第64話 3層攻略と火山


「リオ、離れてろ·····俺がやる」


「うん·····」


リオが扉の方まで下がったのを確認して、グリムリーパーの方を向いて、血刀を構えた

血刀で光風の斬撃を同時に5つ飛ばした


斬撃はグリムリーパーをすり抜けて後ろに壁に当たった


「ちっ、この大きさじゃすり抜けるってことか?」


俺が次の攻撃手段を考えていると、グリムリーパーが巨大鎌を横薙ぎに払ってきた

俺は血刀を2本クロスさせて、鎌を受け止める


「っぐ!·····何でできてんだ、この鎌」


鎌に押されて、何とか踏みとどまったが、鎌が血刀にくい込んでいた

俺は一度、鎌の範囲外に出て、血刀を修復する


「あの鎌硬すぎだろ、血刀と同等かそれ以上ってことだよな、瘴気の塊のくせに·····いや、こいつは魔素も使えたんだったな·····」


グリムリーパーが持っている、巨大鎌を鑑定してみる


【デスサイズ】

【補足】魔素でできた鎌


「そういや、魔素で手を覆ったら硬かったよな·····」


俺は北のダンジョンで亀に教えてもらった、魔素制御を思い出した

魔素を制御して、血刀に流してみると·····

血刀の刃の部分が赤黒く変化した


グリムリーパーがまた、巨大鎌を横薙ぎに払ってきた

俺は魔素血刀で受け止めると·····


「これならいけそうだな」


今度は鎌に血刀がくい込んだ

俺は闘気<魔素ver.>を発動し、体から黒い湯気を上げて、グリムリーパーに一気に近づきながら、跳躍する

グリムリーパーが黒い火球を飛ばしてくるが、魔力強化<風>で、空中移動して避けたり、魔素血刀で払い除けていく


グリムリーパーの顔の前まで移動した俺は、魔素血刀に魔素を込めれるだけ込めた

すると、魔素血刀の刀身に黒い渦が纏いはじめて、5m程になった


「うおりゃあ!」


そのまま、グリムリーパーの顔面に魔素血刀を横一線に振り抜いた

グリムリーパーの頭部が霧になって消えた

体も地面に倒れて、霧になって消えていった

部屋の瘴気の濃度が一気に上がったのか、俺の体に吸収されて行く


「倒せたね!さすがジンくんだね!」


リオが走って近づいてきた


「あぁ、何とかなったな·····最悪、瘴気だから吸収してやろうとは思っていたが、倒せてよかったよ」


「あっ!吸収したら簡単に倒せるんじゃん!」


リオが今更なことを言って、笑っている


「とりあえず、進むか!北のダンジョンと同じなら、次は一本道の階層だな」


「もう大丈夫なの?休んでからでもいいよ?」


「大丈夫だ、防具はボロボロだが、瘴気のお陰で魔力は回復しているしな」


改めて防具を確認すると、炎で焼かれて穴だらけだ

隠すところは隠せているので問題ないだろう·····


俺は祭壇の本を手に取り、魔力を流すと、壁が白く光ってゲートが現れた

俺達は次の階層へ向かった




◆第4層·····灼熱の火山


ゲートを抜けた先は、火山内部だった

赤くなった岩が剥き出しになっていたり、少し離れた所には、マグマが流れる赤い河が見える


「暑いね·····」


「暑いな·····リオ、空間制御エリアコントロールでバリアを張ってくれ、あれならマシになるだろ」


「わかった·····」


リオに、バリアを張ってもらうと、さっきまでの暑さが嘘のように、温度が変わった


「これなら快適に探索ができそうだな」


「そうね!それで、ここは一本道なの?」


「一本道だが、かなり長いみたいだな」


マップで確認すると、道は表示範囲を超えて続いているようだ

俺達は、先に進むことにした



しばらく進んでいくと、デカい扉が見えてきた


「やっと着いたのね·····なんで火山なんて場所にしたのかしら·····」


「ロックドラゴンみたいに、この先の魔物に意味があるんじゃないか?」


バリアを張っているとはいえ、暑いものは暑い

暑さに体力を奪われながら、俺達は扉の前まで来た


「ここも、扉の前に祭壇があるね」


「先に確認しておくか·····」


俺は、祭壇の本を退けてみると、下にもう1冊、本があった


「ロックドラゴンの時と同じで、ここに2冊ともあるみたいだな」


「じゃあ、戦わなくても先に進めるんだね!」


「いや、戦うぞ?」


「え!?なんで?」


強敵と戦いたいから·····なんて言ったら、またリオが怒りそうだ


「ロックドラゴンは倒せたし、出てくるのも同程度の敵だろうからな」


「ジンくんなら倒せると思うけど·····」


「それに、リオも一緒に戦ってくれるんだろ?」


そう言って、扉を開けて中に入った


「一緒に戦うけどさ·····無理しちゃダメだよ?」


何やかんやで、リオは俺の行動を許してくれる

ロックドラゴンと同程度の敵なら、俺一人でも倒せるとは思うが、リオが一緒に戦ってくれると心強いのは本当のことだ



扉の先は、直径500m程の円形の空間で、かなり広い

目の前には、石でてきた地面が広がっており、地面を包むように、周りをマグマが流れている


「さてと·····ロックドラゴンは岩になっていたが、今回の敵はどこにいるんだ?」


俺はマップで敵の場所を確認すると、マグマの流れている場所を魔物のマーカーが移動していた

マーカーがこっちに向かって移動し始めた


「リオ!マグマの中だ!来るぞ!」


そう言うと、マグマが盛り上がり、中から赤いドラゴンが出てきた


『グルゥガァアアア!!!』

顔を出したと思うと、マグマを撒き散らしながら、咆哮を上げた

マグマがリオのバリアに当たって落ちていく

ドラゴンが、石の地面に登ってきた

大きさは、ロックドラゴンと同じぐらいだ


「フ、フレイムドラゴン!!」


リオが、真後ろで叫んだ


「こいつも有名なのか?」


「ロックドラゴンより凶暴なドラゴンだよ!知らないの!?」


リオが驚いているが、魔物の事なんて調べたことがないので、知らない

鑑定してみると·····


【フレイムドラゴン】Lv.80 / Sランク

【スキル】属性強化<火>:Lv.1

【補足】不明


ステータス的には、ロックドラゴンと同格の魔物みたいだが、属性強化<火>が、どういうものなのか分からない


「戦ってみればわかるか·····」


俺はそう言って、血刀を作り出して、構えた

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