エルデフィア転生記~異世界転生したら魅力極振りSランクの兎耳半獣人美少女にTS転生したので獣耳美少女達とキャッキャウフフの百合百合学園生活を満喫しながら天辺目指します~
第8話「白露花女学院名物、地獄の戦闘訓練(後)」
第8話「白露花女学院名物、地獄の戦闘訓練(後)」
――そう、それが去年の冬の話。
そして今、やっとあの日の雪辱を果たす日がやって来たのだ!
あの日の屈辱を晴らす時が今、まさに目の前にあるのだ!
だったら、震えてなんかいられない。
私は一人、名乗りを上げて立ち上がった。
「いいねぇ、そう言う子、好きだよ。さぁ、他にはいないのかい? ここにいるのは敗北に怯えて縮こまるだけの弱虫貴族だけなのかい?」
相変わらず、あえて悪役口調で鼓舞してくれる先生の声に、私の他にも応える者がいた。
「うちもいったるわ。そこまで言われて行かんかったら女がすたるっちゅうもんや」
わずかに足を震わせながら、ティエラちゃんが立ち上がる。
それが、武者震いによるものか恐怖によるものかはわからない。
けど、彼女の助力があるのであれば、それはとても心強い。
「良いねぇ。その心意気やよし、だ。さぁ、他にはいないのかぁ~? 二人じゃ死ぬぞ~」
先生が生徒達を見回す。
私は、ララちゃんとシアを見つめる。
「わらわでよいのか?」
その問いに。
「うん、お願いできる?」
信頼を込めた瞳で見つめる。
シアでなければならない。彼女だから必要なんだ。
いつも一緒だったからこそできる連携がある。
そして、私は彼女の力を信じてる。
だから、彼女以外に適任はいない。
後は、彼女の私に対する信頼度だけだ。
「ふむ、名指しで頼まれては断われぬではないか」
言葉とは裏腹に、にやりと笑みを浮かべながら立ち上がるシア。
そして――。
「ミリアちゃんが私の力を欲してくれるなら、私は例えその先が地獄であろうと、ついていくよ」
私の指名を二つ返事で応じてくれるララちゃん。
これで、あと一人いれば――。
「――ならば、わたくしも御一緒させていただいてよろしいですかしら」
名乗りをあげたのは、なんとレイアちゃんだった。
彼女と組むことは今まで少なかった。
もしかして、さっき少しお話した事で仲良しフラグでも立ったのだろうか。
「秘策がありますの、ためさせて頂いてもよろしくて?」
レイアちゃんはにっこりと笑顔で微笑んで、私達の元へとやってきた。
俺は前世の小学校の時。そう、体育の授業の時とかの事だ。
一緒に組む人を選べ~ってのがずっと苦痛だった。
余り者とばかり組まされる日々。
友達のろくにいない日々。
灰色の人生。
――けど今回は違う。
この世界は違う。
仲間がいる。
友達がいる。
みんなが味方してくれるのだ。
こんなに嬉しい事は無い。
この模擬戦闘における擬似戦闘。
最大参加可能人数は五人。
いわゆる五人パーティ制。
軍で言うなら、一分隊。
実戦における最小限の戦闘単位だ。
つまり、一人じゃ戦闘にならないんだよ。
人間ってのは、弱いからな。
魔獣とか化け物共とかと違って、人間の体は脆くて貧弱だ。
それは獣人族だって変わらない。
――だから、群れる。
群れることの出来ない奴は淘汰される。
群れることこそが人間の強みなんだ。
ならば魅力とは、群れを率いるために大切な、なんとこの世界を生きるのに適した能力だろうか。
そんな風に、俺は今感じ始めていた。
あの時いくら――美少女! って言ったからって、そこだけ叶っても何すりゃええんじゃーっ! って思ったよ最初は。
でも、他の能力はこれから自分で育てていけばいいんだ、って考え直したんだ。
そう考えれば、このスキルはこのスキルで、わりかしハズレではない。
後は無い物ねだりなんかしないで、前向きに進んでいけばいい。それだけさ。
で、目の前には四人もの美少女達が集っていた。
まぁ、俺の体も含めると五人になるんだけど、心が半分雄入ってるんでね。
元オッサンでサーセン。
きゃいきゃいワイワイと各々の戦略や得意分野、行うべき作戦を語り合う。
――風が吹く。
乙女達の良い香りがした。
こうして見てみるとさ、この世界、結構美少女多いんだよね。まぁ、このクラスだけなのかもしれないけどさ。
