第35話「今日は楽しい休息日(中編)」
そんな訳で約束の時間になりまして、ティエラちゃんをお屋敷の入り口でお出迎え。
「こにゃにゃちわ~!」
独特のイントネーションで元気良く笑顔で挨拶するティエラちゃんがそこにいた。
オフショルダータイプのものかな? フラットなラインの胸元で鎖骨が見えるデザインのフリフリフリル付き半袖ブラウス。
上から覗けばほんのり見える胸元にドキッとさせられる。
あと胸元のリボンが可愛らしい。
それにフードの付いた短めの黒い袖なしカーディガンベストを羽織り、フリルの付いた赤いフレアスカートという姿。
純白の衣装と肌の日焼けとのマッチングが普段は健康的でスポーティな印象の彼女に女性らしいフェミニンさを与えていて実に良い。
半袖とはいえどお姫様ドレスのようにふっくらとした肩デザインは彼女のちょっと鍛えすぎた三角筋を隠してほどよく華奢に見せてくれる。
フリルの付いた裾が特徴的な白黒横縞ストライプのニーソックスも効果は抜群だ。
ボーイッシュで体つきもちょっと筋肉質な彼女がしっかりと女の子である事を主張しているその姿は、そこはかとなく普段とは異なるギャップによる可憐さのようなものがかもし出されている。
魔法石の付いた綺麗なリボンのシューズ、小さな魔石の飾られた腕輪に、魔獣の毛皮から生成された
これは、見た目だけでなく突発の市内遭遇戦を想定したマジックアイテム機能も考慮されているコーデかな?
けどまぁ、一言で要約するとおおよそこの言葉に集約される。
「私服、可愛いね!」
「お、あんがとなぁ。これな、おとんからこないだゴワンド・ダウの商店モール行った時に買うてもらったんよ。今一番のオキニなんやで」
「そうなんだ~」
ちなみに、ゴワンド・ダウの商店モールというのは、今トーリェン・プリム内のセレブの間で大人気な屋根付き大型商店街である。
トーリェン・プリムの中央街にあるその建物はなんていうか……お城そのもの。
外観は、全体的に神聖な感じの色づかいで彩られている。ほんのり淡い青と白やクリーム色で構成されていて実に荘厳だ。
エレガントな室内装飾達に飾られたなんというか……ゴシック調の? う~ん……まぁ中世の豪華な建物をイメージしてくれたら大体当てはまると思うよ。
中には大小様々なお店が詰め込まれている。もちろん店構えも有名ブランド店ばかりという精鋭ぞろいだ。
まぁ一言で言うなら凄く綺麗な……まぁ、見た目お城みたいな感じのデパートみたいなものかな?
「そっちこそ、めっさおめかししてはりますや~ん。も~可愛ええなぁ! どこのお姫様かと思うてしもたわ~」
「ありがと~。私もこれ、お気に入りなんだ」
今日の私の私服はなんというか。ゴスロリデザインの色合い甘ロリ風味?
首元までふわふわしたフリルの付いた純白の半袖ブラウス。
やっぱり肩はお姫様風のふわっとした奴。流行ってるのかな?
フリルなスカーフで胸元が飾られててボタン留める辺りとかもふわふわのフリフリ。
当然スカートもレイヤードのふわふわフリル。色は淡いピンク色。
リボンの付いた白のニーソックスに、やっぱり魔法石の付いた可愛らしいブーツ。
腕には魔石付きのブレスレットと
考える事は一緒だね。今日の鍛錬はお互いに本気って事だ。
「お熱いのぅ。わらわ達は眼中にもないとな?」
そんなシアの服装も外行き用のお洒落仕様。
魔法使いのローブのようにゆったりとしたワイドな袖を持つ長袖の黒ブラウスにフリルの付いた黒のレイヤードスカート。
胸元にフリフリのリボンをあしらっていて、肩からフリフリのフリルがおへそら辺でクロスするようなデザインが特徴的。
そして紫色をしたケープ風なデザインのフード付きロングマントと、実に魔術師的な特徴のゴスロリ風衣装。
そしてニーソックスの下はやっぱり魔法石付きのリボンが可愛らしいブーツ。
あ、これ魔法特化で市内遭遇戦になっても高火力で魔法ぶっぱできるアサルト魔力戦仕様の思いっきりガチな奴だ……。
シアは何と戦うつもりなのかな?
