幸せなんて

「ごめn..なッ深桜、、、ッ」

泣きじゃくりながら

謝り続ける



泣き疲れてしまった頃

ずっと流そうと思っていた

留守電を流す

そこからは聞きなれた

もう聞けない深桜の声

はっきり主張するようで

どこか透明感のある

綺麗な……綺麗な声…

『ごめんね、実は私が轢かれる前に

 夢を見ました、君が死んでしまう夢です

 多分公園前の交差点だと思う

 これ私死んでなかったらものすごく恥ずかしいやつだね

 私は君が死んでしまうぐらいならと思い

 自分が身代わりになることを決意しました

 君は優しいから自己嫌悪に陥ってるかもしれない

 でもね、私は君に前を向いて生きてほしい

 私からのお願いです

 どうか、生きて 

 どうか、、、、誰かを精一杯愛してください

 幸せな家庭を築き

 幸せな日常を送ってください

 急に消えてごめんなさい

 私はいつでも君を天から見守っています

 そろそろ、さようなら』


気付かぬうちに涙は溢れてく……

俺の行動を見透かされていた自己嫌悪に陥ることも気づかれていたのか

苦笑するしかない俺は

どうしても

現実を受け入れがたく

泣きながら独り佇むしかなかった

そういえば、買い物にいく前は、あんまりあいつと喋ってやれなかったな。。

もうちょっと喋っときゃ、よかった

いくら嘆いても死者は帰ってこない。




そう、俺がいくら何を言っても

それは一人部屋に木霊するだけ

だけど、言わなきゃこの心は壊れてしまいそうに痛くて


そして、あいつの夢を、ただの、夢で終わらせられなかった。

だって、場所が同じで

あのとき深桜が俺のことを押さなかったら

俺が轢かれていたから



だから俺は深桜を信じている

今でも、昔も

俺は、少しずつでも


前を向けるだろうか、、


歩いていけるだろうか


誰かを愛せるだろうか



彼女が死んで

二日目の朝がきた




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る