もしかしたらあの時最後まで言い切れなかったはずの美少女ハーレムは実現されているのかもしれない。
あの神、心読めたっぽいし。
で、そうそう美少女といえば。
ここで唐突に俺こと私ちゃん、ミリエラ・スターフィールドの美少女度の話になるんだけど。
この体の魅力はなんと、ダントツブッチギリトップクラスのSランクだった。
ちなみにララちゃんはBで、シアはAだ。
で、どうしてそんな事がわかるのか、って話になる。
実は、毎年、年度が上がる際のHR時間に行う始業式。その終わりに、軽く
で、これが俺の今の実力。
ミリエラ・スターフィールド(10)♀
肉体C- 機敏A+ 感覚B+ 幸運B+ 知力C 精神A 魔力B 魅力S
で、この能力値表の見かたなんだけど。
肉体は、肉体的な頑強さ、力強さ、身長、体重などを表す。
機敏は、すばやさや反応速度、瞬発力の他、器用さなども表す。
感覚は、感性やセンス、知覚力の鋭さなどを表す。
幸運は、生まれ持った運のよさを表す。
知力は、頭の回転の速さ、知識量、記憶力などを表す。
精神は、集中力や根性など、精神的な強さを表す。
で、Cが普通で、Bが優れている。Aが殊更に優れている。SはAよりも高いマジでヤバイ級。
そしてDまで下がると、へタレ認定。そんな感じだ。
ちなみに魔力は生まれつき決まっていて修行では変えられない。
生まれ持っての天性の才能だ。
魔力ランクのBは、魔術師として充分な恵まれた才能をしめす。全国民の百人に一人程度の逸材。
まぁ、ようするにそこそこ優れてる、ってとこだ。
で、魅力について。
魅力はCで普通。Bで優れている。Dはブサイク。
Aになると、同姓さえも落とし始めて、Sランクになると……異性も同姓も高確率でトリコにできる、国を傾けるレベルを指すらしい。
わりかし強スキル。
もしかしたら、ララやシアがめっちゃ俺こと私ちゃんをひいきしてくれるのは、この魅力のおかげもあったりするのかもしれない。
もしこれがDだったりなんかしたら……ララもシアも、義務以外で俺の味方はしてくれなかったのかもしれないな。
まぁ、そんな風には考えたくもないけどな。
で、っと。
どうやら作戦会議が終わったらしい。
私ちゃんにタッチするぜ。
――それは、実に私達の得意分野を把握しきっていて、その力の全てを信頼し、実に活かした作戦だった。
「私はありだと思うな」
「せやな、上手くきばれば5
ちなみに1
「うむ。じゃが一人でもミスをしたら……」
「ううん、逆に考えれば、それは一人もミスしなければ誰も犠牲にならないで勝てるって事だよ」
「ふむ。それもそうじゃな」
「ええんちゃう? どうせ死なんのやし、試してみるっちゅうんは」
「それでは、私の案でよろしくて?」
『賛成!』
「作戦会議はおしまいかい? そんじゃ。はじめるぜ。各々着きたい位置に移動しな」
やや後方の場所に私は位置取る。
「ミリア、準備完了です」
実戦訓練の授業は、各々装備の使用が許されている。
私は体の軽くなる魔法のかけられた風精糸の衣という特別制の衣服を身に纏っている。
風の精霊の好む翠と蒼のコントラストが綺麗な荘厳な銀の刺繍で縁取られたワンピースだ。
後は銀製の様々な宝石で彩られた無数のネックレスや腕輪。後は炎獣皮のオープンフィンガーグローブと、雷獣皮の靴。
魔法の力で防御力も高められていて、これらの武装だけでプレートメイル級の防御性能があるのだそうな。
噂によると、この服一着だけでも一般市民クラスの方達の年収に匹敵するくらいにはお高い品らしい。
私とは対極の位置、近接メンバーよりもやや遠目の場所でシアが身構える。
「わらわもじゃ。いつでもよいぞ」
シルティア・ムーンヴェール(10)♀
肉体C 機敏B+ 感覚B+ 幸運C 知力A+ 精神B+ 魔力S 魅力A
彼女は魔力を向上させる月霊糸の魔導服、赤と黒の魔紋が描かれた、荘厳な金の縁取りがされた、淡く金に輝くクリームイエローのローブを身に纏っている。
さらに全身に無数の装飾品が見える。アレ、多分全部魔力を高める補助道具だ。
どうやら一撃必殺の魔法に全てを込めて、この勝負を一瞬で終わらせる気だったらしい。
