第8話
『ねぇ光一 お風呂先入ってきて』
「電気を点けないで いっしょに入らないかい」
『それもいいかも 待って 今 部屋の灯りも消すわ』
そう言うと美麗は 部屋中のすべての灯りを消した
そして光一の手を取り バスルームまで連れて行った
光一も美麗も一糸纏わぬ裸になり 浴槽に浸かった
浴槽に浸かりながら 二人は何度も口づけを交わす
光一は 美麗の小ぶりの胸の膨らみを愛撫し始めた
美麗の吐息が バスルームにこだまする
ふたりは 風呂から上がると 光一は缶ビールを飲み 美麗は髪を乾かす
やがて まるで自然のような仕草で 二人はベッドへなだれこんだ
優しく光一の愛撫が始まり 二人は ついに契りを結んだ
美麗には 初めての経験だったのだろう シーツにひとかたまり紅い血が染まる
そして二人は 抱きしめあいながら いつのまにか静寂の闇の中に溶けこんでいった
翌朝 美麗の携帯に着信が入る 山田からだった
「おはようございます マスコミがもう匂いを嗅ぎつけたようです とりあえず迎えに行きます」
やがて 美麗の部屋のドアチャイムが鳴った
『外は どうなってるの?』
「我々は普通にしてれば大丈夫でしょう 光一さんは 単独行動で外に出た方が無難かと」
『光一の撮影は 午後よね これ私の部屋のスペアーキー 持ってて』
「こうなると思って 変装の準備もしときました このバックに入ってます お使いください」
「任せておけよ 俺は役者だぜ 美麗 いってらっしゃい」
『うん じゃあお先に 昨日のことは 忘れないわ ありがとう』
二人の愛は とても順調だった
しかしあまりにも幸せ過ぎたのだろうか
光一と美麗の交際が発覚するのも時間の問題だった
多くのマスコミ達が こぞって光一と美麗の密会の写真をスクープし報道しまわった
同じ事務所ということもあり さすがの小林社長も怒り沸騰してしまう
マスコミに騒ぎ立てられ 二人の愛は 織姫と彦星のように引き裂かれてしまった
美麗はショックのあまり 半年近く入退院を繰り返す うつ病に陥ってしまう
それから6年
浅野光一は アメリカのハリウッド映画で活躍する 世界的なスターになっていた
そして 光一はニューヨークの自宅に帰宅すると 元マネージャーの恵梨香が光一を出迎えた
部屋の奥からは 子供の笑い声が聞こえる
光一と恵梨香の仕事上の相棒が 愛に変ったのは 美麗と別れてから3年後だった
美麗は 結局今も独身のまま31歳の誕生日をテレビ局で祝ってもらっていた
愛は 赤い糸で紡がれし者どうしの運命なのだろうか
ーーー つづく ---
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