第20話 洞窟探索
『冒険者武術大会』に出ることにした俺達は、残りの日数の内、1ヶ月を修行に当てることした
宿には1ヶ月分の宿代を支払って、いつでも戻れるようにしてある
まず、いい狩場を探したが、エレメンタルの洞窟以上の場所は見つからなかった
エレメンタルの洞窟で、調味料と飯の確保をしながら、泊まり込みで、洞窟内を探索することにした
洞窟は真っ暗だが、今はリオのお陰で灯りは問題ない
リオが疲れたら俺が火魔法で灯りを作るが、火魔法は、酸素が薄くなったり、暑かったりと洞窟で灯の代わりに使うと、あまりいいことは無い
「光魔法いいなぁ·····」
俺は数日前に、洞窟の中を彷徨っていた事を思い出しながら、呟いた
「ジン君は光魔法だけ使えないんだよね?」
リオがドヤ顔で言ってくる
「俺だって光魔法を手に入れたいが、かなり稀少らしくて持ってる魔物すら見当たらねぇんだ·····」
シャドウベアーの闇魔法も稀少だったが、この洞窟の主だったらしく、それに相対する光魔法を持っている魔物は、この洞窟にいる可能性は低いだろう
「いや·····待てよ、イメージさえ出来れば」
能力付与がチートスキルすぎて忘れていたが、魔法はイメージが全てだ
それこそ最初の魔法取得は、全てイメージ出来れば、取得できた
懐中電灯をイメージしても作れなかったが、目の前には本物の光魔法がある
リオが使っている光魔法を見る
それを自分の手の上にイメージすると·····
「できた!」
手の上に光の玉が出来上がった
ステータスを確認すると【光魔法:Lv.1】が増えていた
「やっぱり、ハイスペック過ぎだよ·····」
リオがなんか呟いてるが、俺は光魔法で、剣や槍を作って試し斬りしている
それから、3日間ほど洞窟に潜り続けたが、魔物は相変わらず見た事のある奴らばかりだった
この洞窟にはシャドウベアーがいたこともあり、探索があまりされていなかったので、ブラッドウルフの様な稀少な魔物が、いればと思っていたが、ブラッドウルフですら、あれから一度も見つけれていない
「ジンくーん·····そろそろ変わってよー·····」
リオにはこの3日間ずっと光魔法を使わせている
と言うのも、元々Lv.3なだけあって、他の魔法よりかなり燃費がいいみたいだったので、魔力を底上げすることが出来ればいいな程度でやらせている
さすがにきついのか、目が虚ろだ·····
「あぁ、いいぞ、今日1日は変わってやるからしっかり休め」
『1日しか休めないの!?』とか言いながら、もう意識を手放している
仕方ないので、今日はここで野宿することにした
「ん?ここって·····」
辺りを灯りで照らすと、キレイに切断された岩を見つけた
ここは俺が落ちてきた場所だった
懐かしさもあり、周りを少し散策することにした
しばらくして、リオの元に戻ると、リオが起きていた
「リオ、起きたか。もう少し休んだらまた探索に行くぞ」
「ジン君!普通こんな所に寝ている女の子を置いていく!?って言うかどこ行ってたの?私置いてかれたかと思って··········」
リオが涙目で詰め寄ってきた
「悪い悪い、ちょっとここに来たことがあったから懐かしくてつい、な」
「それに、ちゃんとマップで常に安全か確認してたから、現に大丈夫だっただろ?」
「それでも·····置いてかないでよ·····」
女の子に泣かれると弱い·····仕方ないので、リオが落ち着くまで待ってから、先に進むことにした
「なぁ、リオ、
探索しながらリオに確認する
「んーどうだろ、1回やってみるけど、空間を制御するってどんなイメージかわからないんだよね·····」
そらそうだよな、イメージ出来なきゃ始まらない·····
「じゃあ、俺がイメージする空間制御をいくつか教えるから、それが出来るか試して見てくれ」
俺は今まで、異世界物の小説は読みまくってきた
空間魔法なんて定番中の定番だ
「まずは、定番の異空間だ!この空間とは違う空間を作り出すって感じだな、俺のアイテムボックスがイメージとしては近いかもしれない」
そう言って、リオの前でアイテムボックスに物を出し入れして見せてみる
「んーこんな感じかなー?」
リオが手を前に出して『んー』とか言っている
すると、リオの前に直径30cm程の穴が空いた
「何か出た!これをどうしたらいいの?」
「それを少し広げてくれないか?」
「これが限界かな·····」
直径50cmまで広がった
これなら何とか通れるか?
