第5話 Fランク
「あ、マスター終わったよ?」
「……へ?」
練習場を出てから、すぐに受付まで戻ると、まだ受付嬢と話しているギルドマスターを見つけた。依頼を達成したので、報告に来たのだが…
「まだ、20分も経ってないぞ?そうか、また浄化草を見るために来たんだな?」
「いや、これ」
「……は?」
会話が成り立たない。背中の草ポーチから浄化草がいきなり100本出たら驚くわ。
20本だから、5倍だ。700×5=3500レギットだ。
「報酬の3500レギットください…くれ」
「……どっかで買ってきたんですよね!?そんなの見れば分かりますよ!」
受付嬢がそんなこと言ってくる。だが、取り立てほやほやな浄化草だ。買うにしてもいくらか品質がいいだろう。
「どうぞ、見てくれ」
「え、あ、分かりました、嘘はバレますよ?」
嘘なんてついてないんだけどな。まぁ見てくれればわかるだろう。
受付嬢が一本一本こまめにチェックしていく。そして少しずつだが、受付嬢の顔が真剣になっていく。
「…レン、全て偽物だよな?」
マスターがとっても疑っていた。だから嘘なんてついてないんだけどな。
「…………いえ、全てとっても新鮮です」
ありえないっと顔で語りながらマスターに言った。顔から血の気が少し失せている。
「嘘だよな?」
「いえ、どれもさっき取ったような新鮮さです」
そりゃ、さっき取ったばかりだからな。
「…どうやった」
「えっ?」
「だから!どうやったんだ!」
何も害はないはずだけど。それに、依頼条件は、「20本採取してこい」だった。自分で育てて、採取でも採取だ。
「育てて、採取した」
「……は?」
また口が開いてますよマスター。本当のことを言ったのが悪かったのかな。
受付嬢も苦笑い。
「だから、スキルで作った」
「……そんなことができるのか!?」
「んー、そうみたい?」
昔からの生命線だったし、命の恩人だからもう、親友でいいよね?
「そんなスキルなんだな、それで報酬だったか、3,000レギットだな」
マスターさん。もう、目が死んでいる。そんな驚くようなことじゃないと思うんだけど。
「それでは、魔力を測りますね!」
受付嬢はもう戻っていた。
受付嬢の方が、マスターに向いている気がする。
受付嬢が持ってきたのは、鏡だった。
「この鏡が、あなたの魔力を数字として表してくれるんですよ!それでは触ってください!」
魔力を測ることができるんだ。冒険者とかで仲間募集とかで役に立つのだろうか。
手を伸ばし、あと少しで鏡と触れる。
…………ピキ!まだ触れていないが、ヒビが入った。きっと、使い捨ての魔道具なんだろう。とジンは思った。
そして、そのまま手を伸ばし、触れた。
パリーーーーーン!!!!!
綺麗な音とともに、鏡は粉になって散っていった。ジンは、粉々具合で、魔力を測るのか!と思っていた。
「な!ななな、なんで!!!!!」
受付嬢がまた、さっきの顔へ戻ってしまった。2人とも、話すような余裕はないらしい。
ジンは何がなんでなのかもわからない。
♢
「コチラガ、カードでゴザイマス」
「マタ、キテクレ、ジンクン」
まぁ、見ての通り、精神的に病んでしまったらしい。それに、冒険者カードには、魔力パラメータが、0になっている。
理由は、「カードは水晶が判断する」という事だ。水晶がなぜか、0にしたのだ。
それと、俺の魔力は、桁が違いすぎて、測れないらしい。そのため、カードは0になっている。そのほかの体力、筋力、俊敏、器用のパラメータは一般人より、若干低かったぐらいだ。低いのは、多分栄養失調かな。
「じゃあねー、また明日来るよ」
もう昼過ぎだ。今日は、服の調達と、宿取りぐらいかな。
♢
「1500レギットだ」
「はい、これで」
今服屋に来ている。今日は750レギットで、一式の服(パンツ、シャツ、ズボン)のセットが、売っていた。なので、2セット買って、使い回せばいいだろう。
「あとは、宿か」
店を後にして、今度は、宿に向かった。
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