第7話

イブの夜の束の間の時間



忘年会もかね 小林プロダクションのメンバーが互いの一年の労をねぎらう


光一と恵梨香が隣りどうしで 窓の外の粉雪を眺めていた



『光一君 今年はまさに飛躍の年ね 私の直感は当たるでしょ 運命の人もできたようね』


「さあ それはどうだか」


『私も実は 光一のこと好きだったのよ 本気だった でもマネージャーでも側にいられる ふふ』


「もしかして気づいてます?」


『それは毎日行動いっしょだもん 例のあの日に二人はできたんでしょ?』


「もういいや そうですよ でもからだの関係はまだですよ 食事だけです」


『じゃあ言うわ 私の直感 今夜 二人は結ばれるわ 明日の撮影は午後からだから 電話してね』


「またあ 恵梨香さんの直感 外れたことないもんな~ 今夜は緊張するな~」



大勢の中 小林が瓶ビールを持って売れてる順に挨拶していく


まず最初に 美麗にビールを注いだ 何度も何度も社長の小林が頭を下げる


そして 光一のところに小林が来た



「ありがとう 光一君のおかげで我社も大助かりだよ 海外からも注目されている ハリウッドも正直

 夢じゃない 英語の勉強もしておいてくれ」


「はい ありがとうございます アメリカなんて夢の夢でしたから」


「その夢が叶うのも時間の問題だろう 来年は映画のハリウッドからも 主役のオファーが来てる 頼むよ」



楽しい時間が過ぎていく 11時になった時 パーティーは終わりを告げた


美麗が光一のもとにやってくる



『光一 これプレゼント』


「あ 僕も これ」


『今夜私のマンションでカウントダウンしましょ ね 恵梨香さんも来てくれるでしょ』


『はい 大丈夫ですよ』


「山田 行くわよ」



4人を乗せた車は とばりの中を吸いこまれていくように 美麗の六本木のマンションに向かった


18階のボタンを押すと エレべーターは 高速で昇って行く


光一も恵梨香も初めて入る美麗の部屋だった


ホームヘルパーを頼んでいるのか 部屋はとても綺麗で広く リビングには大きなツリーが飾ってあった



『今 ドンペリとウーロン茶持ってくるわね 恵梨香 手伝って』


ホームヘルパーが準備したのか 軽いオードブルが用意されていた


『今夜は 無礼講よ 美麗って呼んで じゃあメリークリスマス』



みんなシャンパングラスで乾杯する メリークリスマスの声が部屋にこだまする


楽しく談笑をしていると 山田が時計を見た



「カウントダウンまで あと1分です」



みんな山田の顔を見て カウントダウンを待った


1分は思ったより 待つと長い時間だ



「15秒前・・・ 10、9、8、7、6、5、4、3、2、1 メリークリスマス~!!」


用意されたクラッカーがパーンと轟く



その時だった


美麗が光一へ抱きつき 唇を重ねたのだった


山田も恵梨香も唖然とする



二人のキスは 煌々と照らすシャンデリヤの下 眩い煌めきに輝いた



『山田さん 帰ろうか』


「そうしますか 美麗さん 明日また向えに来ます 今夜はごゆっくり」


『光一君 お幸せに』


そう言うと 山田と恵梨香は姿を消した



もうこの広いマンションの部屋には 美麗と光一しかいなかった


二人は 互いのプレゼントの中身を開けた



美麗には 光輝くダイヤモンドの指輪だった


光一には ロレックスの時計だった



美麗と光一は もう一度 乾杯し シャンパンを空けた



窓の外の粉雪が 幻想的に映る



ーーー つづく ーーー

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