次にララちゃんが敵の射程より数歩分後ろで陣取る。
「私も、準備完了ですっ」
ラティエラ・サングレイス(10)♀
肉体A 機敏B 感覚B+ 幸運C+ 知力B 精神B+ 魔力C 魅力B
その姿は可愛らしい彼女には似つかわしくない、無骨な鎧姿。
石精糸のクロースアーマーを内側に着込み、霊樹の木製鎧をベースに強化された魔獣皮製のハードレザー。肩部には亜竜骨のポイントアーマーも追加装備している。
土色のシャツに黒い皮鎧。腰や膝、肘や腕や脛、を灰色の骨製のプロテクターが守り、頭部と両肩部をいかにも魔獣の頭骨って感じの肩当と兜が飾っている、ちょっとおどろおどろしい見た目だ。
このレムリアースは魔法の発展した世界である。
ゆえに、魔法を阻害する装備は役に立たせずらい。
だから。鉄や鋼の武装は、捨て駒や、魔法での戦力強化を見込めない劣った戦士専用となる。
あれはあれで魔法も防げるくらいに阻害するから、魔法を一切使わない方々にはうってつけみたいなんだけどね。
そんな訳で、魔法戦士であるララちゃんは金属製の防具ではなく、魔道具製の武器や防具を装備しているのだ。
ちなみに武器は地竜骨のメイス。盾は魔銀製。無数の霊珠石を飾る事で魔力的加護により防御性能をブーストさせている。
更に無数のアミュレットで防御力を強化している。
魔力を一切阻害しない。完全な防御特化スタイルだ。
そしてティエラちゃんがララちゃんと対を成す反対側の位置にスタンバイ。
近距離で前後からの挟撃を狙う。
「うちもや。いつでもいけるで」
ティエリア・ウィンドスレイヤー(10)♀
肉体S 機敏S+ 感覚A+ 幸運D 知力C 精神A 魔力D 魅力B
見ての通り。このクラスのトップファイターだ。
多分、白兵戦で彼女を上回る生徒は学年内にはいない。
まだ体格が育ちきっていないせいでその本領を発揮し切れていないだけで、このまま大人になったらプロの戦士として充分にやっていけるだろう。
今のままでも、いっぱしの兵士くらいには勝てたりしちゃうのかもしれない。
そんな彼女に接近戦でまともについていけるのは、二人くらいかな。その二人はまた今度紹介するとして。
私は力でどうしても負けてしまう。
多分。運動の時間も少し手を抜いてくれてたんだと思う。
――本気出した彼女と渡り合える子なんてこの学年にはいないからだ。
……それなのに私にかまってくるのは、やっぱり私の魅力のせいなのかもしれない……わかんないけど。
まぁ、それはさておいて。
そんな彼女は私とおそろい。のはずだったんだけど……。
なるほど、身軽さよりも反射速度と威力を狙って、衣服は風精糸のチュニックに雷獣皮の胸当てと炎獣皮の腰ミノにしたんだ。
蒼と翠の上着の上に白銀の皮製の胸当て、真紅の腰ミノスタイルと言う、見た目より性能重視のいでたちだ。
後は銀製の様々な宝石で彩られた無数のネックレスと腕輪。炎獣皮のオープンフィンガーグローブと、雷獣皮の靴。
これは私とおそろいだねっ。
そして、私とシアとでトライアングルを飾るような位置をレイアちゃんが位置取り――。
「お待たせいたしました。覚悟完了ですわ」
レイティシア・ダークソーン(10)♀
肉体C- 機敏S 感覚S+ 幸運D- 知力A 精神A+ 魔力C 魅力A
彼女は闇精糸の魔導衣、魔力と魔法強度を向上させる闇の力を秘めた、黒地に赤の魔紋が刻まれた金の荘厳な刺繍が縁取りされたローブを纏っていた。
無数のアミュレットやタリスマンも、赤や黒系の宝石で、いかにも呪力を強化させている、といった感じだ。
彼女が今回の作戦のキーパーソンといっても過言ではない。
三度目の正直。
今まで苦渋を舐め続けていた難敵に、今度こそ――!
「ほんなら行くで、ララやんの風術の併せから入って、四手で詰みや」
「ぬかるでないぞ、誰か一人でもしくじれば失敗じゃ」
「そうだね。だけど、上手く行けば――」
「我に妙案ありって顔だね。いいねぇ、そうこなくっちゃなぁ。ならいくよ! 白露花女学院伝統風物詩、幻屠獄悶闘岩人(げんとごくもんとうがんじん)……開始!」
先生が振り上げた手を下ろし、合図を送ると同時に、魔力をゴーレムに込める。
一瞬でゴーレムの目が赤く輝き、動き出す!!
