第3話 2016年6月30日
部室に入るとやはり矢矧が一番に部室に来ており、今日の朝刊を読んでいた。
「「トルコ・イスタンブール空港で自爆テロ」」と一面に載っていた。
2018年6月28日 現地時間午後10時頃
トルコのイスタンブールのアタテュルク国際空港でテロ事件が起きた。
実行犯は3人で、彼らは自爆用のジャケットを着こみ、弾と手榴弾を入れたリュックサックを持ち空港を襲撃した。
実行犯である3人は全員そこに居ただけの民間人を道連れに自爆した。
ISIL(イスラム国)による計画された犯行だった。
死亡者彼らを除いて45人、負傷者は200人以上に及んだ。
「ん、来たの?」
「ああ、今来たこと。」
ぼくに気がついた矢矧はそうぼくに声をかけた。
ぼくは、彼女の邪魔をしてしまった気がして、気恥ずかしかった。
さて、今日こそは人間失格を読み終えたいところだ。
「まだ、読み終えてなかったの?」
「ああ、そうなんだ。」
「和人(かずと)君は、速読の練習した方がいいかもね。」
「速読か…。」
「うん、このままだときっと書きたい作品を書こうと思ったら締切になっちゃうよ。」
矢矧はまるで、作品ができているかのようにそう言ってきた。
でも、俺は彼女が小説を書いているところも見ていなければ、詩を書いているのも見ていない。ましてや、絵を描いているわけでもない。
「雨は降らなかったな。」
俺は、そう皮肉を込めて言った。
すると、彼女は…。
「雨がいつ降るかは言っていませんよ。けれど、雨は降ります。雷は人を惑わせる。」
「それじゃあ、俺でも予言できるな。」
「来年の広島です。」
「…絶対当たるじゃん!」
「それじゃあ、一つだけ。次は、バングラデッシュです。二度あることは三度ある、三度目はイラク。」
「当てに、何のかそれ?」
「当たりますよ!」
ぼくは、そんな矢矧に呆れため息をついた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます