第63話 無限通路と死神


「このキズは·····また戻ってきたな·····」


「いつまで続くの?·····」


「さぁな·····これで何回目だ?」


「もう数えてないよ·····」


俺達は遺跡の入口付近に戻ってきてた

足元にあるキズは、戻ってきた時に分かるように、血刀で付けたものだ


「さっきの所は右だったんだね·····忘れないようにメモしないと」


攻略していて、さすがに覚えきれなくなって、リオにメモを取るように頼んだ


「どこまで進んだんだ?」


「えっと·····今ので48個目だね」


「結構進んだな」


「そうだね·····ほんと、いつまで続くんだろ」


「とりあえず、50個目の分かれ道を目指して進んでみるか」


「うん·····」


リオが明らかに元気がない

閉鎖空間で、同じ様な景色を見続ければ、気持ちも落ちてくるだろ·····こう言う時は·····


「リオ、50個目まで行ったら、飯にするか」


「ご飯!?早く行こ!」


前を歩いてたリオが振り向いて、目をキラキラさせている、やる気を出してくれたようだ




「ここが50個目の分かれ道だな、どっちに進む?」


「えっと·····49個目は右だったんだよね·····」


「48個目も右だったぞ?」


「じゃあ、左?でも·····また右かも·····」


リオがかなり悩んでいる


「間違えても、またここまでくればいいんじゃないか?」


「でも、お腹すいたよ·····」


「そっちか····選べないなら俺が選ぼうか?」


「じゃあ、ジンくんに任せるよ·····絶対に当ててね」


リオから殺気が漏れている気がする

万が一、外しても、遺跡の入口で飯にすればいいので、俺は気楽に道を選ぶことにした


「じゃあ、左だな」


「え?ほんとに?今まで3回連続で右もあったよ?左でいいの?」


「来ないなら俺だけで行くぞ?」


俺はスタスタと左の通路に進んでいく

リオが後ろから追いかけてきた



俺達はマップの境目を通過した

周りの景色は特に変わらず、目の前には一本道が続いている


「正解だったみたいだな」


「ほんと!?」


「この無限通路からもやっと解放・・されるな」


俺は一人呟くとそのまま通路を歩き始めた


「ねぇ!ご飯は?ここで食べないの?」


リオがうるさいが、先に進んだ

しばらく通路を進んで行くと、少し広い空間に出た

そこには·····


「え·····扉だ!」


大きな扉と帰還用の祭壇があった

リオが喜んで大きな声を上げている


「広いし、ここで飯にするか」


そう言って、アイテムボックスから作り置きの料理を取り出す

マットを敷いて、そこに料理を並べて完成だ

完成と同時に、リオが定位置に座ってこっちを見ている

早く食べたくて仕方ないらしい


「食っていいいぞ」


「いただきます!」


リオが、すごい勢いで料理に食らいついている


「いい食いっぷりだな、そういや、ダンジョンの外で食べてから、なんも食べてなかったな」


「ほうはほ!(そうだよ!)」


「ちゃんと飲み込んでから喋ろよ·····」


そう言いながら、俺も料理を手に取り食べた



「よし、腹も脹れたし、3層の攻略を終わらせるか」


「ここの敵はファントムだったよね!物理攻撃が当たらないから魔法で倒すんだよね?」


「2層と同じか、炎流で一気に倒すかだな」


「じゃあ、私も戦うから、2層と同じでいい?」


「それじゃ、それでいくか」


攻略方法が決まった俺達は、扉を開けて中に入った

中は直径50m程の円形の部屋だった

いつも通り、奥には祭壇がある

俺達が中心辺りに来ると、入ってきた扉が閉まった


「くるぞ·····」


瘴気が部屋の至る所で集まって行く

形がどんどん変わっていき、ミアズマファントムが大量に現れた


「いくよー!」


リオが用意していた雷球をミアズマファントムに向かって投げつけた

今回は20cm程の小さめの雷球を10個作ったようだ

ミアズマファントム達は、雷球を避けるも感電して霧になって行く


「今回は前層見たいに甘くないみたいだな·····」


今回、リオが倒せたのは1/4にも満たない量だった

ミアズマファントム達は、黒い火球を使って雷球の威力を抑えたようだ


「そんな·····防がれるなんて·····」


「次は俺の番だな」


そう言って、2本の血刀を作り出して構える

血刀には光属性と風属性を能力付与エンチャントしている

俺は血刀を振って、光風の斬撃をどんどん飛ばしていき、確実にファントムの数を減らしていく


「ねぇ·····斬撃の軌道が途中で変わってるように見えるんだけど·····」


「ん?リオがやってた、ホーミング火球の斬撃バージョンだ、原理が分かれば斬撃にも応用ができるぞ」


「ジンくんらしいね·····」


リオが戦闘中なのに遠くを見ている

その後も、どんどん数を減らして、半分ほどになったところで·····


「ジンくん!なんか様子が変だよ?」


ミアズマファントムの体がボコボコと変な動きをしたかと思うと、霧になって消えた


「消えた?·····いや、集まってるのか!」


霧になったミアズマファントムが1箇所に集まり始めた

形が変わっていき、完成したのは10mはあるであろう、巨大なミアズマファントムだ

小さい時は持っていなかった、巨大な鎌を持っている


「こいつは·····きついかもしれないな·····」


鑑定してみると


【ミアズマ グリムリーパー】Lv.90 / Sランク

【スキル】-

【補足】瘴気の塊


レベルとランクが今までで1番高い

ロックドラゴンを超えている


「大きくなっただけだよ!」


リオが1m程の雷球を作って、グリムリーパーに向けて投げた

すると、グリムリーパーが片手で同じ大きさ程の黒い火球を作り出して、雷球にぶつけた


「え、うそ·····」


雷球は黒い火球に包まれて消えてしまった

火球はそのまま、リオに向かって飛んでいく


「リオ!」


俺は縮地で近づいて、リオを突き飛ばした


「ぅぐっ!ぐぁあああ!」


「ジンくん!」


黒い火球が、俺の体を焼いていく

転がって炎を消そうとしても、黒い炎が体にまとわりついて離れない

俺は瘴気を吸収するように、無理やり炎の元になってる魔素を吸収してみる

ゆっくりと、炎が消えていって鎮火できた


「リオ、離れてろ·····俺がやる」


「うん·····」


リオが扉の方まで下がったのを確認して、ミアズマ グリムリーパーの方を向いて、血刀を構えた

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