第6話 喧嘩

僕は眠れない日々が続いていた。そんなある日、僕は仕事中に過呼吸で倒れてしまった。


異変に気づいた詩織が駆け寄り、僕を応接室に連れていき、タオルとバケツを用意した。

苦しむ僕の身体をさすり、傍を離れようとしなかった。 ……何なんだよ。何してんだよ。


「仕事中なんだから戻れ!」と僕は息も絶え絶えに詩織を怒鳴りつけた。僕が今みんなに迷惑をかけているというのに、なんで詩織まで一緒になって迷惑かけてんだよ!何してんだよ!


詩織は黙って席を立ち、応接室を出て行った。だが、10分もしないうちに戻ってきた。


「今、有給休暇を出してきた!文句ある?!

こんな時に他人の心配してる場合じゃないでしょ!? どんだけ我慢してたか知らないけど、あたしがどんな思いで見守っていたかわかる? もういい加減にしてよね!!」とまくしたてた。


「……こんな事で有給を出してくるなんて馬鹿じゃないの?!」僕はまた怒鳴った。


詩織は黙った。そして思いっきり僕の肩にグーパンチをした。


僕は何も言わず支えてくれていた詩織の優しさに泣きそうになった。だからとっさに怒鳴ることしかできなかった。

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