0-5/6.スキルチェック


 先程までステータスが表示されていたメニュー画面中央部に、今度はスキル欄が表示される。スキル欄は大きく二つに分類されていた。

 左側にはパーソナルスキル、右側はオブジェクティブスキルと言う括りになっている。なんか聞いたこと無いワードやな。パーソナルスキルは更に三つに別れている。

 ナビィに聞いた事を要するに、パーソナルスキルとはスキルの対象が自分への物で、オブジェクティブスキルとはスキルの対象が自分以外への物らしい。直接、誰に影響を及ぼすかという基準で分けられているようだ。

 ノーマルは言わずもがな、レジストは耐性、コアと言うのは自らに根付いた一つ上のランクのスキルだそうだ。



▼パーソナル スキル

-----コア-----

[赤の加護] [緑の加護]

[青の加護] [白の加護]

[黄の加護] [黒の加護]

[土の加護] [紫の加護]

[喰魔]

[無限収納インベントリ]

-----ノーマル-----

[NIS] Lv1/熟練値:5%

[メニュー] Lv1/熟練値:2%

[自動回復] Lv1/熟練値:5%

[探査] ロック中/初期熟練値:8%/消費MP-5

[マーカー] ロック中/初期熟練値:8%/消費MP-5

[鑑定] ロック中/初期熟練値:8%/消費MP-5

[視界調節] ロック中/初期熟練値:3%

-----レジスト-----

[精神汚染耐性] ロック中/初期熟練値:9%

[物理耐性] ロック中/初期熟練値:3%


▼オブジェクティブ スキル

[殴打] ロック中/初期熟練値:6%



 初期にしては数が多い気がする。半分くらい色の加護の気がするが、これはステータス欄に有った属性と一致するのでそれ系のスキルなのだろう。この括りにはレベル表記がないので、恐らくは成長の余地のないスキルだということなのだろう。

 詳しく見ようとパーソナルスキル欄を選択してみると、欄ごと少し手前にポップした。一番左上に載っている”赤の加護”が選択状態になっているようで、オブジェクティブスキルのあった右側スペースにスキルの説明欄が出てきた。


▽赤の加護

火と炎の事象を行使する為の前提となる加護。


 赤の加護があれば火と炎の魔法だか魔術だかを使えるようになるって事のようだ。他の加護も確認してみたところ、青は”水と氷”、黄は”雷と幻”、土は”土と石”、緑は”風と木”、白は”光と神聖と生命”、黒は”闇と空間と時間”、緑は”魔”の事象を司っているようだ。ナビィによると、加護はあくまで魔法を使う為の前提スキルだそうで、加護を得ているからと言って、直ぐに凄い魔法がバンバン使えるようになるわけではないようだ。そりゃそうね。全属性とは言っても無条件で俺TUEEEE出来るわけではないよね。

 では次は”喰魔”を見ていきたいと思う。”喰魔”を選択し説明を注視する。


▽喰魔

喰らったモノは生物・非生物問わず、すべて自らの糧に出来る。その性質上喰魔を持つ者は全ての神の加護を得る。自ら殺し、其の全てを喰らうことで、効率的に自らを成長させることが出来る。


 おお……なんだこれ……。

 説明文を見る限り、全属性はこのスキルの影響らしい。要は敵を倒して食べなさいってことかしら。うーん、食べるってのがいまいちピンとこない。

 何か引っかかってる気がするけど、それより次のスキルへの好奇心が勝った為、一旦頭の隅へ追いやる。


 インベントリってのはあれですね、定番の奴。メニューにあるアイテム欄もここに繋がるんだろう。


無限収納インベントリ

自らが触れている非生物を際限なく異空間へ収納することが出来る。収納物は半径25メートルの範囲の、任意の位置に取り出す事が出来る。異空間では時間が凍結している。


 これはすごい便利やね。前世で欲しかったね……時間凍結機能まであるなんて至れり尽くせりだ。

 なんだか気分が盛り上がってきたので、他のスキルも一気に見てしまおうとぽぽぽんとタップする。


▼パーソナル スキル 

-----ノーマル-----

▽[NIS/ナビゲーション・インターフェイス・システム)] Lv1/熟練値:5%

…ナビゲーション・インターフェイス・システムを構成するスキル。レベルが上がる毎に機能が増え、能力が向上していく。


▽[メニュー] Lv1/熟練値:2%

…メニュー画面を構成スキル。レベルが上がる毎に機能が増え、能力が向上していく。


▽[自動回復] Lv1/熟練値:5%

…HPとMPが毎分1%ずつ回復する。


▽[探査サーチ] ロック中/初期熟練値:8%

…半径25メートルの範囲にあるものの情報をマップで反映させる。


▽[マーカー] ロック中/初期熟練値:8%

…視界・ワールドマップ上から生物・非生物をマーキングを付けることが出来る。自らの半径15メートル以内に入ると、壁越しでも白い輪郭が目視出来るようになる。同マップ内でのみ位置を確認出来る。


