ようこそ、ギルドへ2
そして時間は正午。
みんな準備は終えたようだ。
「はい、みんな~!注目!」
と母さんはギルド広場にいるみんなに徴集をかける。
「みんな分かっている通り今日からこの子、エルミラ・アンジェラちゃんがこのギルドに入団します。新しい家族よ、盛大に迎えましょう!乾杯!」
母さんがそう言うと、みんなも乾杯!と持っているコップやジョッキを上に掲げた。
未成年の俺らはジュース、大人組はお酒で乾杯をした。
そして、エルの周りには他の団員も集まっていた。
みんな新しい家族になったエルと話したいんだろう。
エルはというと恥ずかしそうに、だけど嬉しそうに団員たちと話していた。
ちょっと耐えきれなくなったのか、エルは母さんの後ろに隠れてしまったけど…。
「あらあら…甘えん坊さんなのね」
母さんの後ろに隠れたエルをかあさんは優しく微笑みかける。
「ごめんなさい…」
「謝らなくてもいいのよ。少しずつ、ゆっくりと慣れていきましょうね」
エルはあまり人馴れをしていないようだ。
今までどんな生活をしていたのかは気になるが、それよりも今はこの『雪花の白兎』に慣れていってほしい、そう俺は思う。
過去のことは、もう少し後でも大丈夫だろう。
「エル!」
とサクラは母さんとエルのいるところに向かった。
サクラの声を聞いてか、エルはちょろっと姿を現す。
「サクラさん?どうしたの?」
「もう、『さん』づけなんてしなくてもいいわよ。サクラって呼んで?」
サクラがそう言うとエルは恥ずかしそうに「サクラ…」とつぶやく。
それを聞いてサクラはうんうんとうなずいた。
その光景を見て、俺は微笑ましいなと思った。
「うわっ、何ニヤついてんだよ。気持ち悪っ!」
というセイラの声に俺はまたいらっとした。
「あぁ!?別にニヤついてなんかない!ほんっとにお前は一言多いな!」
これさえ…いやほかにもいろいろ悪いところはあるけど…治せば。
ほんと、いいのは顔だけだよな…。
昔はもうちょっと素直なやつだったのに、なんでこんなに性格がひん曲がってしまったのか…。
「お前、そんなんだから友達いねえんだぞ?わかってんのか?」
余計なことだと思ったが、つい口に出してしまった。
俺はちょっとやばいと思った。
なぜなら、少しだけセイラの顔が曇ってしまったからだ。
「別に友達なんていらねえよ、バーカ」
そう言って、セイラはどこかへ行ってしまった。
「あー…言い過ぎた…」
俺はさっきの発言をしてしまったことを後悔してしまった。
「あら?セイラちゃんどこ行ったの?」
母さんは俺にそう訪ねる。
「わかんない…。でも原因は俺のせいでもある。ちょっとセイラのことを追いかけてみる」
俺は母さんにそう告げる。
母さんは「わかったわ」という。
俺はセイラを追いかけた。
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