第18話
18話
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救いたいと思う人がいたんだ
一つだけの光明だった
灰色に染まった、色のない人生が色付き始めた瞬間
小さなことだけど生きる意味を知ったんだ
この世に生きた瞬間から路地裏社会の人間も存在する
産まれながらに数字の小さなカード持たされ行かされる
カードを切る場所でいくら手持ちのカード切っても変えれることなんてない
どうすることもできないことがこの世にはたしかにあるし
手持ちの数字は自分次第なんていうがそれすらもできないことも多々ある
選ぶこともできずに押し付けられる負の螺旋
彼女もまたそれを背負っていた
日本社会では珍しいのかもしれない
親が人に言えない仕事をして生きている
父、母、弟、自分
この4人の家族構成で
両親の喧嘩は絶えず
本人は何もしていなくても、家族のことで同級生からは迫害され
最低限の学業を終え働きに出た
そのころになれば父は警察に捕まり
母独りで子二人を育てていた
しかし健気な母ではなく
子を置いて夜遊びする日々で、子二人は必死に生かされていた
娘の名は
遊離
皮肉にも名前の通り遊びから離れる人生で
ただ、自身の弟のために生きていた
中学を出て働き、弟のために食費を稼ぎ
弟さえ幸せであればと願い生きていた
当然に稼ぎは少なく、その頃にふとした拍子に見つけた(UNIT)という副業
頼るものもなく、途方に迷う遊離にとってその時の副業はとても条件が良かった
裏稼業であることも理解していたし
両親の職業も人にはいえない仕事で、抵抗などなかった
仕事内容は携帯にはいる指令をこなすだけ
仕事内容を教えてくれる先輩もいた
本業をして副業にこのUNITを請け負っているようで
あまり深くプライベートを探りはしなかったが
(先輩)は遊離のことを気にしていた様子で指令の汚い内容のものはさせなかった
指令の内容は、誰かを拉致しどこかに運ぶと言ったものが多く
出来なければ自身が消されるのだと後に知った
他には何かの工作
(何か)の設置
とかもあった
遊離はいつも作業だけをさせられて
他のものは先輩がいつもしていたのだった
先輩は「いつか、君を救う出来事があるから」
と言っていた
当時はそんな言葉をきいても何も感じなかったが先輩は言い続けていた
本業で、UNITで稼ぎ、弟を養い、生活をする日々で
母は相変わらず男を作り、遊び歩く
家に帰ることも少なく、家族、親戚も目を背けられ
必死に生きていた
弟には出来るだけ普通に生きれるようにと学校に通わせて
弟は働きたがったが、遊離はそれをさせなかった
自分だけでいい
こんな苦しみは自分だけでいいと思っていた
UNITの仕事はいつも共通点があり、
一つのも(物)がネタになるみたいで
それを遺産と呼んでいた
UNITの組織はそれを集めており
それを奪う業務内容のようで
先輩はその遺産を調べていたようだった
先輩「遊離ちゃん、いつか解放してあげるから」
彼はそのために遺産を利用しようとしていた様子だったが
当時の遊離にはなんの関心もなく
弟さえ良ければそれで良かった
そして、ある日先輩が消えた
このUNITという仕事は何も知らされることはない
ただ行うことが告げられるだけで
新しい相棒ができるときに待ち合わせ場所が告げられるだけ
その日の(指令)を一人で終え家に帰ると、
部屋には誰もいなかった
弟はどうしたのか
遊離は珍しく慌て、嫌な予感に身を震わせる
慟哭が止まらない、めまいさえ感じる
突然とUNITの指令が入る携帯が鳴る
(弟は預かった、業務を遂行し続けろ)
とだけのメール
この世界で消えるということは
つまり、この世から消えたってことで
それを何度も経験していた遊離は
この世界から弟が消えたのだと知ったのだった
生きているのかもしれないが
行方さえもわからない
そして、、知らない番号から電話がかかってきて
出ると
母が事故に巻き込まれ即死した
この世界に希望はなく、ただ押し付けられる絶望ばかり
ただ、業務を行いことしか遊離にはなく
そこからずっと一人で指令をこなし
弟の存在を探していた
何年か経ち
遊離はUNITの仕事にも慣れ、裏社会の情報を集め、情報屋ともよばれるようになっていたが、弟の行方は分からないままだった
ただ一つ得た情報が
自分の先輩が遺産を手に入れてたということを知った
遺産にはそれぞれ能力があり
先輩の手に入れた遺産の能力は
(確定させる能力)
だったらしいが、その遺産はそれから行方不明のようだった
そんな能力が使えたのなら、自分の道は変われたのかもしれないなと少し思うときがあったが、遺産は適合者でなくては使えない
適合者と対応する遺産は呼び合うと聞いたことがあるが自分のもとに遺産がないのであれば適合しないということなのだろう
日々を過ごすうちにだんだんと感情が薄れてくる
遠くの日に弟が見せてくれたアニメをふと思い出していた
なんていう名前の作品だったか覚えてないが
仕事その日の仕事がおわり
少し気晴らしに街を歩いていると
奇抜な衣装を着た子に声をかけられた
聞いてもないが、コスプレのイベントらしく
一般入場もできるらしく
断るほどいそがしいわけでもなかったので遊離は会場に入ることにした
カメラを持つ人
何かの衣装を着ている子達
遊離は行く先に困り、会場を彷徨っていた
色々もホールが分かれており、入ったことのないホールに入ると
見覚えのある衣装の子がいた
弟が見せてくれたアニメのキャラクターだった
女の子と目が合うと、(彼女)は微笑んでいた
唐突だったのもあったのか
遊離は知らずに泣いていた
昔、弟だけが救いだった遊離に
「ねぇちゃん、いっしょにみようよ!」と話してくれた事
色のない遊離の世界で一つだけの色だった弟
遊離は泣いていた
彼女は泣き出す遊離を見て
遊離を抱きしめた
ただそうするべきだったように
海都「大丈夫だから、、」
遊離「、、、、うん、、、」
生きてきた遊離の
灰色だった世界の
色がついた
遊離は琴木の家で椅子に腰掛け過去を思い出していた
遊離「確定させる、、能力、、、か、、」
琴木達が襲われた(車)のことを聞き過去に先輩が手に入れたときいた遺産のことを思い出す
遊離「、、、アレを用意しておくか、、、」
椅子を経ち上着を羽織り外へ向かった
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