ここからはアルファリーダーに指示を出す。



「このままだと単調な作りすぎて勇者の侵入を防ぎきれない。なのでこの階層を迷路のような複雑な通路に作り替えて欲しい。出来るかい?」

「ダイジョウブ」



「そう、なら頼むよ。で、出来れば迷路の中心に広い部屋を一つ作っておいて欲しい。そこをボス部屋にするんだ」



 ゲームだと階層ごとにボスがいたりするのが定番だから、作っておいたら役に立つかもしれない。



「んで、同じような作りの階層をとりあえず十階層分、作ってくれるかな。あとで細かい修正はするかもしれないけど」

「ワカッタ」



「じゃあ、よろしく頼むよ」



 言うと、アルファリーダーは「グォグォ」というように、ゴーレムにしか分からない言葉で指示を出し始めた。



 それに合わせてゴーレム達が動き始める。



 さて、これでとりあえず迷宮の基本となるようなものが出来るはずだ。

 あとはそれに、俺が色々付け足して行く。



 その為の仕込みを始めようか。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る