第24話
24話
<div name>家族</div>
狂気からの逃走を敢行し
アジトにしていた琴木家を追われた一向は遊離の案内によって街外れを進んでいた
遊離曰く、「こんなときに使えるアジトを用意していた」とのこと
進む道中にレウスがいなくなっていることに気づいた琴木、その直後にレウスからの連絡があり狂気を尾行すると言い出した、心配しレウスを探し助けようと考えていたがだれでもないレウス自身が静止した
レウス「負けられない戦いがそこにある!ここは拙者に任せるでござる、また後ほど連絡する」
そういいレウスの通信は途絶えた
それでもレウスを止めようと悩む琴木の元へDからのメールが飛んでくる
内容は、「現状のだいたいは把握しているレウス氏に連絡を取りサポートに回るから心配しなくていい」
止まっていても仕方ないので一旦琴木は今目の前にいる仲間達との行動を進めることにした
遊離が案内した先は町外れにあるとある工場のような建物、外見はボロボロで明かりもなく今にも潰されそうな佇まいだが、中に入ると地下の隠し部屋があり、そこを根城にすることにした
地下室にはPCや、簡易のものではあるが寝具もあり、生活面不自由なく過ごせるようで、小さくはあるがいくつかの部屋に別れていた
一度腰を落ち着けて、先刻の狂気の襲撃の時の出来事を話すことになった
議題はほぼ一点。
遊離が狂気の遺産を使えたということ
である
そして、その出来事をはるは(中)の清香に相談してみることにした
はる「ねぇ清香さん聞こえてる?」
清香「。。あぁ、聞こえているよ、そして見えてもいる、遊離の事だろう?」
はる「うん。。それともう一つ聞きたいことがあって」
清香「??」
はる「この、私の(中)の事は皆にどう話したらいいのかなって」
清香「そうだな。。ひとまず私の存在は今は隠しておいてくれるとありがたいかも知れない、弟もいるしな。。話が難しくなりそうだ」
はる「そうだよね。。」
今八木さんが、姉の存在を知れば話がややこしくなる気がしていたのだ
詳しくは知らないがずっと姉の為に生きてきたのだ、今更存在すると言われてどうなるのか想像もつかないが。。凄くややこしくなる事は分かる
清香「まぁ。。今はその時ではないな、私の事はとりあえず遺産が話してくれてるとでも言っておくといい、遊離のことだがお前たちが狂気と呼ぶあやつは遊離の実の弟で、兄弟なのもあり波長が合い同じ遺産を使えるのだろう」
はる「それならあの人に対抗できるよね」
清香「戦いやすいとは思うが。。あの遺産の特性上、先手を打ったほうが勝ちになる。。遊離に弟と戦う気がない以上はこちらの敗北になると思う」
はる「。。」
あの遺産は、遺産で囲む範囲内の出来事を決定する能力
二人命令できるものがいるのならば先に範囲に入り、自分以外の命令を受け付けなくなる決定を下せば勝ちである
受け付けなくされたらその時点でゲームオーバーになるのだが
対するこちらの遺産は琴木、はるの(分かる)力
清香の場合は(全て)を分かる力なのだが。。
清香「私にはこの戦いの先がどうなるのかはもう知っている、結果も、だからお前たちに助言する事はあまり出来ないんだが。。」
分かった未来を告げてしまえば無意識にそう働いていくことを清香は恐れていた
未来は自分たちで作るべきだと清香は思っていたのだ
清香「一つだけ言うなら、あの遺産は強力すぎる、存在させないほうが良いとだけ。。」
はる「。。。そうか。。うん、分かった!」
そういいはるは意識を現実に戻した
薄れゆく意識の世界の中
清香「。。すまない。。」
清香の頬に一筋の涙が溢れていた
現実に戻ったはるが見た現実は
一同が新しいアジトに到着し一息ついているところだった
(中)に入ってる間の時間はどうやら現実には影響していないらしい
一同はそれぞれが何かのために体力を蓄えている様子だった
琴木がレウスが狂気を尾行している事
を告げ、奴らの居場所がわかれば突撃しようと言う意見が出ていた
そして遊離の狂気の遺産を使える事、それを利用し戦う事の相談をしていた時に
琴木のスマホが鳴る
送られてきたのは狂気のアジトの場所、一部始終を写した動画、そしてDからのメール、
琴木「。。奴らの居場所が分かった。。」
八木「。。レウス君は無事なのかい?」
琴木「。。。」
琴木は黙りながら動画を再生し皆に見せる
見終わった一同はレウスがもうこの世界から去っていることを知った
そして同時に、琴木はDも組織に襲われこの世をさっている事を知ったのだった
悲しみにくれる一同、中でもレウスとずっと一緒だった琴木、はるの落ち込み用は深く
一同に大きな傷痕を残した
八木「ともかく、彼らが残してくれたこの情報を生かさなければならない、落ち込んでても仕方ないしまた襲われてそのうち全滅するだけだろうしね」
琴木「。。。」
レキミ、レウス立て続けに今まで一緒だった人との別れを味わった心境
会えた人にもう二度と会えないって現実を突きつけられる事
それは八木も知っていた、知ってはいたが今までの現実とは違う争いの最中に、立て続けに起きた出来事、八木も声のかけようがなく、琴木は沈んでいる様子だった
同じ気持ちを味わっていても、
いつも、彼女はそうだった
はる「いつむ!ちゃんと話そ!私たちは進まなきゃいけないよ!。。」
辛いのは自分もそう、それでもいつも彼女は一同の、琴木の元気の元だった
馬鹿で、ご飯のこと以外何も考えてなさそうで、それでもいつも一番に彼女は言葉を発していた。
それは一同に染み渡り、奮い立たせ、行動へ導く、その力が彼女の言葉にはあった
はるは言った、遊離の使える狂気の遺産の事、
気づかれずに先に範囲に入り相手に決定する権利を消去する事を決定してしまおうと
送られた動画を見る限り地下フロアー全体に範囲は及んでいるようで、エレベーターを出てすぐにもうやつの範囲
入り口は二つ、閉鎖された非常用の階段、エレベーター
動いているのはエレベーターのみなのだから当然奴はエレベーターから降りてすぐに攻撃を仕掛けてきそうである
八木「ひとつだけ不思議に思っていたことがあるんだ、奴の能力ならすぐに俺たちを全滅できそうだが、じわじわと嬲っている様子を感じるんだ」
そう、奴は何度も琴木一同を全滅させる機会を逃している
範囲内の生物の消去の決定などできるのであれば琴木家を囲んだ時にすぐ実行していれば終わるはず
八木「やつの性格なのか何なのかはわからないが、エレベーターから俺たちの団体が降りてもまたちょこちょこした攻撃だけしてくるような気がする
それとも、一同を全滅させてはいけない何かがあるのか、、
しかし、それならこちらにも勝機はある、非常階段の入り口から遊離、エレベーターから残りの皆で突撃しよう」
一つの賭けだった
八木「エレベーターからの侵入を先に、交戦してから少しずらして非常階段から遊離が入り、範囲に入り次第奴の決定権を奪おう、遊離はやつも警戒してるはずだが交戦中いつ来るかわからないなら対応しようがないはずだし、先の団体には奴は消去させることができないはずだ」
そう、賭けではあるが恐らく、
琴木とはる
この二人が奴らの消せない理由な気がする
八木「非常用階段の鍵は。。」
遊離「大丈夫だ、アレぐらいの鍵なら開ける用意と技術はもっている」
遊離が話した
八木「弟。。と戦うことになるよ?大丈夫かい?」
遊離「。。弟だからこそ戦わなきゃならないんだよ。。きっと」
海都「。。。」
海都は少し考えていた様子だった
八木「それなら行こうか、全員生きて奴らのアジト、部屋内にある穴の奥に突撃しすることが目的、穴の奥が何なのか、何が待つのかわからないし、狂気を倒して次の刺客が現れないとも限らないが、必ず全員生きて未来へと進もう」
その言葉を発しながら八木は、昔の自分と今の自分を重ね、この子たちのおかげで本当に丸くなったなと思っていた。
守ってあげなきゃいけない、その想いだけだった。
弟のような、家族のような。
八木の無くしたものがここにはある
最後まで守り切りたいとそう思い、願っていた。
八木「生きて、今までの日常に戻ってこよう!」
琴木の目に光が戻り
一同は突撃を決めたのだった
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