解説

中庭でサボっている男子学生2人が"あくびカウントアプリ"というアプリを試してみるという物語です。



アプリの結果は3人でした。


そして「僕と順子と光太郎と先生の計4人」という太郎の言葉から、カウントされる人数は"アプリを起動した本人を含めた人数"を示していることがわかります。



欠伸をした人数は"3人"。語り手である"俺"とその友達の"太郎"と……あと1人は一体誰なのでしょうか。


なお、「何回も試してみたんだけど全部当たってて地味に凄い」という言葉からどうやらこの結果は誤りではないようです。



現在、中庭にいるのはサボりをしている語り手と太郎の2人しかいません。

そして文中に「無人となった学校の」や「こっそりと屋上を出て」と書いてあることから、屋上にいる担任の先生やクラスの人達を除いて学校内に人はいないということになります。



では一体3人目は誰なのか。

太郎いわく、「半径5m以内しかカウントしない」のでその人物は携帯の半径5m以内で欠伸をしていたことになります。



物語の最後に語り手は太郎の方を見ていましたが3人目の存在に一切気付いていませんでした。

つまり、語り手の死角にいたということになります。


極めつけは"俺の方を見て怯えた様に目を見開かせる太郎を見た気がした"という語り手の描写です。

きっと太郎は3人目の存在に、しかもそれが語り手の近くにいたことに気付いたのでしょう。



しかし、一体いつ語り手に気付かれることなく近付いたのでしょうか。



アプリを起動し欠伸をした語り手は"屋上のうるささに辟易"していました。

先生がいる流星群の観察でしかも夜です。中庭でうるさく聞こえる程の声を出せるのでしょうか?

私語や流星群への盛り上がりでうるさくなるとしたら先生は当然注意して静かにさせるはずです。


うるさくてなっても注意しないとするならば、何か重大なことが起きた時くらいでしょう。


そう、屋上から中庭に聞こえるくらいの大声を出してもおかしくない程の問題……。



語り手は終始気付かなく、太郎も結果が出た直後までは気付くことのなかった3人目の存在は屋上から落ちてきた誰かだったのでしょう。



それにしても落ちてしまった最中に欠伸が移ってしまうなんて何だか呑気な状況ですね。


もしかしたら"落ちてしまった"のではなく"自分から落ちた"のかも知れません。

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意味がわかると怖い話「あくびカウントアプリ」 蛇穴 春海 @saragi

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