――次の瞬間。
「行きなさい、我が僕たち!」
言うが早いか、レイアちゃんのローブの袖から無数の何かがゴーレムの周囲を飛来する。
ララちゃんとティエラちゃんを目標にさだめていたゴーレムが、一瞬の内に射程内へと侵入する異物に対し、その動きを踏み留ませる。
その隙に――。
前衛のララちゃんとティエラちゃんは魔法を駆使して移動を行い、相手の射線を狂わせる。
――三方向からの動き。
この動きにより、攻撃を行うための体勢を緊急的に変更せざるを得なくなったゴーレムがバランスをわずかに崩す。
その一瞬の隙に、レイアちゃんが飛翔させた相棒達、
――そして。
「
両手を掲げたララちゃんの無詠唱風魔法が不意討ち気味に放たれる。
その瞬間に蝙蝠達は自らの迷彩能力で姿を透明化させて逃げ去る。魔法の巻き添えを受けないためにだ。
ララちゃんを中心に暴風が荒れ狂い、私達のスカートとか腰ミノとかを遠慮なくめくり上げていく。
けど、そんなの気にしてはいられない。そもそもみんなドロワだから恥ずかしくないもんねっ!
あ、ちなみにさっき、わざわざ魔法名を叫んだりしていたけど、それにはちゃんとした理由がある。
魔法名を決定し、発動の際に口に出して宣言するのは、そういった
他にも、今のララちゃんみたいに発動のポーズを取るとか、相手に向けて手をかざすとか、睨むとか、相手を指さすなどの動作などもそういった強化や軽減に繋がったりする。
この、魔法についての細かいルールは他にも沢山色々とあるので、詳しいことはまた後でね。
なお、このキーワードの宣言などは、恐らく神様がこの魔法という制度をこの世界に生み出す際に、卑怯な不意打ちなどの悪用を容易では無いようにするために定めたルールだろうと考えられている。まぁ、そういう説が濃厚というだけで、実際詳しい事は未だにほとんど謎のままなのだそうな。
他にも、今回は行わなかった詠唱などを行うことで、やっぱり消耗や疲労の軽減、威力の強化などが行えたりするようだ。
あと、ララちゃんが魔法の発動名設定に使っている謎言語は、最近ちまたで流行っているレア言語だ。
東方に伝わる少数民族が使うとされている珍しい言語、スメラギノ真言と呼ばれるものだ。
別にそれを使うことにメリットがあるわけではない。ただ、珍しい言語ってカッコいい、という思考はこっちの世界にもあるみたいで、炎の矢! と命名するよりも、フォイアロート・シュラーク! にした方がイケてる! とか、そんな感じ。みんなもなんとなくわかるでしょ?
……つまりは中二病思考のたまものって奴だな。
でも、結構流行ってたりするんだよね。
まぁ、それはさておき。
爆風がゴーレムの体を殴打し、足元を逆向きの風がさらう、それでもゴーレムは倒れない。
一瞬の衝撃によろけてバランスを崩した程度。
だが、そこへ――。
ティエラちゃんの鋭い手刀。シアの無詠唱魔法が炸裂する。
同時に。だが、着弾した部分はそれぞれ異なる。
左右の腕をターゲットに二人の攻撃が叩き込まれる。
さらにティエラちゃんが空中で体を反転させ、無詠唱魔法による速度強化を行いつつの追撃。
もう片方の手で二撃めの貫手を叩き込む。
シアの魔法を受けたゴーレムの右手は消滅。
その破壊力がゴーレムの耐久性を上回ったと判定されたようだ。
だが、ティエラちゃんの相手にしていた左手は――。
――まだ、ギリギリ半分ほどの抉れ具合で残っている。
「まだや――」
だが、そこはティエラちゃんだ。虚空を反転。魔法で風の炸裂する力場を生成しての――。
――空中二段跳躍サマーソルトキック。
へし折れかけた左手にさらに衝撃を加える。
その一撃により、幻影の左腕が――。
――へし折れて宙を舞う。
そして消え去る。
両腕撃破!
