第4話 狂い始めた歯車

健二が死んでから1週間が経った。

僕は健二にしてやれた可能性を考え続けていた。記憶を遡り、間違えた選択を正そうとし続けた。


健二から電話のあったあの日、仕事を中断して話を聞いていれば…。

詩織とやりとりしていたあの時、健二にもっと電話をかけ直していれば…。

何度も何度も鳴った電話に、たった1度でも出ていれば…。


あの時…… あの時…… あの時……。


だがしかし、現実は何1つ変わる事はなかった。

そして僕は自分自身の心が壊れ始めてる事に気付かず、間違った選択の道を選び続けていった。


健二が死んだのは、相談に乗ってあげられなかった僕のせいだ。

健二が死んだのは、詩織のことしか考えてなかった愚かな僕のせいだ。

健二が死んだのは、千里の電話に出なかった僕のせいだ。


…………。


僕のせいで、健二が死んだ。

僕のせいで、千里から健二を奪った。

僕のせいで、千里が悲しみ、苦しんでいる…。

こんな僕でもできる事が何かあるはずだ。

それならば…


僕は千里が悲しまないように励ましてやらなきゃいけない。

健二を失った悲しみを分かち合うことで、千里の心の負担を軽くしてあげなければいけない。


〝 僕が支えていかなきゃいけない 〟


そんな思いが僕の中で大きくなっていった。

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