「え、ちょっ!!」
リオが驚いているが、リオの手を引っ張って中に入る
「こんな感じかーやっぱり広いんだな·····」
中は黒一色の空間で明かりはないが、遠くまでよく見える
地平線の先まで何も無い空間が広がっている
「なぁ、リオが作った空間だから、リオがイメージすれば·····」
リオを見ると、魔力切れなのか完璧にへばっている
空間を作るのに魔力を使うが、維持するのには魔力が要らないのか?
入る時に空いた穴は塞がっている
「とりあえず、休むか·····」
俺だけじゃここから出ることも出来ないので、リオが起きるまで待つことにした
「ん·····」
しばらくして、リオが目を覚ました
「起きたか?結構長いこと気絶してたぞ?」
本当に長かった、半日はこの空間にいたと思う
相当魔力を使ったんだろう
「そうなの?ここから出る時にまた魔力枯渇しちゃうのかな?」
「それはやってみないと分からないが、まずは、この空間で出来ることをしてみようか」
何が出来るか、色々試してみた
黒一色の世界を、白一色に変えることができた
いろんな色に変えたが、白が一番しっくりきた(精神と〇の部屋みたいだ·····)
椅子やテーブルをリオがイメージすると出すことが出来たが、魔力を消費するらしい
生き物や食べ物は出すことが出来なかった
「他にもやってみたいことはあるが、まずはこんなもんだろうな·····それより、ここから出ないといけないな·····リオが出たい場所をイメージして空間に穴を作ってみてくれ、例えば、宿屋の俺たちの部屋とか」
出たい場所に、空間をねじ曲げて繋げることができれば移動手段としてかなり使えるが·····
「うん、やってみるね·····」
空間を作った時みたいに、リオが手を前に出して『んー』って言ってる
この姿、意外と可愛いんだよなー
そんなことを考えていると、リオの手の前に30cm程の穴が出てきた
「上手く行きそうだな、その穴をまた大きくしてくれ」
そう言うと、リオが穴を広げていく
「やっぱり、これが限界みたい」
穴は50cmまで広がった
リオの手を取り、穴を抜ける
その先には·····
「宿屋の部屋だ·····俺たちの部屋で間違いないな」
これはかなり便利だ
「リオ、体調はどうだ?」
リオがへばってないか、確認すると
「うん、大丈夫みたい。洞窟の中で穴を作った時より、魔力の消費は少ないみたいだよ」
消費が少ないのはありがたい
いざと言う時に使えなかったら意味が無いからな
「それじゃ、また洞窟に戻るから、異空間に一度戻ろうか」
「え!?また戻るの?ちょっと休憩しようよー」
「さっき異空間で半日ぐらい寝てたじゃないか!休むなら異空間でも問題ないだろ」
そう言って、リオに異空間へのゲートを開かせる
今度はすぐにゲートが開いたので、2人で中に入る
白一色の空間を【異空間】
異空間と繋げる穴を【ゲート】と呼ぶことにした
「さっき居た異空間で間違いないな」
リオがイメージして出した、椅子とテーブルが、白一色の空間に無造作に置かれている
「あれ?さっきみたいな脱力感が全然ない!魔力を消費してないみたい!」
「一度ゲートを開いた場所には繋ぎやすくなるのかもな、それに始めて異空間を開いた時は、異空間を作った様なもんだから、魔力をかなり消費したのかもしれない」
推測だが、かなり的を得ていると思う
「まずは、ここで休憩してからまた洞窟に戻ろうか」
そう言って、宿屋からちゃっかり持ってきたベットを適当な場所に置いて布団に入った
「いつの間に!·····私も寝たい」
リオが布団に入ってきた
異空間なんだから、イメージでベットを出せばいいのに·····とか思ったが、そのまま寝ることにした
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