エルと会話

 そのあと、セイラにどうするのかを聞くがひと眠りしたら帰るといっていた。


「そうか、でもできるだけ早く帰って来いよ?新入りの…エルの歓迎会まだやってるからさ」

「あっそ」


 とそっけない態度をとってセイラはすぐに寝息を立て始めた。

 すごい寝つきの早さだなと、俺はある意味感心してしまった。

 そして俺は何とも言えない気持ちでギルドに帰ることにした。


「ただいま」

「あらユウちゃん、おかえり」


 母さんが俺にそう言う。


「セイラちゃん、どこにいたの?」

「『聖星の木』で昼寝してたよ。もうひと眠りしたら帰るって言ってた」

「そう…」

「母さん?暗い顔してどうした?」

「うん?いえ、何でもないわ。あっ、そうそうエルがユウちゃんと話したそうにしてたわ。ずいぶん、気に入られたのね」

「えっ?あっ、そうか…なんか照れるな…」

「モテモテね、ユウちゃん」


 と母さんは俺をおちょくってきた。


「はぁ!?何わけわかんないこと言ってんだよ!?」

「…鈍感ねぇ。まあいいわ、行ってきなさい」

「おお…わかったよ」


 俺はなんかもやもやした気持ちでエルのもとへ向かう。


「どうだエル、楽しんでるか?」


 俺がそう話しかけると少しビクッとするが俺だとわかると安心した顔を見せる。


「ユウ…。ええ、とても。私の故郷にはないモノばかりで新鮮な気持ちだわ」


 と控えめに、でもキラキラした目で俺にそう言ってきた。

 なんだか小動物みたいだな。


「今度ね、サクラとお洋服と部屋の家具を買いに行く約束したの」

「そうか、よかったな」

「ええ、とても楽しみ。あっ、そうだ。ここには私とサクラ以外で女の子がもう一人いるの?その子とも話してみたいわ。とてもきれいな子だった」


 それを聞いて俺は…いやたぶんギルド全員がヒヤッとしたことだろう。

 たぶん、エルが言っているのはセイラのことだ。

 今、セイラが居なくてよかった…。

 これを聞いてたらたぶんセイラはブチギレるところだっただろう。


「あー、エル?たぶん、そいつってセイラのことか?」

「セイラっていうのね、名前もきれい」


 …エルにはたぶん悪気はないんだろうな。

 本当に本人が居なくてよかった。


「驚かないで聞いてくれ…。セイラ…クロエは男だ」


 俺がそう言うとエルは「えっ?」と固まった。


「…そりゃ驚くよな」

「驚いたわ…。教えてくれてありがとう」


 とエルはホッとしながら言う。


「あと、セイラの前でセイラって呼ぶとめちゃくちゃ不機嫌になるからクロエって呼ぶようにしておいた方がいいな」

「…わかったわ」


 

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