セイラを探して
セイラのやつ…いったいどこへ行ったんだ?
…思い当たるところをとりあえず探してみるか。
俺はため息をつきながらそう考える。
セイラの行きそうな場所…なあ…。
今思えば同じギルドで育った者同士なのにセイラのこと、全然わかんないんだよな。
あいつ、自分のことめったに話そうとしないし。
家族のように育ってきたはずなのに、なんでだろう?
「おーい!セイ…じゃないクロエー!どこだ~?」
…ってこんな風に呼んでも出てくるような奴じゃないっていうのは知ってんだよな、俺。
まずはセイラの部屋に行ってみるか。
そう思い、俺はセイラの部屋へ向かう。
「おーい、クロエー。いるか~?」
俺はセイラの部屋のドアをノックする。
返事は帰ってこない。
いても返ってこなさそうだが…。
ドアノブに手をかけてみるが、ガチャッと鍵がかかっている音がした。
…って言ってもあいつの場合いてもいなくても鍵がかかっていることが多いんだけど。
デリカシーがないと思われるかもしれないが…透視魔法を使うか。
「『
俺はドアの向こう側にあるセイラの部屋を透視魔法で除く。
どうやらセイラは自分の部屋にいないようだが…。
俺はセイラの部屋の様子に驚いた。
なぜなら、セイラの部屋には書物が散乱していたからだ。
しかも、それは『魔力過少体質』についての本ばかりだった。
『魔力過少体質』とは名前の通り、魔力が少ない人の体質についてのことだ。
一度魔力を限度まで使い切ってしまうと、回復に時間がかかってしまう。
魔力の回復に支障が出ると、体も弱っていき、最悪の場合死に至ることもある。 まさか、セイラも『魔力過少体質』…?
そうだとすると合点するところが思い当たる。
あれは2年前のことだった。
依頼で俺、サクラ、セイラで魔獣退治に行ったとき。
なかなかの長丁場で俺たちもフラフラになっていた。
だが、そんな中セイラだけが明らかに様子がおかしかった。
体調が悪いのか、そう聞こうとした途端セイラは倒れた。
俺は大丈夫かとセイラの体に触れると、彼の体はまるで死んでいるのではないかと思えるくらい冷たくなっていた。
俺たちは急いで病院にセイラを運んだ。
早急な判断のおかげでセイラは一命をとりとめることができた。
俺とサクラは魔獣の毒に侵されたと思っていたのだが、今思い出してみるとあの魔獣は凶暴なだけで毒なんて持っていなかった。
確かに俺やサクラに比べてセイラは魔力量が少ないと思っていたが…そういうことだったのか。
それがあって以来、セイラは一人で依頼をこなすことが少なくなっていった。
まさか、この体質を知られたくなかったから、あんなに強く人に当たっていたのか?
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