第11話 冒険者招集
「ごめんって、俺は冒険を手伝ってってことで言っただけだって、でも君がそんな捉え方するなんて…ごめんって」
『……やだ』
この子が「脱ぐ?」なんて言ってから少し立った頃、特に悪いことをしていないのにジンが怒られる側になっていた。どうやら、この子はアレのことだと思ったとか。
この子は、ベットの上で、体育座りをしており、不貞腐れている。
俺、悪いことなんてしてないのにな。相手が勝手に勘違いしただけなのに。
そんな想いは口に出したかったが、それを出すと余計に不貞腐れるため出さなかった。
「明日デザート沢山食べていいから、機嫌直してよ」
『……約束』
「ああ、約束だ」
なんてチョロいのだろう。デザートで仲直りすることができるなんてチョロい。まぁ強力な冒険仲間ができたからいいか。
ジンは正座していた足を解いて、またベットの中に入った。
「寝よう?」
『……うん』
もう機嫌は治ったようだ。それにしてもベットは慣れないな。硬い床の方が寝やすいかもしれない。なんか柔らかくて、体が包まれているみたいに感じるから変な感じがする。
まぁ、寝れたらいいか。場所なんて関係ない。
ジンは牛小屋の寝やすさを考え、隣に入ってくる、少女と一緒に眠りに落ちた。
♢
『……おはよ』
「お、おはよう……どいてくれるかな」
『……ん』
朝起きると、目の前には、少女がいた。先に起きたのだろうか。ジンの顔を覗くように見つめていた。
少女がどいたことにより、ジンはベットの端に座り、ボーっとする頭をゆっくりと起こしていく。
突然頭に浮かんだことを言ってみた。
「名前なんて言うの?」
なぜ今まで聞かなかったのだろう。話せる時点で、名前を聞いておいた方が、話しやすくなっていたかもしれない。失敗したな。
『……ない』
「ないって名前なのか、そうか」
『…違う…ついてない』
その声は、悲しそうで、寂しそうで。そんな声だった。
「そうか、ついてないのか、そうだな……ローチェはどうだ?」
『うん!ローチェ、ローチェ!』
喜んだようで良かった。これから少女はローチェになった。
さて、頭も起きてきたし、冒険者ギルドに入って、今日の分のお金を稼ごうか。
♢
「今日の依頼は…」
『…これがいい』
「いや、無理だから」
少女が、指をさした依頼は、マンティコアの討伐。どう考えたって、無理な討伐依頼だった。
ウォォォォォォーーーーーーーーーン、ウォォォォォォーーーーーーーーーン
冒険者のみなさん。至急ギルドに集合してください!繰り返します!
至急ギルドに集合してください!
「なんだ?集合って」
周りの冒険者も驚いている。何かあったのだろうか。みんなそわそわし出し、おどおどし、ガッツポーズをしている人もいる。
「みなさん!冒険者大会の日が来ました!!」
「「「「おおおおおおおおおおおお!!!!!」」」」
なにそれ、冒険者大会?
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