――なら、次は私の番だ。
それまでの間、私は何もしていなかった訳では無い。
ゴーレムの周囲を移動しながら隙をうかがい、連携の一撃目が動いた後、敵の崩しでよろける体勢を予測し、最も効率の良いエリアに向けて、飛んでいた。
ティエラちゃんも使っていた、爆ぜる風の力場を生成する魔法でだ。
通常の三倍の跳躍を行い、虚空でその時を待つ。
――そして今、その時がやってきた。
ゴーレムは体勢を崩している。
ゴーレムの両腕は破壊されている。
つまり、私の一撃をさえぎる物は何も無い。
私は虚空に、風の力場を、一気にいくつも同時に発生させる。
沢山作れば作るほどに、それを蹴った時の速度は跳ね上がる。
私は、ゴーレムとの距離と、現在の角度と、ゴーレムの体勢を、それらの流れを予測して、最善最適のタイミングで、生み出した無数の力場を蹴り込んだ。
圧縮された風の爆発に押されて、私は一瞬で、矢のようにゴーレムの元へと跳躍する。
いくつ力場が必要で、いくつまでなら私の能力でもバランスが利いて、あの距離までの間に蹴りのフォームに移れるか、一瞬で判断が必要だった。
それは知力による計算ではなく、感覚によるセンス。
私は一瞬の内にそれらを感じ取り、同時に行ったのだ。
その結果――。
蹴りがゴーレムに叩き込まれる瞬間に、再度力場を生成する。
この力場はエアクッションの性質も持っている。
そのため、この蹴りを放つ時にこちらに与えられる衝撃は、クッションによりほぼ全て軽減される。
そして、爆発する位置を逆にしているため、ゴーレムにはさらなる衝撃が叩き込まれることとなる。
「スーパー・
私は、前世の俺君の好きだったらしいアニメの技名を叫びつつ、一瞬の跳躍で、バランスを崩したゴーレムへと蹴りを叩き込んだ。
面白い程に用意に、ゴーレムが大地へと押し込まれるように倒れこんだ。
――そこへ。
「
スメラギノ真言による、レイアちゃんの魔法発動宣言が木霊する。
魔力で作られた鎖が地面から這い上がり、ゴーレムを大地へとしっかりと捕縛する。
そして――。
ゴーレムはジタバタと暴れるように動き、その魔力鎖を力づくで打ち破ろうとするが――。
さすがは魔力ランクCとはいえ、知力A。恐らく色んな短めの補助詠唱とか制約とかルールを付けた強力な魔法に魔改造してあるのだろう。
その鎖が破られることは無かった。
――ここまででわずか、約5
「
先生の合図もあって、私達の勝利が確定する。
「わずが5
先生も小声で褒めていらっしゃるご様子。
もちろんこれは一人による勝利ではない。
魔力鎖が動きを完全に封じられたのは、当然の如く、転倒状態、両腕の破壊という状況によるだろう。
そして、私の蹴りも、両腕の破壊が無ければ防がれていただろうし、そもそもバランスを崩していなかったら倒せていなかった。
ララちゃんの魔法だって、レイアちゃんの使役蝙蝠、ティエラちゃんとララちゃんの動き誘導による併せ、三人の連携があったからあそこまで綺麗にバランスを崩せたんだ。
バランスを崩せたから、安全かつ確実にシアとティエラちゃんの攻撃も綺麗に決まった。
これは、五人全員の協力でようやくもぎ取った勝利なんだ。
だから、今はその勝利を思う存分に喜びあおう!
「やったね、ミリアちゃん!」
ララちゃんが私の胸に飛び込んできた。
その頭を優しく撫でる。
「うん、ララちゃんのおかげだよ」
「ナイスやったで、ララちー」
ティエラもやって来た。
「……で、や。うちもがんばったんやから、うちの頭も撫で撫でしてぇな」
頬をわずかに染めながら、頭を差し出してくる。
そんな姿が可愛かったので、ティエラちゃんも抱きしめて頭を撫でまわす。
「あらあらまぁまぁ、仲の良い」
「うむ、わらわ的には嫉妬ものじゃな」
レイアちゃんとシアもやってきたので。
「みんなありがとう!」
感謝の気持ちを伝える。
そして――。
「二人も、だよ」
おいで、と両手を広げて招きよせる。
その後、みんなでしっちゃかめっちゃかになるくらい抱きしめあって、撫であった。
こうして、私は見事難題に勝利して、仲間達との絆をさらに深め合ったのだった。
ちなみにこの日、試練をクリアできたのはなんと、私達のグループだけだったりする。
なんでも、この時点でクリアできるのは異例とよべるほどに少ないらしく、そのコンビネーションは一つの最適解として研究に取り上げられるほどの有効戦術として認められた。
そして――。
――この日、俺は確信したんだ。
例え、もらった才能が魅力だけだったとしても。努力を続けていれば結果は出せるのだと!
最初からその手に持っているスキルなんて関係ない! 記憶を持っての
その価値は、
だから――。
これは、前世で何の努力もしてこなかった俺が。
何も手に入れられずに前世を終えてしまったはずの俺が。
魅力だけSランクの
――努力の果てに、やがては英雄となって無双していくまでの。
そんな大冒険物語だ!
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