それはともかくとして。
「しょうがないよ。ミリアちゃん。可愛いもん」
興奮を抑えきれないような表情でフンスフンスしながらララちゃんが熱弁する。
ララちゃんはいつもの私服。
民族衣装のディアンドル風って言ったら伝わるかな?
胸元を見せたブラウスに、胸元を締めて強調させる胴衣、ふわふわのスカートにエプロンを付けたらできあがり。
典型的な、みんなのイメージするであろうちょっとお洒落な村娘衣装、って感じなんだけど。
ただ、エプロン部分には呪印がびっしり書き込まれていて
みんな万が一の市内戦に備えてらっしゃる。
まぁ、貧民街から武装した物取りとか来たら怖いもんね。
けどこの装備なら返り討ちにできる事間違いなし。
憲兵なんて待ってたら殺されちゃってもおかしくないもんね。
自分の身は自分で守らなきゃ。
というわけで、強くならなきゃいけない理由の一つを思い出しつつ、ティエラちゃんを見やる。
「お? やる気満々やな?」
「うん」
「ほな、さっそく行こか。奥に訓練場、あるんやろ?」
「うん、パパとかがたまに使ってるの。今日は貸切だよ」
このスターフィールド家のお屋敷からちょっと歩いた場所に、パパがお休み中に良く使う訓練場がある。
まぁ、お庭がめっちゃ広いからそれと比べてしまえば遠いとは言えないけど、けっこう歩く。
それなりに長い時間歩いた先にある小さな森の中にあるのだ。
うん、林レベルかもだけど、ちょっとした森があるんだよ。
広いよね。うちのお庭。
そんなこんなで、屋敷の扉を出て歩き出す私とティエラちゃん。
屋敷の入り口から出ないララとシアを見てティエラちゃんが首を傾げる。
「なんや、ララとシアは来ぇひんのか」
「私はほら、重戦士タイプだから。拳闘型と訓練するのは危ないかなって」
「そんなん気にしてたら実戦なんかでけへんわ。防御魔法モリモリにすれば怪我も大してせぇへんやろ」
「それもそうなんだけど……」
「ララちゃんは今日、お母さんとお出かけなんだよね」
今日はララちゃんのママ、ローゼシアさんのオフ日なのだ。
だから親子水入らずでお買い物に行くらしい。
「うん、ごめんね~。今日はママとお買い物なんだ」
「なんや、ほんならしゃぁないなぁ」
「わらわも今日は母上とお使いなのじゃ」
シアはシアでオルディシア先生とどこかへお出かけなのだそうな。
シアは冒険者を目指している訳だし、修行かもしれないし、もしかしたら魔法使いとしてオルディシア先生のお仕事のお手伝いなのかもしれない。
そんな親子水入らずの時間、邪魔できるはずが無い。
休日をどう過ごすかは個人の自由。
だって
「っつぅ事は……二人きりやな」
「そうだね」
「今夜は寝かせへんで?」
私の顎をくいっと右手の指で持ち上げながらキザに語るティエラちゃん。
顔が近い……。
なので私もお返しだ。
「それじゃあお泊りの部屋は私の部屋にする?」
「……ふぇ?」
「ベッドも大きいし、二人くらいなら余裕だよ?」
「にゃわっ……!?」
頬をボフッと赤く染めながら目を背けるティエラちゃん。
「はにゃ、はにゃにゃ……そ、そそ、そういうんはな、もうちょいと特別な仲っちゅうか……な? もっとこう、なんちゅうか、もっともっと仲良うなってからやないと……」
顔を赤らめてモジモジしだすティエラちゃん。
けっこうウブなんだよね。もう本当に可愛い。
「そ、そんな事より、ほら行くで!」
「はいはい」
そんな感じで二人仲良く手を繋いで、屋敷からちょっと離れた訓練道場へと向かうのでした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます