第4話 前例のない魔法で草
「おし、そこの君かな、珍魔法の子ってやつは」
なんてバリトンボイスなスキンヘッドの男がきた。でも意外と、声と体型がとても似合ってる。
多分これがマスターって人だろう。
「えっと、多分、そうかな?」
「自分ですらわからないのかよ、そんでどんな魔法だ?」
わからないって、こちとら、あの、おじさんからもらっていた小さな情報しかないし、あいにく、10歳の頃から情報は一切ない。あのおじさん、よく草について、世界について教えてくれてたな。
「まぁ、こんな感じかな【生長】」
「おいおい!魔力練りすぎだ!!!!!爆発すんぞ!!!!!なんだよその魔力量は!!??」
そんな事はないと思うけど。魔力ってみんなこんな感じじゃないのかな?でもどんだけ今まで【生成】を使ってきたと思うんだ、こんなそこらじゃ爆発はしない。
この魔法は弱点ってか、地面からしか生えない。もしくは、土を持ち歩くしかない。あいにく今土なんて持っていないので、身につけている草を【成長】させた。
その草は、どんどん葉を増やし、淡いピンク色の花を咲かせ、一部は成長限界を超え、一部は枯れ、多くなった葉をちぎって元の葉の量に変え、見えないようにした。
「こんな感じかなこの魔法」
マスターって男のツルツルな頭が、ありえないほどの汗をかいている。
そして、目は接点が若干あっていない。
「……ここを爆発する気か!!!!!!!」
いや、する気は無いけど、なんか、ごめんなさい。
周りに、酒を飲んでいる冒険者方も、みんなこっちを見ていた。
ある者は、目を見開き、またある者は、体が震えていた。
♢
「お主、爆破する気は無いんだな?本当にないんだな?」
今、ギルドマスターの部屋に来ている。
どんな魔法だって言ってきたから、言っても「草生えて草」って詳細は書いてありますって言っても、何もわからないだろうから、実際に見てあげたのに、この仕打ち。
「無いですよ?ただ、どんな魔法だって言ったから見せただけです」
「本当に本当か?」
「さっきからそう言ってる」
いや、バリトンボイスのダンディなのに、なんか、子供っぽいって言うか、なんか、ね。
「まぁ、
「……何が?」
魔力?あるのは知ってるけど、そんなにあるかな?まだ、1割も使ってないけどな。
検問前で1回目、ギルドで2回目、そんなそこらで、魔力がきれるわけないだろうに。
「 何がって、さっきの魔力量、フレイム並みだぞ!?それを何がって、そんなの国がほっとくわけがない!」
「いや、そう言われても、ねぇ、家から出た事なかったし」
なんせ、親があれだ。常識なんてクソくらい。生きるのに精一杯だ。ってか、フレイムってどんなだ?
「そうか、田舎もんだもんな、どこ出身だ?」
「……わかんない」
あのおじさんがもう少し長生きしてれば、知っていたのかな。でも父が殺したし、死んだ奴は語らない。
「わからないってなんでだ?親に、教わらなかったのか?」
「……話したくない」
「そうか、まぁいい。個人情報だしな、そんで冒険者になりたいんだっけな、冒険者カード発行代で500レギットだ」
言わなくて済んだ。まぁどんなに聞き出そうとしても知らないから、言えないけどな。
それよりも、お金。今無一文だ。これは、諦めるしかないのか。
「お金ない」
「……は?それ、本気か?なんでお金ないのにここまで来れた?それに、その草の下、裸だろ?」
「親が、その、あれだから」
あれ=殺人鬼。息子を家畜扱い野郎。
「そうか、病気か、災難だな仕方ない後払いで許してやる、代わりに今日中に、浄化草を20本採取してきてくれ、そしたら、ちょうど500レギットとお釣りで200レギットだ」
「あ、うんわかった、どんな草だ?」
なんか、勘違いしているが、これは言い直すのも、大変そうなので、そう言うことにしておこう。
「これなんだけどな、最近浄化ポーションが足りなくてな、取ってきて欲しいんだ」
見せてきたのは、水色の花。そこらで、栽培できそうな花だった。浄化ポーションは、井戸水の洗浄や、酒場や、宿で使うらしい。
「わかった、取ってくる」
「おう、暗くなると外で野宿になるからな」
「わかった」
そう言って、ギルドマスターの部屋を出て、すぐに、ギルドの模擬戦練習場に来た。
ギルドマスターの部屋の窓から、模擬戦練習場が見えていたので、そこに来た。
まぁ、理由は、土だ。
練習場は、地面が土でできていた。なので、
「浄化草だっけ【生成】」
見た目をイメージして、草を生成し始めた。
地面から、黄緑色の葉が二枚。どんどん伸びて、蕾ができ、花が咲いた。
「よし、完璧!」
さっき見た浄化草そのまんまだった。なんとかかった時間は、10秒ほど。簡単に量産ができる。
「まだ、1か」
何度も繰り返し、作りつずければ、2、3、4と、同時に【生成】できるようになるんだろうけど、まだ、初めてだ。失敗しないよりマシだろう。
そんなことがあって、100品出来上がった。最後の方は、2本同時生成とかできるようになった。
そして、かかった時間は、15分ぐらいで終わってしまった。
「まぁ、こんだけあればいいだろ」
練習場を後にした。
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