第62話 霧の中の遺跡と通路


「遺跡みたいだな·····」


「ボロボロだね·····」


深い霧の中を進んでいくと、マップに建物が表示されたので、ここまで来てみたが、建物はかなり古そうな遺跡だった

柱がいくつか朽ちて倒れていたり、建物が樹木に侵食されて一体化している


「こっちに階段があるよー!」


俺が遺跡を見ていると、リオが大声を上げた

リオに呼ばれて向かうと、階段が遺跡の奥に続いていた


「奥に進んでみるか」




遺跡を進んでいくと、大きな石造の建物があった

建物は巨大樹木に覆われていて、通ってきた道がまっすぐ、その建物に向かっていた


「この建物に入れってことみたいだな」


「マップにはまだ、祭壇は出てきてないの?」


「祭壇はまだ見つからないな·····とにかく中を探索してみるか」


「そうだね、何かヒントがあるかもしれないし」


俺達は、建物の入口の木を、取り除きながら、中に入った

中は外観と同じく石造の部屋になっていて、奥は暗くて見えないが、1本道になっているようだ

光魔法で光球を浮かべて周りを見てみると、左右対象で、同じ様な壁が続いている



しばらく進むと·····


「分かれ道だね·····マップで先は見える?」


「それが、さっきから道の先が見えないんだ·····」


「どういう事?道がないってこと?」


「いや、道がボヤけて消えているみたいなんだ」


マップの表示範囲内のはずなのに、分かれ道の両端が表示されていない

表示されないと言うよりは、ボヤけて消えているようだ


「それじゃ、勘で進んでみる?」


「そうだな·····リオが決めていいぞ」


どっちが正解のルートかわからないので、リオの勘に任せることにした


「じゃあ、右に行ってみよ!」


俺達は右の道へ進んだ



「ここからが、マップに表示されていない」


「でも、道は続いてるよ?」


進んでいくとマップでは表示されない場所に着いた

マップでは相変わらず、表示がボヤけているが、目で見ると道は続いている


「ここからは、マップ無しでの攻略になるのかもしれないな·····とにかく、進んでみるか」


「そうね·····」


俺はマップを確認しながら、進んでみると·····


「マップが更新された?」


まるで、ゲームで次のマップに移動した時のように、マップが切り替わった


「マップが見えるようになったの?」


「あぁ、さっきの場所と空間が違うのかもしれないな·····この先に、また表示されていない所がある」


「また?」


切り替わったマップは先程のマップと似た作りになっていて、先に進むと分かれ道があり、その先が見えなくなっている


「とにかく、進んでみるしか無いだろうな」



しばらく歩くと、次の分かれ道にたどり着いた


「分かれ道だ、どっちに進む?」


「次は左ね!」


リオに従って左に進んでいく

マップの表示されていない所を超えると、またマップが切り替わった


「今度はちょっと形がちがう·····いや、もしかして·····リオ!一度引き返すぞ!」


「え?なんで?」


俺は道を引き返すと、マップが切り替わった


「やっぱりだ·····ここは1番初めのマップだ」


「え?どういう事?」


マップが無いと、気がつかなかったかもしれない

この遺跡は道がループ・・・している


「こっちに来てみろ」


俺はリオを連れて、また後ろに振り返って歩き始めた


「え?そっちはさっき行って引き返して来た方向だよ?え·····なんで?」


リオが驚くのも無理もない

俺達は今、遺跡の入口に戻ってきている


「説明すると難しいんだが·····この入口からまっすぐ、進むと、分かれ道があるだろ?」


「うん、初めの分かれ道は『右』に行ったよね?」


「そうだ、その後も進んでいくと2つ目の分かれ道が出てきただろ?」


「うん、2つ目は『左』を選んだけど、ジンくんが戻るって行って戻ったよね?」


「あぁ、左の通路を進んでいくと、マップが切り替わったんだが、その時に俺達がいた場所は、初めの分かれ道の『左』に進んだ先に出てきてたんだ」


「え?でも、その後、また振り返って進んできたけど、分かれ道なんてなかったよね?遺跡の入口に戻ってくるなら分かれ道を通らないといけないよ?」


「振り返って、またマップを切り替えた時には、初めの分かれ道より入口側に出てきてた·····間違えた道を引き返すと入口に戻されるんだろうな、きっと空間をねじ曲げて通路を繋いでるから、マップに表示されないんだろ·····

要約して説明すると·····」


入口をO、2つ目の分かれ道手前をO'

1つ目の分かれ道、右がA、左がB

2つ目の分かれ道、右がA'、左がB'として

Aに進むとO'に繋がっていて

Bに進むとOに戻される

B'に進むとBに戻されることになる

A'はまだ行ってないので、おそらく、先に進めるのだろう



「えっと·····左に進んで·····でも左から出てきて·····あれ?」


説明を終えて、リオを見ると頭から煙を上げていた


「無理に理解しないくていいぞ、ここを攻略するなら、ヒントがない限り、しらみつぶしに進むしかないからな」


「·····じゃあ、今まで通りってこと?」


「まぁそうだな、どこまで続いているのかは分からないが·····ここにいても仕方ない、とりあえず、進んでみるか」


「わからないから、ジンくんに着いていくよ!」


俺はリオを連れて、また遺跡に入っていった

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