第17話 魔紅石を探そう
俺は魔紅石の情報を集める為、皆を玉座の間に呼び寄せた。
真っ先に目に入ってきたのは、はつらつとした様子のキャスパーだった。
「なんだか生き生きしてるカンジだね、キャスパー」
「ええ、どうやらノミを完全に洗い流せたようで、痒みが嘘のように消えました。その為かと思われます。これも魔王様のお陰です。ありがとう御座います」
「それは良かった」
そのまま彼の隣に並び立つシャルとプゥルゥに目を向ける。
「二人は、体の方はもう大丈夫なの?」
「うん、シャルはもう大丈夫。気遣ってくれて、ありがとう魔王様」
「ボクも、のぼせただけだからもうへいきだよ」
「そうか。で……」
アイルは……と思い、彼女に目を向けると、眼前にいつものボンテージっぽい服があって、俺はドキッとしてしまった。
あんなことがあった後だから、変に意識してしまって駄目だな。
当の本人はちょっとは反省しているのか、照れ臭そうにして視線を合わせようとしない。
「も……もも、申し訳ありませんでした。魔王様……」
「いや……」
俺もぎこちなく返すだけだった。
と、とにかく本題に移ろう。
「それで、皆に集まってもらった理由は――」
「あ、あの……」
言い掛けた所で声を掛けられる。
イリスだ。
「ん? どうした?」
「……」
すると彼女は一瞬、言い淀み、そして――。
「ううん……なんでも……」
「そう」
なんだ? おかしな奴だな。
まあいいや、元に戻ろう。
「で、集まってもらった訳なんだけど、魔紅石っていうものを誰か知らないかなあと思って」
皆はキョロキョロと互いを確認し合う。
それで最初に口を開いたのはキャスパーだった。
「申し訳御座いません。私は、その魔紅石に関する有用な情報を持ち合わせておりません」
シャルとプゥルゥも、
「シャルも聞いたことなーい」
「ボクもしらないなー」
と、似たような反応。
アイルも知らないようで、
「宜しければその魔紅石というものについて、詳しくお聞かせ願えますか?」
と、逆に尋ねられてしまった。
「いやあ、俺も良く知らないから困ってるんだ。ただ、それがあると、よりダンジョンの防衛を強化出来るってことだけは分かってる」
「それは勇者共を苦しめる罠を増やせるってことですか?」
「まあ……そうなるかな」
「クククッ……ならば是非、手に入れたいものですね」
アイルは楽しそうに含み笑う。
だがすぐに、顎に手を当て考え込む。
「しかし困りましたね……誰もその魔紅石の在処を知らないとは……」
「こほんっ……」
「石というからには、やはり地中に存在する鉱石の可能性がありますね」
キャスパーが真面目に分析し始めた。
「こほん、こほんっ……」
「シャルは、その名前から宝石じゃないかなーって思うの」
「ボクもそうおもうよ」
シャルとプゥルゥは彼女達なりの意見を出してきた。
「……ごほんっ! ……ごほんっ!」
「うーん、どうにも情報が少なすぎだなあ」
手掛かりを他の場所へ求めた方がいいんじゃないか? 俺がそう思い始めた時だ。
「ごぉぉぉほんっっ!!」
「って、さっきからイリスは酷く咳き込んでるけど大丈夫? 喉の調子でも悪いの?」
「そう……熱っぽくて鼻水も出るし、本当にしつこい風邪で……って違うっ! 私が魔紅石の在処を知っていると、いい加減気付いてっ!」
俺「あ……しゃべった」
アイル「しゃべりましたね」
キャスパー「私も彼女があそこまで流暢に語るのを初めてみました」
シャル「わーい、イリスがしゃべったー」
プゥルゥ「ボクもきいちゃった」
「……!?」
イリスはハッとなって、慌てたように身を背ける。
その顔は非常に赤くなっていた。
てか、魔物でも風邪引くんだ……って、そこじゃない!
「今、魔紅石の在処を知ってるって言った!?」
するとイリスは、いつもの無愛想な顔付きで、
「う……うん」
とだけ答えた。
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