▽[鑑定] ロック中/初期熟練値:8%

…視界に映る対象物をAR上で鑑定する。MPを消費して更に情報を得る事が出来る。


▽[視界調節] ロック中/初期熟練値:3%

…視界の光量を調節出来る。


-----レジスト-----

▽[精神汚染耐性] ロック中/初期熟練値:9%

…精神汚染を10%軽減出来る。


▽[物理耐性] ロック中/初期熟練値:3%

…物理ダメージを10%軽減出来る。



▼オブジェクティブ スキル

▽[殴打] ロック中/初期熟練値:6%

…素手または棒状の物で殴りつけた時のダメージ+5%。  



 ふむふむ。大方字面通りの感じだな。レベルのあるスキルは成長度合いに拠って強力になるんだろう。 NISってのはさっきナビィが言ってたやつだな。

 熟練値って、熟練度だと考えて良いのかしら。それに殆どのスキルがグレーでロック中と表記されてる。そういやステータスでも見たな。よく見れば、ロック中の表記のあるスキルにはレベル表記がされていなかった。どゆこと?教えてナビィえもーん。


《スキルを獲得した時点ではロックされ使用出来る状態では無い。アンロックするには初期熟練値を100%にする必要がある。初期熟練度の数値を達成するには幾つかの方法がある。》

――えぇ……手に入れてもすぐに使えんのか……しかしてその方法とはなんぞ?

《あなたにはスキル獲得ボーナスとして、時間経過に拠る初期熟練値を獲得する権利が付与されている。これは初期熟練値にのみ適応され、一時間に1%の初期熟練値を得る事が出来る。つまり計100時間、残り90時間07分29秒後にスキルの一つが自動的にアンロックされる。》

――90時間!?

《肯定。残り90時間07分20秒後に更新。一部のスキルはあなたがこの世に誕生した瞬間から計測が始まっている。現在から8時間52分45秒前。》


 なんだか急にいっぱい数字言われたので軽く放心状態だ。……ん?八時間?


――最短でアンロックされるスキルは熟練値9%の”精神汚染耐性”だと思うけど、最短が残り90時間だとしたら一時間ずれてない?

《”精神汚染耐性”もあなたの誕生時に計測を開始しているスキルの一つだけれど、事象の経験値に拠る初期熟練値上昇が起こっている為、あなたの誕生時に計測を始めた他のスキルより1%多い状態。》

――事象の経験値に拠る初期熟練値上昇?

《そう。初期熟練度を上昇させる為の二つ目の方法。スキルを獲得する際、行為や事象の過程を経験した経験値に拠ってスキルを獲得するが、その経験値を繰り返し得る事で初期熟練値を獲得する事が出来る。しかし獲得出来る数値は微々たるもの。》


 つまり、木刀で素振りをしていれば”剣道”だか”剣術”だかのスキルを得ることが出来るけど、そのまま素振りを続ければ、素振りの経験値が溜まって初期熟練値に還元出来るって事かな?


《肯定。そして三つ目、”喰魔”に拠る自らへの取り込み。同スキルを持つ個体を喰らう事で初期熟練値達成までの期間を短縮することが出来る。》

――おぉ!良いこと聞いた……って。


 これまでの話を聞くに、今現在”鑑定”の使えないボクには誰が同じスキルを持ってるかわからないってことじゃん!?

 物理耐性の為に何回も崖から落ちるなんて御免被るし、”殴打”の為に壁殴り代行みたいな真似しても、得られる初期熟練値も微々たるものらしい。他のスキルはどうやって手に入れたかわからんし……。精神汚染は考えたくもない。


――はぁ……気分転換に先に他のを見ておこうかな。


 一息ついて、他のメニュー項目へと視線を流す。


 次はアイテム欄を開く事にする。

 ここもタブ形式になっているようで、タブ名が左側に縦に並んでいる。今あるタブは”すべて”と銘打っていて、その直下には+のアイコンが有る。これを押せば新規タブを制作出来るようだ。ちなみに”すべて”のタブには何も表示がされていないので、何も入ってないことが判る。

 これ以上は特に弄れる所もないみたいなので次はワールドマップへ移動する。


 どうやらこちらも見る限り弄れる所は無い様に見える。と言うのも、表示位置全体が白く、右下の方に小さく円形に色の付いた所があるだけの画面だったからだ。面白くないので何か無いかとぽちぽちとあちらこちらをタップしていると、例の小円付近でポンッ、と弾んだ音と共に表示が拡大した。

 小円が少し大きくなり、位置が中央右上付近に変わる。もう一度小円付近をタップすると、またも弾んだ音と共に表示が拡大された。小円の中央には現在位置を示す青い涙型の光点が灯っていた。

 どうやら現在位置のエリアをピックアップ表示しているようだが、それでも尚、表示画面の殆どが白で埋め尽くされている事は変わらない。恐らくこの小円は移動に拠るオートマッピングの跡だろう。

 もしや、と思って画面上で指をすぼめて開く動作をしてみると、案の定光点の表示が拡大し、縮小している。スワイプしてみると動く動く。感覚的な操作にも対応しているようだ。如何せんマッピング済みの範囲が狭すぎるのでいまいちマップとして機能していないのは愛嬌ですね。


 よくよく見るとワールドマップ上部に何やら文字が走っている。どうやらこのエリアの名前のようだ。


~フォレストメイズ:アルヴィエール大森林~


――アルヴィエール大森林……それがボクの生まれた場所か。


 まずはここからだ。

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