タジタジ
その後、エルに話しかけられてたじたじになっているセイラを見て俺は笑いそうになったがそれをセイラに見つかってしまう。
「おい、くそユウ!なににやけてやがる!」
「ゲッ!?」
セイラは物凄いスピードで俺に蹴りをくらわす。
俺が防御魔法をかける暇もなく、俺は吹っ飛ばされた。
「ぐぇ…。いってぇ…!!いきなり何するんだよ!?」
なんとか衝撃を和らげる魔法は間に合ったので大けがをすることはなかった。
「ユウ、大丈夫?」
サクラが俺に駆け寄ってきた。
「衝撃はやわらげたけど、蹴られた場所が痛ぇ…」
「セイラ!いきなり蹴ったら危ないでしょ?」
「うるせぇ、くそユウが俺のことに矢ついてみてんのが悪いんだよ。あとセイラって呼ぶんじゃねえ!」
とセイラはソッポを向いた。
「セ…クロエ、謝ろう?」
エルがセイラの服のすそを引っ張りそう言う。
まっすぐな目で見つめられたのでセイラはまたたじろいだ。
「知らねえよ。つーかお前、俺に構うんじゃねえ!」
「私、『お前』って名前じゃないわ。エルミラ・アンジェラって名前がちゃんとある。そして私のことはエルって呼んで」
というエルにセイラははあーっとため息をつく。
そして「ちっ…」と舌打ちをしてセイラはまた自分の部屋へと戻っていった。
「ユウ、怪我はない?」
エルは俺の方に駆け寄った来た。
「まあ、なんとかな。それにしてもエル、お前すごいな」
「ええ、ほんとに。あのセイラを…」
「なんとなくなんだけど…セイラはきっと不器用な人なんだと思うわ。…こんな口の利き方しかできない私が言うのもなんだと思うけど…」
とエルは俺とサクラに申し訳なさそうに言う。
まあ、セイラが不器用なのはもとから知っているんだけどな。
「エルは、セイラの友達になりたかったのよね?」
「そう、私、友達がたくさんほしいから…セイラとも仲良くなりたいって」
「たぶん、セイラの方もエルみたいなタイプが初めてでどう接すればいいのか分かんないんだよ。あいつ、友達少ないからな」
「あらユウ、あなた人の子といえるほど友達いるの?」
「あんまり話したことはないけど、いるぜ?変人ばかりだけど…」
そう、こう見えても俺は『雪花の白兎』以外でも友達はいる。
ほかのギルド、特に『雪花の白兎』と親睦が深いギルド『幸青の小鳥』に所属しているノクシュ・ノクヤプとは話があったりする。
後は『紅蓮の狼』に所属しているブージー・アリファーン。
スプリング王国のトップ3の実力を持つギルドに一応だが友人はいるのだ。
ただこの2人は一緒に話していて楽しいが、ちょっと頭のねじが外れているところがある。
いわゆる変人というやつだ。
主に話す内容は魔法についてのことなので、話してもわかんないことが多いかもしれないという理由で話してなかった。
「ほらちょこっと話したことあるだろ?紅蓮にいるブージーと幸青にいるノクシュ」
そう言うとサクラは「ああ、あの人たちね…」となるほどと納得してくれた。
そしてエルの歓迎会は夜明けまで続いた。
俺は知らぬ間に寝てしまった。
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