第4話 2016年7月1日

今日は、矢矧は部室に来なかった。

クラスの友人達と駅前のカフェで女子会をしているからだ。


そんなわけで、この部室にはぼくが一番最初に…着いているわけはなく。

部室のカギを取りに行っていた、黒沢が居た。


「おっ、来たか三谷。」

「ああ、今日は矢矧は来てないのか…。」

「ははっ、わかりやすいなお前は。」

「うるさいな。別にいいだろう。」

「まあ、そういうな。トランプでもするか?」

「ああ…。」

「先輩達ももうすぐ来るから、それまでだな。」

「ところで、何をするんだ?」

「ババ抜きか、ポーカー、神経衰弱とかかな。」

「それじゃあ、ババ抜きだ。」

「はいよっ。」


黒沢が適当な具合にトランプを混ぜ、その半分をぼくに渡してきた。

ただ機械的にカードを捨て、黒沢とババ抜きを始めた。


「なあ、黒沢。」

「なんだ、三谷。」

「矢矧さんって、変わってるよな。」

「そうか?」

「ああ、なんていうか冗談なのか本当なのかわからないことを言ったりしていて。」

「予言か?」

「まあ、そんな感じの。」

「バングラデッシュ。」

「バングラデッシュ?」

「ああ、そう言ってた。」

「…どういうことだろう?」

「矢矧さんの予言だ…まあ、何度か当たったこともあるけど外れることもあるから運命みたいに確定しているのかしてないのかはわかないけどな。」

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